第六十六話:当時と現在の違い
語り:レクス
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彼の記憶を頼りに
目的地のある場所を予想する
あと向かうルートの選択だけ
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時は、その事件から少し進んだあたりとなる
「・・・つまり、やはり当時と違って地形が変わりすぎてわからないと?」
【残念ながら。まさか世界地図を見るとここまで変化しているとはな・・・】
今僕たちは、トレーラーの中にいる。自動運転で目的地に向かってる道中である。
前の街で偶然にも簡易的なものだが世界地図を入手することができた。
と言っても、この大陸のことは詳しく書かれているが他の大陸の状況はあまり詳しくない。
せいぜい国の名前と国境、それと湖と山の位置。あとは世界的にも有名になった地名くらい。
その地名もそれほど多くはない。
さて・・・そんな地図でも当時の国名が合致する場所で大体の位置を予想できるようなものなのだが・・・そういうわけにもいかなかった。
「どうやら、国から出る前に見ていた『大陸崩壊の裏にいた巨獣の群れ』って著書に間違いはなさそうだね」
【実際、巨獣の群れが世界を襲ったのは事実だが・・・それがここまで影響しているのは予想できなかったよ】
どれくらい違うのか。
ひとつ。当時と同じ国名がほとんど残っていない。似たような名前の国ならあるが。
ふたつ。元々大陸があったと思われる場所が島国になっていること。それなりの大きさの島もあるので元々一つであったとしてもおかしくない。
みっつ。山があったと思える場所が平地になってる。これくらいならまだマシなのだが、中には山だった場所が湖になってたりする。
よっつ。そもそも、この大陸はもっと大きかったそうだ。つまり・・・分裂している。
どんだけ変わったんだよと言いたいレベルだ。
「この大陸にある湖があり当たり、もともと山があった場所だったかもしれないとか・・・」
【どのようなことが起こったかはなんとなく予想できるがね】
「初耳だ。教えてもらえるの?」
【巨獣討伐の方法として推奨されているのが、前回君がやったように脳を直接破壊。もしくは心臓を狙うといのは周知の事実】
「うん、それはどの国でも同じ情報だと思うよ」
【ちゃんとした理由がある。巨獣は魔獣が大量に魔力をため込んで成長する傾向が強いのだ。その過程でため込んだ魔力だが・・・消費されつくしていない。体内にまだ残っている場合が多い。量は個体によって変わるそうだが・・・】
「なんとなくわかった。・・・つまり討伐したときに運悪くその魔力の蓄積されてる場所を攻撃して吹っ飛ばしてしまったと?」
【正解だ。しかも、討伐を繰り返しているうちに同種の巨獣でも個体によって場所が変わるようだと判明】
「なるほど、それを繰り返して安全に討伐できる方法は一撃必殺しかないとなったわけか」
【うむ。恐らくその湖・・・記憶違いでなければ大規模な部隊での複数同時討伐が行われた場所だ。山間部に厄介な個体が集結しているという話を思い出す】
なるほどね。先人たちのおかげで、今そういう被害がないように討伐できるようになってるのか。
しかし・・・それだと疑問が残る。
「じゃあ、これだけ大陸の形が変わったのもそれが理由か?それだけだと弱い気がするんだけど」
今の話だと山間部が吹っ飛んで湖ができたというのは複数体同時ならわかる。
けど、そんな状況がこれほど変わるレベルであったのか?
疑問に思っていると、少し間があいてからアースが話し始めた。
【・・・これは私も未確認のこと。一応、過去にそういう話があったというレベルで聞いてほしい】
「了解」
【実際出会ったという話も聞いたが、回ってきたものなので信ぴょう性が薄い。それを踏まえて話そう】
えらい念押し。それだけの話なのか?
【この世界には、3体の巨獣を超える魔獣が存在しているとされている。「聖獣」と呼称されているものだ】
それは・・・どんな文献にも載っていないな。
えらい念押しするわけだ。確定情報が今のところ存在していないというレベルの話なわけか。
「その聖獣についてわかってることは?」
【まず第一に、陸海空と3か所に1体ずつ存在しているとされている】
「ふむふむ」
【そして、それらの力は天変地異を起こせるレベルとのこと。・・・聞いた話と合わせると恐らくこの島国となってる地が該当しそうだ】
「天変地異・・・それくらいできるのならこうもなるだろうけど、本当にそれだけの力が?」
【・・・この島国が私の記憶通りの地なら、かつてここには「ファルサラと同等の大国」があったはずだ】
・・・マジかよ。
【その国が巨獣の討伐に大規模部隊を展開するという話があったが・・・しばらくして国との連絡が取れなくなったという話だ。不思議に思って対岸までいった当時の騎士が「海からとてつもなく巨大な魔獣の頭がでていた」とのこと。別の島から見て巨大な・・・という話だ】
「・・・そいつは今ももちろん生きてるよね?」
【間違いなくな。討伐されたという話を聞いた覚えがない・・・というか】
その言葉の直後。
一瞬だけ影が差した。本当に一瞬だけ。
特に空模様がというわけでもないし、飛行生物が飛んでる雰囲気もない。
「・・・」
いやな予感がよぎった。もしかして・・・
【うむ。今のがそれだと言われているな】
なるほど・・・確かに特におかしいことがないのに一瞬だけ影がよぎることはある。
まさか・・・巨獣が飛び回ってると思っていたらそれ以上の存在の可能性があったとは。
・・・ひとつため息。気持ちを切り替えよう。
「・・・とりあえず、とんでもない存在がこの世界にいる可能性があることは覚えておく。で、話を戻そう」
【そうだな。今、その者達のことを考えても仕方がない】
そう言いつつ、地図を再確認する。
「記憶頼りだと、恐らく北東方向が濃厚。より正確に言うなら北北東の可能性が高いと」
【うむ。それを踏まえて恐らく一番近い港町は決まったようなものであろう】
「うん。間違いなくここが一番近い。・・・けど却下。別のルートを考える」
【なぜだ?それだと乗船チケットが2枚必要になってくるのではないか?】
「なんだよなぁ・・・気前よく渡してしまったけど、先にこの話をするべきだったと今更後悔」
【後悔しても仕方がなかろうに。なら最短ルートで・・・】
「だから却下」
【では、なぜその港町に行くのをいやがる?】
まあ、アースが知らないのも無理はない。
「この港町はとある国の首都の一部でね。その国の名は・・・女王国エーテルトという」
聖獣の設定はこの話を書いてるときに湧いて出てきました。
ただし、戦闘はしません。というか勝てる設定の相手ではありません。
「主人公最強設定」の作品ではありますが、限度はありますという設定なので。
なお、この章で第一部おしまいというタイミングでもありますし
今後の部分について少しだけばらします。
この作品に「魔王と戦う」とか「巨大な悪を倒す」とか「神(悪魔)に挑む」といった要素は
一切ありません。




