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嘘告と二股と妹とNTRと。  作者: 九絵
嘘告と二股と妹と。
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第5話 嘘告、発覚

 意外なことに、ハルちゃんとは非常に好調に関係が進んだ。


 毎週末にお休みをすべて使ってデートを重ね、付き合い始めて一か月になろう頃、キスをした。ちゅっと唇に触れるだけのキスだったが、ハルちゃんの恥ずかしがる顔が印象的で、ファーストキスだったようだ。


 こんなに可愛い娘、俺には勿体ないとまで思い始めた。


 デートは、ショッピングセンターに始まり、公園、映画館、科学館、ちっぽけな鍾乳洞、化石探し、動物園(遊園地付き)、水族館。


 キスはお約束の観覧車の頂点で成功した。


 妹の由愛や幼馴染の瑞葉と違って、新しい人との新鮮なカップル感覚は、俺の日々を充実させるには簡単だった。


★★★★★


 ハルちゃんと付き合い始めてから一か月が過ぎたころ、ある日の放課後の事だった。


 俺は自宅に帰るため、通学路を進んでいた。家までの途中にある駅のロータリーも通過するのだが、そこでハルちゃんを見かけた。しかし隣には男子がいて、グループで帰っているのではない。二人揃って親しい感じがした。


 まさか、早くも寝取られ、俺の苦手なNTRコースか!?


 声を掛けようと最初は思ったのだが、妙に胸騒ぎがして躊躇し、観察することにした。


 笑顔で会話しているハルちゃんと男子。本屋へと入っていったので、俺も追跡してみる。本棚を介して耳をすませば、会話も聞こえてくるかもしれない。


「ふふ、傍から見ればストーカー、でも違うんだよ、彼女を変な男から救おうとするナイスガイ、それが俺」


 馬鹿なことを妄想しながら本棚を介して耳を澄ます。


「ねぇ、ハルちゃん、嘘告の話、僕は賛成できないな。早く彼に知らせて謝らないと大変なことになるよ。隣のクラスの西之原君は悪い男子じゃない。許してくれる筈だよ。ハルちゃんだって罰ゲームでさせられたんだし、悪意がそんなにないことも判ってもらえるはず」


「うん、それは分かってるさとしくん。でも…でも……わたしね……」


 俺はショックで本棚に手をついてしまった。そのはずみで本がバサバサと落ちてしまい、音を盛大に立てた。


 店員さんに向かって「あ、すみません。すぐに片づけます。」と声をかけ、ホコリを払いながら一冊づつ拾い上げて棚に丁寧に戻す。その作業を裏からハルちゃんが目を開いてみていた。サトシと呼ばれた男子はオロオロとしていた。会話からして悪い奴ではなかったのだろうが、ピンポイントで気まずかった。


 落ちた本を片付けた俺は、店員さんに頭を下げ、出口から走って自宅に戻っていった。ハルちゃんは最後まで俺に声をかけてこなかった。


 本屋を出た瞬間、声が掛かる。小林だった。


「おい見たぞ。なんだどうした?」


「あ、小林か、いや、すまん。俺の彼女と男子が仲良くしていたんで追跡してたら、結果的にフラれた」


「ザックリ説明にしては分かりやすいな。稲垣華さんのことか」


 そういって小林は本屋へと足を運ぶ。ハルちゃんに付き添っているのは、小林が知っている奴、学校でも有名な奴だった。座り込んだハルちゃんの背中に触れ、何かを話して慰めている様子だったという。外にいた俺に合流して一言いう。


「一緒にいた男子は、皆からサトシって呼ばれていて、学校でも有名な奴だな。彼の母親が女優でさ、優しくて成績優秀だから女子に凄くモテる。羨ましい男だよ」


「そうか、そんな格好いいヤツと親しかったとは」


 そしてまさかの嘘告。


 俺の一か月の恋は、脆くも崩れ去った。


★★★★★


 ハルside


 嘘告という事が義孝君にバレてしまった。私は涙が止まらず、泣き崩れ、嗚咽が止まらなかった。


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