閑話:いじめグループから見た伊助編 前編
市立桜ヶ丘中学校の放課後。夏休みを二日後に控えた終業式前日の熱気が、教室にまだ残っていた。大半の生徒はもう帰路につき、グラウンドからは運動部の喧騒が遠くに聞こえる。そんな賑やかさとは無縁の、教室の隅。窓際の席で、八雲伊助はいつもと変わらずノートパソコンと向き合っていた。分厚い眼鏡の奥の瞳は、ディスプレイに映し出された無数の数式とプログラミングコードを猛烈な速度で追いかけている。その周囲には、無造作に置かれた参考書と、彼の代名詞とも言えるビニール傘。彼はその小さな空間に閉じこもり、ひたすら自分の世界に没頭していた。
彼にとって、学校とは、理解不能な「常識」と「同調圧力」に満ちた、息苦しい場所だった。教師たちの押し付ける勉強も、同級生たちのくだらないおしゃべりも、すべてが彼にとってはノイズでしかなかった。彼の唯一の安息は、頭の中に広がる、無限の論理と情報の世界だった。
しかし、彼がどれだけ自分の殻に閉じこもろうとも、彼の「異質さ」は、常に彼を標的とした。特に、クラスの中心にいる「いじめグループ」にとって、伊助の存在は、自分たちの優位性を誇示するための格好の道具だった。
石畑 恭弥:理解不能な存在への苛立ちと支配欲
「おいおい、ヤクモ。まだ異世界と交信してんのかよ?そんなキモいことやってるから、お前はいつまで経ってもひとりぼとけなんだよ!」
恭弥の怒鳴り声が、放課後の静まりかえった教室に響き渡った。彼の巨体は、わずかに震えている。体重120kgを超えるその体は、鍛え上げられた柔道選手特有の分厚い筋肉に覆われており、その威圧感は教室の空気を一変させた。彼は、いじめグループの実質的なリーダーだった。表面上は桐谷が「王様」として振る舞っていたが、恭弥の持つ圧倒的な暴力と、その裏にある冷徹な計算が、彼らを支配していた。
恭弥は、常に兄である強介の影に怯えていた。兄の強介は、柔道でも全国大会優勝の実力者でありながら、その知性は恭弥の遥か上を行っていた。恭弥がいくら努力しても、兄の論理と知性には決して届かない。その深い劣等感が、彼を「力こそすべて」という単純な思考へと駆り立てていた。
(俺は、兄貴みたいに頭良くねぇ。でも、だからこそ、力で全てをねじ伏せるんだ。俺の力が、この世界の全てだ。それ以外の価値なんて、ねぇんだよ…!)
恭弥にとって、伊助の存在は、まるで理解不能な「エラー」だった。伊助は、恭弥の最も得意とする「力」とは全く異なる「知性」という武器を持っていた。恭弥は、伊助が放つ言葉や、彼が熱中する数式やコードの意味が全く理解できなかった。それは、恭弥の単純な脳味噌には、あまりにも複雑すぎたのだ。理解できないものへの苛立ちと、それが自分の支配下にないことへの不快感が、彼の心の中で渦巻いていた。
特に、兄の強介が伊助に異常なほどの興味を示し、その行動を密かに観察していることを知って以来、恭弥の伊助に対する憎悪は増幅していった。兄が認める「知性」を持つ伊助を、自分の「暴力」で屈服させること。それが、兄に認められる唯一の方法だと、恭弥は信じていた。伊助をいじめることは、恭弥にとって、兄への忠誠を示す行為であり、自分の存在価値を証明する行為だったのだ。
「おい、ヤクモ!俺の言うことが聞こえねぇのか!?お前みてぇなひょろひょろの陰キャが、いつまでパソコンとにらめっこしてんだよ!外に出て、体を動かせよ!柔道でもやってみろ!一発でぶっ倒してやるからよ!」
恭弥は、伊助の机を蹴り上げた。伊助のパソコンがガタッと揺れ、その振動が伊助の体を震わせる。伊助は、何も言わず、ただうつむく。彼のそんな反応が、恭弥の苛立ちをさらに煽る。
(俺が、俺がこのクラスの最強なんだ!誰も俺には逆らえねぇ!お前みてぇなのが、俺より上にいるなんて、絶対に許さねぇ…!俺の強さを、お前に見せつけてやるんだ!)
