表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の彼女や妹が寝取られそう  作者: 流離の風来坊
NTR攻防戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/22

第10話 深夜

「暗いわ……」と瑞葉がこぼす。


「もしオレがいなかったら、全員、祠に辿り着けなかったな。笑っちゃうぜ」と小林。


 周囲は真っ暗である。俺たち4人は祠を目指して歩いている。昼間に歩いた道だ。日付を越したらお参りをして宿に戻る。


 小林以外は誰も懐中電灯を持っておらず、小林はたんに釣り道具の中に夜釣り用のが入っていただけである。


 山の中には外灯はない。月明りも満月でなければ何も見えない。今、俺たちの周りは懐中電灯を消せば完全な漆黒である。一度、消してみたら自分の手すら見えなくてビックリした。


「スマホの充電も泊りがけだから交代制、バッテリーが少ないから懐中電灯代わりにするのは短時間だけよね、由愛ちゃんも手を離さないでね」


 瑞葉はそう言いながら、俺の腕に手を絡ませ体を寄せている。瑞葉と由愛は手を繋いでいる。小林は単独、照明係であった。


 歩きながら俺は考えていた。


 湯船につかりながら大学生の兄さんに言われた「女性は化粧を取り、服を脱がせばみんな同じ、大切なのは”心”だよ」という哲学を感じた話。


「他の男が近寄ってこようが、その恋人には関係ない。心は義孝くん、君にあるんだから不安がらなくてもいいぞ」


「大切にしたいなら一番は”彼女の心”だな」


 俺は瑞葉の可愛らしさや美しさに惹かれているだけではない。彼女の優しい心、長い幼馴染ゆえの安定した気持ち、一緒に居て楽しい。外見はあくまでもオマケ程度だと思うようにしたい。


 瑞葉が俺の「別れよう」メッセージで心を壊した時、俺は一生を瑞葉と添い遂げようと誓った。大切にすべき”瑞葉の心”を壊したのが俺自身だったという事に思いを馳せる。


 そして、男湯でジュースを飲んでいた際の小林の「由愛ちゃんに一目惚れしたかもしれん」という爆弾発言。


 小林が義理の弟になるのか。



☆☆☆☆☆



 途中に電話ボックスがあった。緑色に光る小さな個室。山の中にあるせいか、ポツンと真っ暗な中にたたずむせいか、異世界感が半端なく伝わってくる。こんなところに電話ボックスだなんて必要があるのかな?


 小林がぽつりと言う。


「たぶん、遭難者が使うんだろ」


 なるほどなぁ。妙に納得した。


 (ほこら)に辿り着き、スマホで日付境界線越えを確認しながら静かに0時(24時)を待っていると、見えない暗がりから音がした。


 ジャリ…ジャリ…


「おい、なんか聞こえるぞ」


 俺が皆に注意喚起する。


 瑞葉が迫真の顔でつぶやく。


「クマだわ。人だったら懐中電灯がなければ歩けないし」


「悪霊退散っ」と由愛


 小林が懐中電灯をそっちへ向けて照らし続ける。


 すると……


 サバゲーのノクトビジョンを装備した大学生だった。


「あ、こんばんわ。怖がらせちゃったね。これは暗視装置でね。暗闇でも見えるんだよ。俺たちはサバイバルゲームの同好会でさ、夏はここでミッションをこなし、冬はこうして過ごすんだ」


「びっくりしますよ、兄貴たち。懐中電灯も持ってないのに黒っぽいものが近づいてくるから」


 大学生たちはNTRの気配もなく、ただ単に好い人達だった。俺は心の中で”兄貴”と尊敬しはじめていた。



☆☆☆☆☆



 朝に目が覚めると、宿の庭は雪景色だった。窓はくもっており、息を吹きかけると何とも言えない風情を感じる。


 俺と瑞葉はいずれ結婚する。


 もし由愛と小林が結婚すれば、義理の弟だ。


 将来に向かって楽しい生活が出来ると期待する俺であった。


【Fin】



 違うわ! お兄ちゃんは私と結婚するのっ


 ☆☆☆☆☆


 女風呂


「ねぇねぇ、瑞葉ねえちゃん、まだキスどまりなんだよね?」


「えっ、由愛ちゃん、なに何どうしたの?」


「お兄ちゃんと瑞葉ねえさんの進展具合を聞きたいの」


「う~ん、由愛ちゃんには好きな男の子とか出来た?」


「話を逸らさないでください。お兄ちゃんとの進展を聞きたいです」


「えっと、言ってもいいのかな……キスしかしてないよ。まだ恋人同士の行為は何もしてないわ」


「き、キスだって、すごくエッチな行為ですよ」


「由愛ちゃん、そんなに恥ずかしいこと聞かないでっ」


「妹としては、お兄ちゃんと結婚するまでキスもお預けです!」


「う、うん」


「時々の抱き締めまではオーケーです」


「いつも義孝君に抱き締めてもらいたいのに……」


「私が瑞葉ねえちゃんの代わりに練習台になっておきます。大丈夫」


「えっ練習台、大丈夫って?」


「はい。私は実は義理の妹なんです。ムフッ」


「ええっ! 何この新事実はっ」


「義理の妹だと結婚も出来るんですよ、知ってました?」


「なに言ってるの、実の妹でしょ、由愛ちゃん」


「だって……」


「本当に義孝君の事を好きなのね。ずっとよね。私も好きよ」


 小林君が由愛ちゃんと結ばれる時が来るのだろうか……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