第八十一話:情報整理
語り:トロア
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とんでもない光景だった
こんな能力なら向こうの事件でのこと納得できる
さて・・・話聞くか
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「急ぎ王宮へ人員派遣と城下町全体への情報伝達を!」
そう言って、メレディア騎士が他の騎士たちに指示を出している。
ほとんどの騎士たちが慌ただしく動いている。
向こうを見ると、グリアス王国の騎士たちも色々と走りまったり連絡を取り合ったりしている。
どうやら・・・まだ騒動があるようだな。
「申し訳ない。お急ぎでないなら、ご一緒に王城に来ていただけませんか?」
そう言って、メレディア騎士がこちらにやってくる。
それは問題ないのだが・・・。
「お偉いさんとあまり接する機会のない職業人ですが、王城に行っても問題ないのでしょうか?」
ライヤーが聞く。
それに、メレディア騎士は頷いて答える。
「その辺りは我が王はあまり気にしませんので。逆に、話を聞きたいからぜひ来てくれというでしょうね」
なるほど。なら問題なし。
レクスは・・・なんかラウニィって子に話しかけられてるし置いていこう。
振り向くと、レヴァイはこちらにいた。
彼も?と視線を向けると、目の前の女性騎士は再び頷いた。
そうして6人で固まって王城に行くことになるのだが・・・ちょうどいいかな?
「すまない。歩きながらで失礼かもしれないが、先ほどの質問の続きをいいだろうか?」
あまり大っぴらに話せない内容なら後回しになるだけだが。
「そうですね。・・・この後の会議のことを思うなら先にお答えしておく方が話についてくれやすいかと思いますし。いいでしょう」
そう言って、歩きながらの質問会となるのであった。
「まず、聖武具霊の質問。先ほど言いましたようにメイル誕生時代より、メイルと契約してくれる武具霊の中でも最上位に位置するものです。多くの聖武具霊が姿を消し・・・現在では唯一『リッター』だけが確認できているというわけです」
「あの出で立ちを見ると納得できる・・・といったところ、認識が違うとおっしゃっていたのは?」
「そもそもあの機能については聖武具霊が宿っているかどうかは関係ありません。神衣起動を行うと、メイルの一部に変化が起きるだけのこと。最も、どう変わるのかは宿る武具霊がメイル自体に影響を与えるようで・・・メイルごとに変わるようです。と言っても、聖武具霊以外だとあまり変化を感じられないそうですがね」
・・・うん?何かおかしい。
そう思った時、いち早くそれにこたえる者がいた。
「少しお待ちを。『メイルごと』と今おっしゃられたようでござるが・・・神衣起動ができるのは聖武具霊の宿るメイルのみなのでは?」
そうだ。確かそう聞いたような気がする。
レヴァイはその話を聞いていないはずだが・・・先ほどの光景やあれを行ったのがレクスのメイルだけだから状況的にそう思ったのかな?
そう思っていると、とんでもない発言が飛び出した。
「いえ。神衣起動と名付けられたのには理由があったそうですが・・・元々は『リミッター解除状態』になることを言うそうです」
「リミッター解除?」
「武具霊は絶大な力を持っております。我々が知る意思を持たない武具霊であっても、現在確認されている力は抑えた状態だとわかっております。『神衣起動』のワードによってリミッター解除となり、武具霊の力は限界ラインまで開放されます」
つまり・・・神衣に関してはあの武具霊限定の能力ではないという事か?
「ちなみに・・・開放されるとどれくらいの力を発揮できるように?」
メイル乗りとして、レイが期待に満ちた顔をして聞く。
「今、最も普及しているメイルに宿る低級武具霊でも・・・中級種に圧倒できるだけの力を」
「「「っ!!」」」
それは・・・すさまじいな。
だが・・・そう上手い話でもなかった。
「ただ・・・意思を持つ武具霊ならある程度その意思をもって自制するのですが、意思を持たないモノの場合自制しません。限界ラインといいますが、実際はそれ以上の力を発揮しようとします」
「そうなると・・・どうなる?」
「簡単です。制御不能になって暴走します」
・・・暴れるだけの存在になると。
魔獣と同じようなものになりそうだな。
「また、ある文献の情報ですが・・・意思を持つ武具霊の場合でも、リミッター解除を行った時にとった行動を繰り返し行うことによってリミッター解除と同時にその行動をとろうとする傾向が強くなるそうです。文献の中の情報なので正確かどうかはわかりませんが・・・」
「・・・いや。恐らくその文献の情報は正確でござろう」
レヴァイが何かを思い出すように告げる。
メレディア騎士は不審な顔をしているが・・・俺たちは理解できた。
あの事件・・・あのメイルに起こった現象はそういうことが積み重なった結果だったのだろう・・・。
気を取り直して、次の質問に移るか。
「先の質問の内、『聖武具霊』と『暴走の兆候』についてはわかりました。・・・もう一つ」
「ええ。『聖の契約』ですね」
それが何なのか・・・を聞く時間が足りなかった。
それなりに距離があったのに、俺たちの歩く速度が速かったのか・・・王城が見えてきた。
「それを教えるのは、この後の会議の場でさせていただこうと思います」
つまり・・・俺たちも出席しろという事かな?
そう思っていると、城の入り口についた。
「メレディア騎士!おつかれさまです!場所は2回の大会議室で行うとのことです!」
「ありがとう。彼らも参加していただきますが・・・席の準備などは?」
「恐らくそうなると思うと、副官殿から人数の連絡はいただいております!」
「助かりますね。ほかには?」
「主役や、向こうの王族の方の到着を待つそうなので・・・会議は3時間後に行うとのこと」
「・・・それで間に合うと?」
「はい。どうやら、模擬戦の間からすでに向こうを出発しているそうで」
「わかりました。ならその時間で問題ないでしょう」
そう言って、一緒に王城内に案内される。
「大会議室の隣に、談話室があります。そちらで会議までおくつろぎいただきます」
出席は確定か。・・・レイが余計な事口走らないように先に注意しておくか。
神衣起動の真実:リミッター解除
本来の精霊炉に宿った武具霊はその力を抑えた状態である。リミッター解除は、その枷を取り払い本来の力を解放させること。メイルの姿に変化が起こるのは、下の問答説明に記載。
Q、第一部の説明を偉い違くない?
A、元々「聖武具霊」は第二部の大陸でのみ確認されている。それ以外の武具霊は意思を持たないのでそもそもリミッター状態のことを知る人物が第一部の大陸にいなかった。それ故に「リッター限定」の能力と伝わっていった。
Q、リミッター解除が神衣起動に変わった理由は?
A、一番最初に聖武具霊のメイルと契約した乗り手がリミッター解除を知り実行。姿が変わることも含めて「リミッター解除とか・・・なんか味気ない」と言って名付けた。その後、聖武具霊同士の伝達でこのセリフが起動キーとすることになった。なお、この人物はリンカーだったようである。
Q、姿が変わるのは初期のころから?
A、第一部でアースリッターが、捨てられていた不要装甲を使って肩のマント型装甲を作成した。
変化する部分は武具霊自身が手を加えた装甲に力を宿らせて、リミッター解除することによって「本来の戦い方」ができる状態に移行できるように「武具霊自身」が作っている場所を指している。
初期の聖武具霊の宿ったメイルの記録を調査し続けた結果そういう結論に至ったそうである。
なお、アースリッターに確認すると「手を加えたのは頭部と両腕」というのでまず間違いないとされている。