恭弥は、伊助のビニール傘を乱暴に奪い取ると、それを床に叩きつけた。傘はひしゃげ、柄が折れる。伊助は、その様子を見て、全身を震わせた。それは、彼の唯一の「防御壁」だったからだ。その瞬間、恭弥の心には、底知れない優越感が満ちた。
「おい、泣いてんのか?情けねぇな、おい!お前には、力が必要なんだよ!俺みたいな、本物の力がな!」
恭弥は、伊助の胸ぐらを掴み、机から引きずり出した。彼の顔は、伊助のすぐ目の前にあった。伊助の分厚い眼鏡の奥の瞳に、恐怖と絶望の色が浮かんでいるのを見て、恭弥は満足げに笑った。これで、俺の強さが証明された。そう確信したのだ。このいじめは、恭弥にとって、自分自身の存在意義を確かめるための儀式だった。
桐谷 隼人:クラスの王様の承認欲求
「おいおい、恭弥。やりすぎんなよ。潰れちまったら、俺たちの遊び相手がいなくなるだろ?」
桐谷は、サッカーボールを指先で回しながら、恭弥の隣に立った。彼はクラスの「王様」であり、生徒たちの人気者だ。サッカー部ではエースを務め、その鍛え上げられた体格と自信に満ちた顔つきは、周囲を威圧するようなオーラを放っていた。恭弥がグループの真のリーダーであることには気づいていない。彼は恭弥の圧倒的な暴力と威圧感を前にして、無意識に従っているに過ぎなかった。
(俺こそが、このクラスのトップだ。俺の言うことは絶対。俺は誰からも尊敬され、憧れられる存在だ。ヤクモみたいな陰気な奴は、俺たちの輝きを際立たせるための引き立て役でしかねぇんだよ)
桐谷は、自己中心的で承認欲求が強い。常に周囲の賞賛と注目を浴びることを何よりも好んだ。伊助の存在は、彼にとって「自分とは違う、劣った存在」という認識を強化するための便利な標的だった。伊助をいじめることで、彼は自分の優位性を再確認し、周囲からの「さすが桐谷!」という賞賛を欲していた。
「なあ、ヤクモ?そんな変なもん見てねぇで、俺たちとサッカーでもしねぇか?どうせ、お前みたいな運動音痴には無理だろうけどな。ははは!」
桐谷は、伊助の倒れた椅子を足で転がし、嘲るように言った。伊助の、怯えたような視線が彼に向けられる。その視線を見て、桐谷は内心で優越感に浸った。伊助の無力な反応は、彼の傲慢さをさらに肥大化させる燃料となった。
「おい、ヤクモ。なんだその変な傘は?お前、もしかして魔法使いにでもなりたいのか?ははは!こんな現実で、魔法なんて使えるわけねぇだろ。お前は、もっと現実を見ろよ。俺たちみたいにな」
桐谷は、恭弥が叩きつけた伊助のビニール傘を指差して笑った。彼の周りには、佐々木、田中、山田が追従するように笑い声を上げた。彼らにとって、伊助のオタク趣味は、嘲笑の対象でしかなかった。彼らは、伊助の持つ知性の本質を、理解しようともしなかった。それは、彼らの「陽キャ」としての世界観に、伊助の「異質さ」が全く適合しなかったからだ。
