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Connected Stories ~繋がる物語~  作者: requto
序章 始まりの物語
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第六話:決意と不安が一緒に

語り:アイリス


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

よく考えたら、今回の調査って依頼にはいってなかった。

けど、彼にはなにか考えがあったんだろう。

そう思って調べ終わって帰ったら・・・

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

「・・・じゃあ・・・みんな、父を見捨ててなかったんだ」


彼らが調べてくれた中には、領民に当時の話を聞いてくれた内容もあった。

みんな、父を助けるために行動してくれてたんだ。

中には小さな子供が「領主様をたすける!」と言って家族と王都に向かったという話もあった。

おじいさんおばあさんも連れだって王都に向かったという人たちもいた。

・・・みんな、その道中で殺されてしまったそうだ。

王都について、父の最後を見た人もいた。みんな今でも悔やんでると訴えていた。

なんとか今の子爵の悪事を見つけて一矢報いてやるって警備兵の人もいた。


嬉しかった。みんな、両親が大切にした領民だったんだ。

両親が大切にしていたように、領民たちも両親のことを大切に思ってくれていた。

亡くなったと思っていたこの土地の愛着心が戻ってきた。みんなの力になりたい。


「侯爵の一族のだれかがまだ生きてたら、またここの領主に戻って欲しいって話もしてたよ。

あの子爵、税を大幅に上げたそうで生活が苦しくなったって話も」

「それをなんとかするために、そちらのつかんだ情報を教えてほしい」

トロアさんが真剣な顔で聞いてくる。彼も全力で力を貸してくれるそうだ。


私は、隣にいた騎士長バンスに目配せをした。彼はうなづいてくれた。



「我々のつかんだ情報は、はっきり言えば『有りえない』と叫びたくなる内容です」

そう、正直この情報だけでも伝えてしっかり調査してもらえたらあいつの失脚は確実だと思える内容だ。


「あの男は魔獣被害の人為的に起こそうとしていたのではありませんでした。しかし、実際に行われたのは「人為的な魔獣被害」と言っても過言ではありません」

「「???」」

不思議な顔をするのも納得だ。矛盾してそうな内容だから。けど、それが真実。


「あいつは、魔獣の出現報告を受けた村からの救援要請を無視していたのです。それによって領地の村に被害がでていた。村が壊滅するのを確認したら

派遣していた騎士団の攻撃で魔獣を殲滅。襲われたという証拠、住民や魔獣の血、それのついた建物、そういったものを全てまとめて処分して全く同じ形の村を再建していた」

元々、その村のあったところは荒地みたいなもので草木が少なかったこともあったからその後森から引っこ抜いてきた木をそのまま植えて誤魔化していた。

「・・・住民は?そんな話知ったらそこに住もうと思うものなどいないと思うが」

「簡単です。結託してる伯爵の領地から生活困窮者を擁護する名目でその村に住ませていたのです。ちなみに、そっちの領地でも同様のことがあったという証拠も。付け食わるなら、そいつは子爵と結託してヒューレ様を貶めた男で、その事件前は子爵だったそうです」

