第八十五話:そして旅が始まる
語り:レクス
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
目指す場所はこの大陸に
行き方は今は不透明
けれど、道はこの先に繋がるはずだ
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
急遽開催された祭り。
と言っても、ただ騒いでるだけだったような記憶しかない。
なにしろ「聖武具霊がきた」という情報だけしか伝わっていないからである。
「だれが」とか「どこから」といった内容は一切公開されていない。
騒ぎが大きくなりすぎるだけだろうからということだ。
なので、ただ飲んで食べて騒いでってだけのお祭り。
それでもこの国の規模がそこそこ大きいからして、盛大な感じになっていた。
女王国だけに・・・まあ、大変すばらしい光景であったとだけ言っておこう。
そんな翌朝、本日は旅支度の一日となる。
まず最初に案内されたのは、トレーラー待機場所。
そこにある1台のトレーラーの前に集まっていた。
「こちらが、用意した長距離移動用トレーラーです」
案内してくれた女性騎士が指さした方向には、これまで乗ってきていたトレーラーの5倍くらいあるんじゃないかというそんな大きさのトレーラーがあった。
まあ、元々のトレーラーがメイル積載型の一人旅用。積載場所を多くとるから生活面でかなり場所縮小されたモデルだったけど。
・・・よく考えたら、そんなトレーラーに一度4人乗り込んでたんだよな。
今回は3機のメイルを乗せるわけだし、それ以外にも少し小型とはいえスクワイアというメイルも乗せる。
その上、数人が生活する環境となるわけだ。そりゃ、大型化するよな。
「なお、事前にお伝えしておりますようにこちらは長距離移動用です。なので、生活空間を大きくとっております。人数的にはもう数人いけますが・・・メイルに関しては乗せれてあと1機となるでしょう」
同行者増えるときはその辺り気をつけてねってことかな。
中を案内されたが、本当に生活空間が広かった。
それでも、しっかり内部でメイルの整備ができそうな環境ではあるのがありがたい。
これから行く場所が場所だし・・・一人くらい雇えないか交渉してみるかな。
次に案内されたのは、メイル待機場所。
僕のメイル、レヴァイの「黒蒼牙」、アンキセスの「ライトセイバー」が待機していた。
その周りでは、技術士の方々が整備してくれていた。
そして、それらに並んで一機の小型メイルがあった。
通常メイルの上半身くらいの大きさかな。最低限としか言えない頭部をつけられ、両腕に当たる部分が巨大は盾になっていた。
盾の裏側には加工された魔石が取り付けられた銃身のようなものがついている。
これがスクワイアか。
・・・確かに、そのままだと動けないからメイルの背中に貼り付ける感じになりそう。
「・・・うん?」
ふとアースを見ると、腰に剣を刺していた。
「あの剣は?」
そう言って案内係の女性騎士に聞く。
「さすがに、あれを起動させての戦闘は避けた方がいいという見解なのですが、通常戦闘ならもうしばらく大丈夫だろうと。なので、我が国で作られた剣をアース殿の要望に従って調整したのをお付けしたそうです」
【感謝している。向こうで振るっていた剣とはやはり比べるまでもない良い剣だ】
「ありがとうございます」
女性騎士が礼をしている。
というか・・・向こうの剣を比べてあげるな。倉庫の奥に眠っていた骨董品だぞ?あれ。
その後は、旅に必要な物品の調達である。
「・・・うん。これは外せない」
「そう言って購入する調味料、すでに箱1つ分埋まってるでござるよ」
「まあ、良いんじゃないかな?調理担当をしてくれるということだし、彼女が必要と思えるものは用意するべきと思うぜ」
荷物持ちの2人、意見が分かれる。
僕?必要と思うのなら全部買っていけばいいという考え方。
そんな僕は、購入済みの品を箱に入れて台車に乗せる作業中。
量が多いから全員で行こう、という彼女の言葉に嘘はなかった。
「レクス、こいつも頼む」
「了解。そこに置いといて」
アンキセスが持ってきた箱にもいっぱい入っている。どうやら必要なの全部買いまくってるな。
ちなみに、最初やたらと敬語口調になりそうだったから「普通にしてくれ」といった。
これから長い旅になるんだし、疲れる。
向こうじゃ侯爵の息子だけど、こっちの大陸でその権力を使うつもりもないし意味もあまりない。
聖武具霊に選ばれたと言ってもそれくらい。
それに旅の間、ラウニィや彼に剣術を教えてもらうことになっている。
なので、固い口調はなしということになった。
ちなみに、レヴァイとも普通にしている。
少人数での旅だし、上下関係など無意味。疲れるだけだよ。
別の意味で、現在疲れてきておりますがね。
女性の買い物は長い。
それを実感する時間は夕方まで続いていた。
翌日。
「では、旅の安全・・・は無理だが、無事たどり着くことを祈っているよ」
女王がそう言ってくる。
うん。まあ、危険すぎることが起きないようには気をつけよう。
「道中気をつけて。旅の話を聞くこと、楽しみにまってますよ」
メレディアさんがそう言う。
終わったらその後どうするにしろ、一度この国に戻って報告することになっている。
グリアス王国も同じ。
国王と騎士団は昨日中に帰国している。挨拶も買い物に行く前に済ませていた。
そして、この場に後4人。
「気をつけてな」
「無事たどり着けよ」
「どんな場所だったか、後で教えてくださいね」
「終わったら、団長の墓にも行って聞かせてあげてね」
トロアさん、レイ、ライヤーさん、エリアさん。
銀の双刃時代お世話になった方々も、こちらが出発するまでこの国に残ってくれていた。
「必ず。団長の墓にもいきますよ」
「ああ。それと・・・レヴァイもあいつの所にな」
「むろん」
そう言って彼も頷く。
ちなみに、彼の話も聞かせてもらっている。ラウニィとアンキセスも。
彼と出会った時の話もしている。最初は笑い話だったけど。
「じゃあ、行ってきます!」
そう言ってトレーラーに乗り込む。
みんなと手を振り合い、見送られながら
リーベルト侯爵家の息子でもなく
1人のバウンサーでもない
「聖武具霊」に選ばれた騎士としての旅は、こうして始まりました。
ということで
この作品の本当の「旅の始まり」とする場所になります。
伏線貼ってるように、数人同行者が増える予定ではあります。
現在、しばらく書いてなかったので遅れが生じております。
が、最終章手前まで書きだめしてるので投稿間隔は変わりません。
修正入れつつ、投稿していこうと思っております。
切りがいいので、今週金曜日にこの章のラストを投稿して年内は終わる予定ではあります。