伊助が、何も言わず、ただうつむいているのを見て、桐谷は満足げに笑った。彼は、伊助の抵抗しない姿に、自身の「力」を再確認する。この支配感が、彼の承認欲求を満たしていた。
佐々木 健太:冷笑的な分析者と狡猾な加担者
「よせよ、田中。ヤクモは今、異世界と交信してる最中なんだろ?なあ、ヤクモ?そろそろ、魔法陣とやらで、このクラスのテスト問題を予言してくれねーかな?あはは!」
佐々木は、ニヤついた笑みを浮かべながら、桐谷の隣で言葉を続けた。彼の瞳の奥には、常に冷たい侮蔑の色があった。彼は恭弥の真の意図には気づいていなかったが、恭弥の圧倒的な存在感を理解し、その指示を忠実に実行することで、自分自身の保身を図っていた。
(恭弥さんの命令は絶対だ。あの男には逆らわない方がいい。桐谷も恭弥さんの手のひらの上で踊っているだけだ。俺は、俺のやり方で、この状況を有利に進めるだけだ)
佐々木は、いじめグループの参謀役を自負していた。彼は直接手を汚すことは少ないが、その狡賢い頭脳で、伊助の弱点を見つけ出し、最も効果的な嫌がらせを考案する。彼のいじめは、物理的な暴力よりも、精神的な揺さぶりや、言葉による侮辱が主だった。伊助の「変わり者」ぶりを、冷静に分析し、それを嘲笑の道具にする。
「ヤクモはさぁ、いつもパソコンと変な本ばっか見てるけど、友達いねーの?まさか、そのパソコンが友達とか?あはは!想像するだけで気持ち悪いな!」
佐々木は、伊助のパソコンの画面を覗き込み、わざとらしく顔をしかめた。画面に映る数式とコードは、彼には理解不能な記号の羅列でしかない。理解できないものは、嘲笑の対象となる。それが彼の流儀だった。
(あんなに頭が良いのに、使い道が分かってない。ただの陰気なオタクだ。俺たちに逆らうことさえできない、ただの弱い奴)
佐々木は、伊助の才能をどこかで認めている部分もあったが、それは「利用価値」としての認識でしかない。彼の知性は、伊助の知性を踏み台にして、自分自身の優位性を確信するための道具だった。伊助の無力な反応は、彼の冷笑的な優越感を満たし、彼をより深く、いじめという行為に引きずり込んだ。
田中 勇一:単純な暴力衝動と忠実な手先
「おいおい、ヤクモ!なんだその変な眼鏡は!?目つきが悪くて、気持ち悪いんだよ!ちゃんと顔を上げろってんだ!」
田中は、短く刈り込んだ髪と、筋肉質な体格を持つ。彼はグループの取り巻きの一人であり、恭弥や桐谷の指示には忠実に従う。考えるよりも先に手が出るタイプで、伊助へのいじめの際は、暴力的な行動を率先して行うことが多かった。彼の頭の中はシンプルで、感情がそのまま行動に直結する。
(恭弥さんも桐谷も、すげぇ強い。俺もあいつらみたいに強くなりたい。そのためには、あいつらの言うことを聞くのが一番だ。ヤクモみたいなひょろひょろの陰キャは、俺たちの言うことを聞かねぇと痛い目を見るってことを教えてやるんだ!)
