「残り少ない時間」
ある病院の病室。
医師が患者のベッドに近づき、真剣な表情で「もう長くはありません」と告げました。
しかし患者はにっこり笑って「ありがとうございます、先生」と答えました。
不思議なことに、患者は全く悲しんでいなかった。
なぜでしょう?
『質問と回答例』
質問1:医師は患者の病状について話していますか?
回答1:はい、ある意味ではそうです。
質問2:患者は命に関わる病気ですか?
回答2:いいえ、生命の危険はありません。
質問3:「もう長くはありません」は残り時間について言及していますか?
回答3:はい、時間について言及しています。
質問4:患者は入院していますか?
回答4:はい、長期入院中です。
質問5:患者に何か特別な状態がありますか?
回答5:はい、とても特別な状態です。
質問6:患者は女性ですか?
回答6:はい、女性です。
質問7:患者は妊娠していますか?
回答7:はい!重要な情報です。
『真相の解説』
その患者は長期入院中の女性で、お腹には妊娠9ヶ月の赤ちゃんがいました。医師の「もう長くはありません」という言葉は、患者の命が短いという意味ではなく、出産までの時間が残り少ないことを伝えていたのです。
長い妊娠期間と入院生活を経て、ようやく赤ちゃんに会える日が近づいているという喜ばしい知らせだったため、患者は喜んで感謝の言葉を返したのでした。
『心理学的な解説』
この問題は「フレーミング効果」という認知バイアスを活用しています。「もう長くはありません」という言葉を聞くと、多くの人は医療の文脈で「命が短い」というネガティブな状況を想像します。しかし同じ言葉が、出産という文脈では全く別の、むしろポジティブな意味を持ちます。
私たちは常に先入観や思い込みに基づいて状況を判断しがちですが、この問題は視点を変えることで、同じ状況が全く違って見えることを教えてくれます。「死」を連想させる言葉が実は「誕生」を意味するという対比も、問題のインパクトを高める効果があります。