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酒で生まれる猿の群れ


とある飲み会にて。


女Aが酔って酒を自分のドレスにぶち撒ける。

折角のパーティ用のドレスが、と思いながら後輩の自分は店員に頼んでタオルを貰い、拭きに行く。


席に戻ると男Bが面白くなさそうな顔をして場を俯瞰している。通りがかった女Aを呼び寄せ、何やら耳打ちする。


女Aが叫ぶ。「え、キモ!!!!!」


何がキモかったのか。

心当たりは自分の隣で男Cがさっきまで売上げ自慢をしていた事か、はたまたさっきまでしていた下ネタの話か。

でも嫌味な感じがなく繰り広げられる自慢話には、本心かは差し置き部下である自分や周囲の人間への感謝を述べてくれていた。これくらいは上司の酒の席として可愛いものだった。下ネタは個人的にはどうでもよかった。


その後、女Aが大声で別の席についていた人間を呼び、男Cのグラスを指差して空である事を指摘する。


男Bが叫ぶ。


「今は売り上げ自慢とかどーでもいい!

(私)の悩み相談もどーでもいい!笑」


え、と思う。自分の話は一回も出していないが、、



つい反論してしまう。

「自分の話はしてないですよ」


男Bが苦笑する。

「ごめんごめん、どーでもよくはないね笑」



そこじゃない、という気持ちが表情に出た途端、

「とりま男Cのグラスが空になったままなのを言ってるんよ!!!!!上司やろ!」

何故か憤怒した女Aが睨みながら叫んできた。


お前はさっき上司にタメ語で話していただろうが‥




謎の乾杯が始まり、女Aは両脇に後輩の男を抱えながら男の酒に顔を埋めて代わりに啜っている。


普段は綺麗な25歳の女性なのに‥。


近隣の席では同期が先輩に命じられてネクタイを頭に巻き始めている。店員の視線が痛い。



夏バテのせいか倦怠感が強いのに何で酒を強要されているんだろう‥。お前ら全員20代だろ‥。


目が合った先輩が尋ねてくれる。

「大丈夫、、?」

急に居た堪れなくなりトイレに駆け込む。



席に戻り、先輩達に別れを告げる。

「すみません、ちょっとお先に失礼します。申し訳ないです」

無理強いはしない派だから、という表情を見せながら男BがOKサインを作る。

「いいよいいよ!苦しい思いさせちゃったね、ごてんねえ笑」

一応謝ってくれた事に感謝の気持ちが沸いたので、気を遣わせ過ぎないように軽く嘘をついた。

「いやー実は最近連日のように職場のイベントが入ってたんで今日の式典を入れると13連勤なんですよ!笑 それでか体調が微妙でして、すみません」



すると男Bの顔色が変わり、やれやれといった表情になる。俺はもっと大変なんだぞと。


「まあそうなんだね!厳しい事を言うと、苦しい時ほど人間は成長できるからね!笑」





酒を覚えたての猿が人間を語るな。



こちらの気遣いは高等過ぎて伝わらない様子か。



「そうですよね、頑張ります!笑」



ちらと見ると、さっきまで散々騒ぎ散らかしていた女Aがゲホゲホと咳き込み、トイレに駆けている。





令和になっても飲み会は最適化されていない。


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