第7話 束の間の幸せ2
瑞葉の指摘通り、時が経つにつれて学校内だけではなく、駅周辺やショッピングモール、カラオケなどで朱莉に声を掛けてくるナンパが増えてきた。
今まで隠していた美貌が露になっただけで中身は今までと変わらない朱莉は、ナンパに遭遇する度に「私みたいなブサイクに声を掛けて下さるなんて、何て優しい男の人」と感謝してしまい、ミキオ的には朱莉が危う過ぎてなかなか落ち着かなかった。
それゆえ朱莉の安全確保として、常に起動しているGPSを持たせ、ミキオが朱莉の位置情報を受信、また彼が学校からのガードマンのように彼女の送り迎えをしている。想定外もどんどん加速して増えた。
街のナンパ師の中には強引にナンパを行うクズ系の連中も多くいて、ミキオがその都度追い払うのだが、少ないながらもチンピラ連中と怨恨が発生していた。朱莉は小柄の体躯であり、数人の男子に囲まれれば断り切れずに連れ去られる危険性がある。大きな声も恥ずかしがって出せないようだ。
前髪が長かったころの朱莉が、前髪をあげた美少女になって、尚、今まで通りの感性であれば、今後は非常に危険であった。とはいえ餌食になるのを待つばかりではいかんと、彼女の意識改革を試みた。
まずは彼女から信頼されているミキオを先生にして危機管理を教えたが、彼女の性善説に従って動く純粋行動を防ぐことは難航し、兎にも角にも男子相手を疑う事から実践訓練を始めた。
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【上級生の幼馴染:達也】
おかしい、朱莉に既読スルーされただなんて。初めてじゃないか?
そうか、朱莉、今まで放ったらかして、ごめんな。反省するよ。俺はお前に相応しい男じゃないかも知れないけど、でもお前を手放したくないんだ。自慢に出来る幼馴染、それが顔を出しているお前だった。男が寄ってきたから前髪を下ろさせたのに、俺のアドバイスを無視して又前髪をあげるとは。
さらに俺が連絡すれば直ぐに返事をくれた朱莉。なぜだ?
俺の事、大好きだって、将来結婚しようって言ったよな?俺は忘れてないぜ。
どうして最近冷たいんだよ。メッセージ送っても塩対応だし。
可愛いからって天狗になってんじゃねーぞ。
まさか例の小林とかいう男友達にNTRされてしまったのか、この俺があんな男に負けるだと?
幼馴染としての勘が冴えてくるぜ。精神を含めなければネトラレとは言わん。肉体だけなら只のレイプだ。ちくしょー、俺と朱莉の10数年の長い付き合いを邪魔しやがって……小林とかいう奴は上級生を舐めてんのか!
朱莉、俺のメシの誘いを無視しやがって。そんな扱いをするんなら、俺がお前の身体に快楽の上書きをしてやる。ふふふ……。
俺から逃げるなよ朱莉。