第2話 妹・由愛
今年は妹の由愛が入学してきた。
朝起きて朝食をとり、部屋で制服に着替えていると由愛から声が掛かる。
「お兄ちゃん、一緒に学校行こ?」
「ああ、いいぞ。ちょっと待ってくれ」
「はーい」
準備が出来、母親に「「いってきまーす」」と声をかけ二人で玄関を出る。
通学路になっている道を二人で仲良く歩いていると、時々、男子生徒が由愛を見ていることに気がつく。妹は容姿が優れており、可愛くて目を引くのだ。中学時代から顕著になっていき、俺としても自慢の妹として鼻が高い。
車が近づいてきた。俺は由愛の手を握り、道端に寄せた。車が通り過ぎても、そのまま手を繋いでいる。
「ちょっと車速かったな。大丈夫か?」
「うん、ありがと」
少し由愛の顔が赤らんでいる。可愛いな。
普通なら「お兄ちゃん、手!」とか「放して」とか言われるだろうが、俺たちは珍しいほど仲がいい兄妹で、こうやって手を繋ぐのも平気だったりする。
由愛は大人しく手を繋いだまま、トコトコと早歩きしてついてきていた。
高校に着き、校門を通り玄関口で別れる。
「じゃ、頑張れよ」
「うん、頑張るよ」
また男子から目をつけられて告白されるだろう。モテる妹を持つ兄貴というのは心配症になるな。独り呟く俺であった。
仲のいい兄妹 ↓ 義孝と由愛
★★★★★
授業が終わり放課後、俺のクラスに由愛がきた。
「お兄ちゃん、お母さんから買い物を頼まれているから、一緒に行こ?」
クラスメイト達、主に男子らがざわめく。
そういえば、クラスの小林とは年始の初詣で由愛と会っているのだが、メガネとコンタクトを忘れてしまって顔をよく覚えていないそうだ。
いい機会だから小林に由愛の顔をよく見ろと探すものの、小林はトイレかどこかに行っており、見当たらなかった。
瑞葉が「由愛ちゃーん!」と窓際の席から手を振っている。
由愛「わ~~~、瑞葉ねえちゃん!」
瑞葉と由愛も俺と同じく幼少の頃からの幼馴染である。二人が互いに走り寄り、両手を掴んでワイワイやっている。美少女二人が楽しそうにしている光景は絵になるなぁ、うんうんと親父モードで腕を組み、頷いている俺であった。
クラスメイトの男子たちは、俺に色々と質問したそうにしているのだが、本人たちに直接聞けと常に言っている為、変に邪魔されることもなく平和である。
ちなみに瑞葉は、子供の頃から体が弱く、体力をつけるためにバトミン部に入っている。1年経ち、かなりの健康体になってきた。