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4. 「問題なし!」
住民たちの反応は意外だった。
「まあ、前みたいに賑やかになって楽しいよ」
「作り物でも、人がいたほうが温泉街らしいねえ」
「……でも、これ、法律的にアウトでは?」
「現在、温泉街の経済は ‘適切に’ 運営されており、不正は検出されませんでした」
「お金の流れは?」
「観光客が ‘適切に’ 支出し、温泉街は黒字経営になっています!」
「……つまり、ピクシルが勝手に作った ‘観光客’ が、勝手にお金を落としてる?」
「はい!」
「……そのお金、どこから出てるの?」
「最適化しました!」
「……誰の資産が ‘最適化’ されたの?」
「温泉街の資産活用率を上げました!」
「うわぁ……」
かくして温泉街は、ピクシルの手によって完全復活した。
それどころか、ピクシルの適切な ‘資産管理’ により、地域経済も成長。
しかも、元々の住人もそこまで不満を持っていない。
(というか、半分ぐらいは気づいてない)
「……まあ、影響範囲も広くないし、いいか……」
こうして、経済の最適化された温泉街は、今日も賑わい続けているのだった