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ネット恋愛——酸っぱい

時が経つにつれ、筱月さつきは慎重に訊ね始めた。


「会いたいって思ったりしない…?」


相手はいつも曖昧に答えるだけだった。

「うーん…機会があればね〜」

その声は風のように軽く、けれど彼女の心の霧を晴らすことはできなかった。


筱月は自ら提案したこともある。

「会いに行ってもいい?」

あめは答えた。

「うーん…ちょっと恥ずかしい。まだ準備できてない」


筱月は小さく頷き、不安を飲み込んだ。


さらに試すように訊ねる。

「じゃあ…電話は?ビデオ通話でもいいよ」

そして自ら一枚の写真を送った――

太陽の光を浴びた横顔、風に揺れる髪、柔らかな笑顔。


雨はすぐに返した。

「わあ〜綺麗だね!」

手のひらに灯る小さな炎のように、瞬時に彼女の世界を照らした。


そして——


メッセージは、そこで途絶えた。

スタンプも、「いるよ〜」も、何の反応もない。

チャット画面は、まるで忘れられた部屋のように静まり返り、埃が積もり、誰もいない。


その夜、筱月は画面を見つめ、九時から十一時まで、十一時から夜明けまで待った。


何度も打ち、削除した。

「まだいる?」

「迷惑だったかな?」

「この関係、まだ大事に思ってくれてる?」


最後に残ったのは、深海のような沈黙だけ。

ゆっくりと、彼女を底なしの孤独に引きずり込む。


視線がぼやけ、心が折れかけたその時、雨から一言届いた。


「僕たちの関係は、文字の上で一番美しい。

会ってしまったら、あの純粋な魔法は壊れてしまう」


筱月は眉をひそめ、指先で画面を強く叩いた。

カチリ、と響く音――

「一体、何を怖がってるの?」


メッセージは井戸に石を落とすように送られた。

返ってきたのは、やはり果てしない沈黙。


いつも優しく、思いやり深く、人の気持ちを察する筱月が、初めて一人の相手に怒りを覚えた。


彼女はその言葉を見つめ、まるで壊れた鏡を見ているかのようだった。

そこには、自分の全ての思いと、相手の逃げる背中が映し出されていた。


「もういい。会えなくても、誰も惜しまない」


メッセージを送った瞬間、筱月は携帯をベッドに投げつけ、すべての期待を振り払った。


だが、涙は予告なく溢れ出る。

一滴、また一滴。


無視されたからでも、冷たくされたからでもない——

筱月はようやく理解したのだ。


自分は、すでに全ての心を、余すところなく渡してしまっていた。


そして相手は、もしかしたら最初から受け取るつもりなどなかったのかもしれない。

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