第九十一話:異変
語り:レクス
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とりあえず出来るところからということに
そんな先行き怪しい状況の傍らで
密かに異変が起きていた
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「とりあえず、ライトセイバーは微調整だけする。ヴァド、1人で出来るだろうからお願い。期日は1日」
「了解しました。まあ、こちらの大陸のメイルであれば問題ないでしょう」
「自分は、この黒蒼刃を先に調整する。調べたところ・・・これ、2体のメイルを合わせてない?」
そう言って、リーデルさんがレヴァイを見る。
彼は頷く。
「さよう。元々は別々のメイルであったのを頭部の壊れたこのメイルにもう1機の精霊炉を移植したのでござる。こちらが元であり、あちらが模倣品故にうまく起動できたといったところでござる」
「なるほどね。だから武具霊も少し違和感があると感じながらも動くことができてるんだね。そのあたりの調整をしてあげる。こっちも・・・うん、1日でなんとか」
そう言って早速行動を開始する2人。
その間に、レイセリオを運営する議会に顔を出すことにした。
一応、色々と融通してくれる話になってるみたいだし。
議会は塔のそばにあった。
なんでも、ここから送るエネルギーの分配や収集率の確認などがメインのお仕事らしい。
建物に行って入り口の人に伝えると、すぐに中に通してくれた。
「ようこそ、レイセリオへ」
ヴァドさんよりさらに年上と思える男性が出迎えてくれた。
議長を務めている人らしい。実質、この都市のトップだとか。
「しかし・・・同行者の中にラウニィ嬢がいるとは。少し驚きましたよ」
「・・・うん。久しぶり」
うん?2人は知り合い?
「知り合いと言いますか・・・彼女はメイル乗りではないのはご存知ですよね?」
「ええ。なんでもメイルに乗ると普段のように戦えないので危ないからと」
「その通りです。そこでスクワイアに乗り、フォロー役にと思っていたのですが・・・彼女がスクワイアに乗ってもメイルへの恩恵が不明だったのです」
恩恵?
よくわからんという顔をしていると、彼は教えてくれた。
「スクワイアがメイルの補助能力であり、この大陸での遠距離攻撃手段の一つとされているのはご存知でしょう。実際、スクワイア装着したメイルの戦闘力は上昇しております。それとは別に、スクワイアに搭載している魔水晶・・・メイルで言う精霊炉にあたるものなのですが、こちらに搭乗者が魔力を送ることによってそれ以外の現象も確認されているのです」
「・・・うん。具体的には高くジャンプできたり、走るのが少し早くなったり」
「中には、剣など武器を振る速度の上がったという現象もあります。ただ・・・彼女が乗るとなぜかどれも起こらないのです。それだけではなく、本来は長距離まで届く魔弾を撃てるのですが・・・中距離から近距離の間くらい距離でしか威力がでませんでした」
ほう・・・。
なんともって感じな能力。
「それ故、対人戦なら実力者なのですが・・・メイルやスクワイアでの実戦経験がないのです」
「すごく詳しくご存知ですね?」
気になったので聞く。
「彼女の能力検証にはこの都市も協力しましたからな。ちなみに、今回あなた方の担当となったリーデルもその時の担当をしてます。なにかに気づきそうな雰囲気はあったのですが・・・結局その時の検査結果ではわからなかったそうですね」
一体何年前に検証したりしたんだ・・・?
ラウニィのことを少し知り、滞在期間の必要品は提供してもらえるとのこと。
ただ、アースの現状を教えたところある程度の期間で経過方向をしてほしいとのことだった。
リーデルさんの所に戻ると、彼女は小型端末を見て悩んでいた。
ヴァドさんは、ライトセイバーの前でなにやらチェックを入れていた。
レヴァイとアンキセスは・・・都市の人の多い地域行って情報集めてくると言っていたっけ?まだ戻ってない。
「ただいま。そちらはどうですか?」
「うん?ああ、お帰り!自分の方は終わってるよ。今はアースの状態をもう少し詳しく見てるところ!」
・・・別大陸のメイルでしかも合わせ品の調整をもう!?
秘級技術士となると、肩書だけじゃないんだなと実感できるなこれ。
「おかえりなさい。わしのほうも今最終点検が終わったところですじゃ」
そう言ってヴァドがこちらにきた。
「向こう、何か言ってた?」
リーデルさんが聞いてくる。
「まあ、簡単な挨拶しただけだよ。・・・ラウニィのことを少し聞いたくらい」
「・・・うん。喋られた」
「ああ、あの事だね。・・・どうも彼女のはかなり特殊みたいなんだよね。解析はしてるけど、もう少し情報が欲しいくらい」
そんな会話をしていると、2人が戻ってきた。
「ただいまでござる」
「ただいまー」
「おかえり。どうだった?都市は」
明日行ってみるとはいえ、先に少し話を聞きたい。
「すごいの一言でござるよ。技術の塊であった。向こうではまずお目にかかれないようなものもあったでござる」
それは楽しみだな。
そこで気になったのがアンキセスの表情。
なにか・・・かなり気になる話を聞いたって感じに思える。
「アンキセス、どうかした?」
聞いてみる。
「そうだな・・・正直、俺だけだと考えがまとまらない。意見を聞かせてほしい」
そう言って、全員席につくことにした。
「俺はレヴァイと違って都市の入り口そばに話を聞きに行っていたんだが、ちょうど南のほうからやってきたという商人に出会った」
僕たちと同じ方角から。
まあ、2国以外にも小国があるし・・・そっち方面からかな?
「それ自体はおかしい話じゃないんだが・・・問題はその商人たちの話だ」
商人が来るのはおかしい話じゃないけど、その商人自身に問題が?
「・・・うん?闇商売?」
ラウニィが首をかしげながら聞く。
「いやいや!それ、この都市に入る前に厳重に調べられるから入ってくること無理だよ!」
リーデルさんが手をパタパタさせながら答える。
「ああ、そういう話じゃなく・・・。簡単に言うと、魔獣に合わなかったそうだ」
うん?
「拙者達のように魔獣と接触しなかったと・・・?しかしいつも争っているわけではないとすれば、おかしくないのでは?」
だよな。
年がら年中、やり合ってるとも思えない。
「この話をしてなかったな・・・大抵は、森から山から数匹がにらみ合いをしているんだ。通ろうとする人々の規模によっては襲い掛かってくるし、規模によっては襲ってこない」
ふむ。
つまりこういう事か。
「・・・そのにらみ合いをしている数匹すらいなかったと?」
「そうだ。旅人や騎士団が撃退した後でもしばらくしたら数匹でてきてくるのが当たり前だったんだけどな・・・」
ふむ。
なにか引っかかる・・・。
あと、何か一つ情報が出たら繋がりそうだが・・・。
今まで監視していたものがいなくなった時
今までにらみ合いをしていたのがなくなった時
今までと全く違う行動を取るようになった時
それは、どういった時でしょう?