田中にとって、伊助はただの「ひ弱なオタク」でしかなかった。彼のオタク趣味や口下手な性格が気に食わない、という感情的な理由が、いじめの動機だった。彼は、伊助を物理的に痛めつけることで、自分自身の優位性を確認し、恭弥や桐谷に認められたいと願っていた。
「ヤクモ!てめぇ、俺の顔に泥塗りやがって!この前、俺のボールを拾わせた時も、ぶつぶつ言いやがって!俺に逆らうなんて、いい度胸じゃねぇか!」
田中は、伊助が倒れたパソコンのコードを足で踏みつけた。伊助が、慌ててコードを庇うのを見て、田中は満足げに笑った。彼の心には、純粋な暴力衝動と、恭弥や桐谷に認められたいという欲求が渦巻いていた。伊助の苦痛の表情は、彼の暴力性をさらに刺激した。
山田 太郎:臆病な傍観者と罪悪感の影
(ごめん、ヤクモ…でも、俺も、俺もグループから外されたくないんだ…)
山田太郎は、少し太めの体型で、おどおどとした表情をしていた。彼はグループの取り巻きの一人であり、恭弥や桐谷、佐々木、田中の圧力に流される形でいじめに参加していた。根は悪くないが、自己主張が苦手で、グループから外されることへの恐怖が、彼をいじめに加担させていた。
彼はいじめの際、直接的な暴力を振るうことは少なかった。ただ、周りに合わせて笑い、茶化す言葉を投げかける程度だった。彼の心の中には、常に伊助への罪悪感が燻っていた。
(ヤクモは、いつもあんな顔で、何を考えてるんだろう…俺たちとは、全然違う…でも、だからって、あんなことされる筋合いはねぇよな…)
山田は、伊助がパソコンと向き合う姿を、遠巻きに見ていたことがあった。伊助がぶつぶつと呟く数式やコードの意味は全く理解できないが、その集中力は異常だと感じていた。彼には、伊助が自分たちとは異なる「何か」を持っていることは分かっていた。しかし、その「何か」が、彼の恐怖を凌駕するほどのものではなかった。
恭弥が伊助のビニール傘を叩きつけ、伊助の胸ぐらを掴んだ時、山田は思わず目を逸らした。彼の心臓は、罪悪感で激しく脈打っていた。けれど、彼は何も言えなかった。恭弥の圧倒的な暴力と、桐谷たちの冷たい視線が、彼の口を塞いでいたのだ。
(ああ、誰か、この場を…この状況を止めてくれ…俺は、俺はこんなことしたくないのに…!)
山田の心の中は、葛藤で引き裂かれていた。彼は、いじめの傍観者でありながら、その共犯者としての苦悩を抱えていた。彼の臆病さは、伊助の苦痛を増幅させる一因となっていた。
石畑 強介:冷徹な観察者と「理」への執着
その頃、中学校の柔道場では、石畑 強介が弟の恭弥と共に汗を流していた。彼の巨体からは湯気のように汗が立ち上っていたが、その眼鏡の奥の瞳は、ひたすらに冷静で、揺るぎない光を宿していた。彼は、恭弥が伊助をいじめていることを、全て知っていた。いや、むしろ、彼がそのいじめを「利用」していたのだ。
(八雲伊助…やはり、お前は面白い。恭弥の単純な暴力にも屈せず、その探求心を失わない。お前の頭の中にある『理』…それが、この世界の『根源』に通じているのか…)
強介は、柔道の練習を続けながらも、頭の中では常に伊助の行動と、恭弥が報告する「いじめの成果」を分析していた。彼は、伊助の持つ数学と情報処理に関するずば抜けた才能を、誰よりも高く評価していた。いや、評価というよりは、自分と同等、あるいはそれ以上の「異質な才能」を持つライバルとして、強い執着を抱いていたのだ。
かつて、強介が完璧だと思っていた数式の誤りを、伊助がごく自然に、そして正しいと証明してみせたことがあった。その時の屈辱感は、彼のプライドに深く刻み込まれていた。彼は、伊助を自分の支配下に置きたいという歪んだ願望と、同時に、その才能を乗り越えたいという強い競争心を抱いていた。いじめは、そのための「観察」であり、「試験」だった。伊助の精神が、どれほどの負荷に耐えられるのか。その才能が、いじめという逆境の中で、どのように変化していくのか。強介は、すべてを冷徹に分析していた。
