第9話 小林君の説教
学食に集まった4人。俺、小林、瑞葉、ハルちゃん。
まず小林が言う。
小林「義孝、反省するところはあるのか?」
俺「反省ばかりです」
瑞葉・華「「……」」
小林「お前がやったのは、瑞葉ちゃんという彼女が居ながら、ハルちゃんとも付き合ってしまった、男の風上にも置けない悪行の仕業だ」
俺「はい、その通りです」
瑞葉「もう義孝君、信じられない。ハルちゃんとキスまでしただなんて。ハルちゃんはファーストキスだったのよ」
華「瑞葉ちゃん、声が、声が大きいよぉ~」
俺「確かにキスしてしまったことは申し訳なかったけど、瑞葉とは1年に1回しかキスできないんだから、気持ちが押さえきれなかったんだ、言い訳でごめんだけど……」
瑞葉「本当に言い訳、だけだよね」
俺「申し訳ございませんでした」
華「本当に瑞葉ちゃんとは1年に一回だけなの?キス」
瑞葉「結婚するまではダメなの。本来はキスも駄目なの。だって、未婚の男女が先に進んでしまうキッカケだもん」
俺「僕が拝み倒して、1年に一回は出来るというルールを作って頂きました」
華「恋人同士なのに、すごいルールね。通算何回なの?」
俺「3回です」
小林「ハルちゃん、彼らは付き合って4年目だそうだ」
華「それでキス3回だけなの?私の入れて4回……私は1回だけ……」
俺「はい」
華「あ、あのですね、もし、もし良かったら、私が代わりにキスして、キスしてもいい、かもしれない……よ」
瑞葉「ハルちゃん」
華「ご、ごめんなさい」
小林「とにかくだな、二股は良くない。まだ高校生だからなオレたち。性に奔放になるには若すぎる」
俺「はい。まだ僕たち高校生です」
瑞葉「なに言ってるの、高校生じゃなくても二股はダメだよ!」
★★★★★
俺はベットの上で寝転んで考えていた。
1年に一回のキス、そりゃ、高校生でキスが出来るだけで上出来だよな。
同じストローで間接キスだの、幻のあーんで箸の間接キスだの、彼女が座っていた椅子に座るとドキドキするだの、甘酸っぱい世界なんだから思春期って。
でも俺は瑞葉と1年に一回とはいえ、キス出来てしまうと先に進みたくなってしまう。健全な高校男児、男の子だもんなぁ。
瑞葉が俺の腕をとって、組んだ時に胸の柔らかさというか、腕のぬくもりとか、伝わってくるのは正直とても嬉しい。しかし、キスが1年に一回という制約のせいで欲求不満がたまるというか、加速してしまうというか、こうモンモンしてしまうよな。
一瞬でも胸触った日にゃ、瑞葉は怒るよな。きっと10日は口きいてくれないな。
うーむ。そうだ、ウジウジしてても始まらない。丁度バイト料も入ったばかりだし、コンビニでも行って、スナックやパン、由愛の好きなイチゴケーキでも買ってくるか。