第七十九話:アースリッター
語り:トロア
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聞くと見るとは大違い
それを本当に実感する瞬間だった
それ以上に一気に情報が出たのについていけなくなりそうだ
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【『神衣起動』】
そのセリフは知っていただけだった。
どういう事が起きたのかも聞いただけだった。
それが、今目の前に現れた。
正面にあったマント型装甲は今は羽根のような形になっている。
両腕からは魔力で形成されたような、光る剣が出現している。
「・・・すげぇ」
レイが驚いた表情のまま固まっている。
「これは・・・実際に見るととんでもない光景ですね」
「だよね・・・とても綺麗な剣。素人が見るからただ綺麗としか感想が言えない」
ライヤーとエリアさんも驚いた表情をしている。
「な・・・なんでござるか!?あれ!?」
レヴァイは完全に理解が追い付いていない。
と言っても、俺たちも「神衣」についての話を聞いていなかったら理解できなかっただろう。
そんな時に聞こえてきた声で、俺たちも知らない内容が含まれていた。
「・・・暴走の兆候がない。やはり、あのメイルには『聖武具霊』が宿っているのか?」
「間違いないでしょう。意思を持ち言葉を発していた。・・・副官、すぐに連絡魔道具で王城に連絡入れてください。王城に行って報告してこいとはいいません。この後の戦いを見たいものしかいないでしょうから」
「・・・うん。謀反が起きる」
「了解しました」
そう言いながら、副官が後ずさりしている。ちなみに後ろでは、その話の聞こえていたと思われる女性騎士が「視線を正面」に向けながら魔道具の準備をしていた。
「ラウニィ、君が以前より感じていたのはもしかして・・・」
「・・・うん。彼を見た時に何かつながったとは思った。けど『聖の契約』が関係するとは思ってなかった」
「なるほどね。・・・と、向こうも慌ただしくなってるようですね」
「・・・うん。こちらと同じ内容共有してるから、合同訓練以上に慌ただしくなりそう」
今聞こえた発言だけで、3つの知らない単語がでてきた。
「申し訳ない。俺たち4人は向こうで『神衣』についての話は聞いているんだが、今の会話で知らないものがあって・・・教えていただけないだろうか?」
気になるので、俺はそう言って2人に近づいた。
「あまり詳しく話す余裕がありませんので、詳しくは後程にしますがよろしいでしょうか?」
そう言って視線を外すことなくメレディア騎士が答えてくれる。
「はい。簡単にで・・・。まず『聖武具霊』とは一体?俺たちは『神衣の力をもった武具霊』としか教えてもらってなくて」
「・・・どうやら、一部分のみが伝えられているようですね。もしくは、詳しい部分は省略されているのか」
うん?なにか違うのか?
「そうすると・・・『暴走の兆候がない』ということもわかっておられないでしょうね」
はい。わかってません。
素直にうなずくと、彼女は話し始めた。
「『聖武具霊』とは、メイル誕生時代から存在している武具霊の中で最も力を発揮した武具霊に付けられた総称です」
「なるほど。・・・あの出で立ちを見ると納得できるかと」
「あれについても・・・認識の違いがあるようですが、長くなるので後でしましょうか」
・・・うん?なにか認識の違いがあったのか?
「それで、ほかには?」
そろそろ始まりそうだな・・・。
「ありますが・・・やっぱり後にします。全部まとめて話した方が理解が追い付きそうで。意識を別方向に向けたままでする話ではなさそうです」
「そうですね」
そういって視線を前の2体に向ける。
『まさか、自分の対戦者が『リッターに選ばれた騎士』とは思わなかった。向こうの大陸では魔銃が主流と聞いていたが・・・違うのか?』
【その認識に間違いはない】
『僕は・・・「リンカー」だ。その知識の中で「騎士剣」という言葉が離れないくらい「騎士=剣」という図式が出来上がっている』
『なるほど!納得の理由、教えていただきありがとう!では、お主の剣は「我流」で間違いないな?』
『そりゃ・・・古い文献に一応剣術書があったから読んでるけど、それくらいだ』
『了解した!その場合そちらから攻撃を開始してもらいたいところなのだが・・・リッターが相手だとこちらが挑戦者!申し訳ないが先手はいただく!』
【・・・先の発言がなければまともと言えるようだな。では先手を譲る前に一点だけ言わせてもらおう】
『ぬ?なにか?』
【我の今の名は「アースリッター」である。我が騎士より受け取りし名、現在の略称は「アース」である】
『それは失礼した!そして失礼ついでに、アースの騎士。名を改めて伺おう!』
『僕の名はレクス』
『レクス殿だな!では・・・再度名乗らせていただく!我が名はアンキセス!我が剣「ライトセイバー」の力を示させていただく!』
そして、戦いが始まる。
宣言通り、先手は向こう・・・って速い!
距離はそこそこ離れていたと思っていたのに、一気に距離が縮まっている・・・今まで見たどのメイルよりも速い!
「あいつ・・・口だけじゃない!」
そう思った瞬間にはすでに剣の届きそうな位置・・・そして一気に剣が振られる!
恐らく、俺たちならその一撃で終わっていただろう鋭い一撃・・・。
だが、次に聞こえたのは甲高い音と・・・停止した2体のメイル。
その片方の首筋には・・・剣が添えられていた。
「・・・」
一撃目をはじいた後、二撃目が来る前に攻撃を入れていた?
見えなかったわけじゃないが・・・それでも速過ぎるだろ!
「・・・えーと」
審判役の騎士がどうしようかと悩んでいた。
すると、2機は再び距離を取った。
『はははっ!すごいな!』
そんな楽しそうな声が向こうのメイルから聞こえる。
しかし、戦闘態勢は解いていない。
どうやら、今ので決着したとはしないようだ。
それは、レクスも同じみたいだ。
聖武具霊と神衣について
色々と後から設定のように追加情報の出てくることになる部分です。
完全な説明については最終章あたりの会話で入れる予定ですが、そこで話の食い違い部分も説明することになるかと。
現状は「以前と違う説明でどういこと?」という状態で進めますのであしからず。