(恭弥は、単純な奴だ。自分の力だけを信じ、他者の本質を見抜くことができない。だが、その暴力は、八雲を追い詰めるには十分な『刺激』だ。そして、桐谷たちも、私にとっては便利な『道具』に過ぎない。彼らの傲慢さや承認欲求は、私の計画を動かすための、良い『エネルギー源』となる)
強介は、冷徹な笑みを浮かべた。彼にとって、この中学校は、巨大な実験場であり、生徒たちはその中の「被験体」に過ぎなかった。彼は、伊助の持つ「理」の力を、自身の「力こそすべて」という哲学に応用しようと考えていた。伊助の知性を、自分の支配下に置くことで、この世界のすべてを掌握する。それが、彼の最終目標だった。
そして、その計画の最終段階が、今、まさに始まろうとしていた。
突如として訪れた「消失」の瞬間
教室の隅では、恭弥が伊助の胸ぐらを掴み、その巨体を揺らしていた。伊助は、眼鏡の奥の瞳に恐怖と絶望の色を浮かべ、ただ震えている。桐谷は嘲笑し、佐々木は冷笑を浮かべ、田中は高笑いしていた。山田だけが、目を逸らし、その場から逃げ出したいと願っていた。
その時だった。
伊助の足元に、突然、奇妙な紋様が描かれた魔法陣が、床にぼうっと浮かび上がった。それは、誰も見たことのない、複雑で不可解な光の線で構成されていた。その線は、まるで伊助のノートパソコンから溢れ出したコードが具現化したかのように、瞬く間に床一面に広がり、光り輝き始めた。その光は、いじめグループの顔にも反射し、彼らの嘲笑を一瞬で凍り付かせた。
「な、なんだこれ…!?」
恭弥の巨体が、驚きと恐怖で硬直した。彼の目には、理解不能な光景が映っている。桐谷も、佐々木も、田中も、山田も、誰もがその異様な光景に目を見開いた。彼らの顔には、いつもの傲慢な笑みは消え去り、ただ純粋な混乱と恐怖が浮かんでいた。
魔法陣は、瞬く間に光を増し、教室全体を包み込むような、眩い白光を放ち始めた。その光はあまりにも強烈で、彼らの視界を奪い、全身がねじれるような、骨の髄まで響くような不快感に襲われる。身体中の細胞が、バラバラに分解され、再構築されていくような、形容しがたい感覚。それは、彼らの「力こそすべて」という世界観を根底から揺るがす、未知の力だった。
「うわああああっ!」
桐谷の叫び声が、光の中でかき消されていく。佐々木や田中、山田も、恐怖に顔を引きつらせ、光の中で姿が霞んでいく。彼らの「強さ」も「賢さ」も「傲慢さ」も、この圧倒的な力の前に、何の意味も持たなかった。
光が最も強く輝いた瞬間、伊助が空に手を伸ばした。その手は、まるで何かを掴もうとしているかのようだった。彼の顔には、驚きと、そして微かな高揚感が浮かんでいた。彼は、その瞬間、自分が何を掴もうとしているのか、本能的に理解していたのかもしれない。それは、彼らを恐怖させる「未知」ではなく、彼が追い求めてきた「真理」の片鱗だった。
そして、光が収束すると共に、教室から彼らの姿は完全に消えていた。伊助も、桐谷、佐々木、田中、山田も、まるで最初からそこにいなかったかのように、跡形もなく消え失せていた。残されたのは、倒れた椅子と、点灯したままのノートパソコン、そして無残にひしゃげた伊助のビニール傘だけだった。机の上には、いじめの痕跡であるサッカーボールが虚しく転がっている。
誰もが、その瞬間、自分たちの世界が、音もなく崩れ去ったことを、本能的に理解した。そして、この「消失」が、彼らがこれまで伊助に押し付けてきた「いじめ」とは、比較にならないほどの、途方もない「力」によって引き起こされたことを。
彼らが辿り着いた異世界で、彼らを待っていたのは、自分たちが「真の勇者」としての選民思想と、伊助という「落ちこぼれ」の存在だった。彼らの世界は、彼らの望まぬ形で、大きく変貌を遂げていくことになる。