「・・・無実の罪でっちあげて侯爵殺しに加担したうえで自分は昇格ですか・・・。よくそんな超重要案件になりそうなことの証拠つかめたな?」

「その村で直接話を聞けましたよ。自分たちがどうしてここに連れてこられたのか調べた人がいたのです」

「もっとも、その人はひとつ前の事件の時から住んでたそうだ。襲撃当時は森で食料調達をしていたので難を逃れたそうでな。

新しく連れてこられた人たちが村に向かってるのを見た時にこっそり紛れ込んでいたそうだ」

あの子爵は、この件を父が行ったこととして報告を上げたんだろう。自分たちがやっていたことなんだから詳細に状況報告ができるわけだよ。


「最悪を通り越してる・・・魔獣のほうがまだマシだと感じたよ、僕は」

「ああ、絶対許せねえ。全部証拠まとまったら俺はさっそく行動を起こすぞ。そんなやつ、一分一秒も今の地位に付けておいちゃいけねえ」

「そうだね、さっそくまとめ作業をしよう。これは全員でやろう、その方が早い確実に」

「だな。まとめられたら俺はこの国の伝手を頼ってから首都に向かう」


断る理由はない。あいつを吊るすためにも一つも漏らさずに内容を固めてやる。


「それが終わったらトロアさんは出発するとして、私たちはどうするの?」

「執事長さんに用意してもらった地図をもって潜入作戦を立てる。目的は2つ」

「2つ?」

「ひとつはメイルの探索。そこにあればいいんだけど。もうひとつは、その子爵が新しく建てた建物の見取り図。僕の予想だとメイルはそっちに移動されてる可能性がある。

あと、もし調べれそうなら2人のお兄さんの行方もかな?話にでてきてないからまだ生きてる可能性もありそうだし」


そこまで考えてくれてた・・・嬉しくてまた涙出そう



まあ・・・その夜にとんでもない話を聞いてしまったんだけど・・・


当日は2手に別れることになった。

彼とセバは館に侵入して目的の見取り図がないか探索。。

私とバンスは、元々格納していた場所を含めてメイルの置けそうな場所を探索。


日にちを開けたのは、トロアさんが移動中に襲撃を受けた際かなり大きな音を出す予定だからだ。

それでもしかしたら、館に騎士が在中してたらそちらに意識を向けるかもしれないということである。

そうすると侵入に少し後押しになるとのこと。


「危険なことまでやっていただいて、報酬の話もないのにありがとうございます」

出発準備中のトロアさんのところにちゃんとお礼を伝えに行った。


「うん?まあ、乗り掛かった舟ってやつでもあるが・・・ぶっちゃけ今の子爵が大きな顔してるのが気にくわないってのが一番の理由だな。仲間との合流まで時間があまってたし」

「仲間ですか?」

「ああ。元旅団の仲間。数人集まって小規模集団として活動しようと思うから合流しないかって話をもらってたんだ。ソロで片づけたかったことを終わらせたら向かうって話をしててな」

「なるほど・・・そういえば聞いてなかったのですが、彼も旅団に一緒にいたんですよね?」

「一緒にいたってだけだな。あいつはその当時、成人を迎えてなかったから。旅団メンバーで色々と技術を叩き込んだりしてたが」

「それで成り立てなのに・・・ちなみに、解散した旅団の名前をお聞きしても問題ないですか?」

「問題ないよ。『銀の双刃(ぎんのそうじん)』っていうんだ」


その名前を聞いて正直驚いた。この地方にも名前が聞こえてくる旅団だ。

たしか、夫婦が旅団のトップを務めててその操る魔銃が風の刃を撃ちだす特殊仕様のものだったことからその名前になったはず・・・。

噂で夫婦が依頼中に帰らぬ人になったって話があったけど、あれは本当だったんだ。


「・・・あ、そうか」

それで思い出した。確かここから王都に向かう途中で少し東によったところにある領地の運営をしてる男爵様。

たしか、その旅団と繋がりをもってるって噂があった。あれも噂じゃなかったんだ。

「だから、男爵様に内容を伝えたうえで王都に向かうことにしたんですね」

「そういうこと。先の予定はわからないが、最終結果まで知りたいからそのあと合流するつもりだけど。寄り道してって感じだから往復1週間はかかるかもしれないな」

「そうですか。まあ、彼にも頑張ってもらいますし場合によってはメイルで戦闘を行うって言ってましたね」


それを言うと、すごく不安そうな顔になった。なんで?


「すごい不安そうなんですが・・・なにか不安事項でも?」

「ああ・・・その・・・あいつに伝えてくれ。行動開始までもう少し日数のばしてくれって。俺が戻ってくる時間を稼ぐために」

「?いいですけど・・・なぜ?」

「忘れたんだよ・・・あいつのメイルのことを」


?より一層わからなくなった。


「彼のメイルに何か問題でも?」

「その反応は、あいつのメイルをちゃんと見てないって感じか・・・」

「・・・ええ。トレーラーに乗っているのを少し見ただけで。肩の前面にマントみたいなのがついてましたけど。耐久力を高めて魔銃で戦うのかと思ってますが?」

ちがうのかな?


「いや・・・あいつの武器、剣なんだ」

「・・・けん?」

「そう。片手で振り回せるくらいの片刃の剣。それ以外の武器はないらしい」


・・・それ聞くだけで不安が一気に膨らんだ。メイルが片手剣もって相手に突っ込んでいくってことだ。しかも、相手はその間攻撃し放題。


・・・正気じゃないでしょ?


「・・・なんでそんなメイルに・・・?」

「わからん。俺も聞いたんだが『こいつは自分の相棒だから、何を言われても変えない』ってだけしか聞いてないんだ」

「戦闘を見たことは・・・?」

「正式登録してないやつを魔獣討伐の現場に参加させることはできないよ、さすがに」


不安が・・・ふくらむ・・・


「おまけにあいつ、剣の練習って素振りをしてるのはいいんだけど・・・なんか両手にもって素振りしてるのも見たことあるんだよな・・・」

「・・・メイルに持たせてるのが1本なのに?」

「1本なのに」

うなづきながら肯定されてしまった・・・


翌日、なんとか説得して行動開始まで4日間とってやった。苦労した・・・

元々2話に分けていた話を切り詰めて投稿したので

少し他よりは長くなりました。

それでも他の先生方の作品に比べたら文字数少ないかもしれませんが

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