第六十三話:とんでもないことになってる
語り:トロア
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新人に無茶ぶりするととんでもないことになる
それはどこにでも起こりえることだろう
けど、残念ながら今回のは
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「ばかやろーーーーーーっ!!仕方ないですむ話じゃない!」
という話である。
そんな大声を上げて、受付担当に拳を振り下ろしているのは
この港町で乗船チケットを管理して販売や交換を担当している発券所のトップである。
現在そのような状況になってるのは、新人君が2回も同じ問題を起こしてしまったからである。
突然のことで何がなんやらであろうから、時を少しさかのぼる。
1回目は数日前のことである。
港町ラスティアートはここ最近、かなりの旅行者が来ている。
というのもこの港町が完成してちょうど100年になるそうだ。それが今週だったと。
港町のトップがそれを記念して、渡航チケットの割引や海岸で行うイベントを多数企画。
それが人を呼ぶ効果絶大となったわけである。
元々チケットはかなりの高額。元の国に帰ろうにも、孫の顔を見せに行こうにも簡単に行けるものじゃない。
なので、この機会に往復でチケットを購入してという人々が殺到したのである。
さて、そんなことがあり発見所は大混雑。
渡航チケットを事前に持っていたら、後は行先を決めて乗船チケットに交換してもらうだけで済むのだが・・。
初めてこの港町にくる人々も多く、それを知らない人も多数いたことがさらに混雑に拍車をかけていた。
手続きの流れ、事前にある程度調べてたらその辺りわかるものなのだが・・・。
そうして、受付担当の人数もフル稼働。ただ、休憩の時間や体調不調はあるもの。
なのである程度流れを教えた新人に交換のみで済むカウンターに入れて、1から手続きの必要な客を熟練者が担当することになった。
そして問題の当日、その客は昼過ぎにやってきたそうだ。
渡航チケットを持っていたので交換所に来た男は行先を告げ、新人はチケットの有効期限を確認し問題なかったので引き換えを行う。
ただ・・・渡したチケットが問題だった。
渡航チケットと一緒に「渡航先の国名を書いた紙」を渡して交換となるので、この国名の記入用紙が残っていたので発覚。
渡すチケット・・・間違えた。しかも渡したチケットの出航時間までそれほど時間が空いていない船のチケットを。
気づいて職員が探しに行くものの・・・すでにその時は出航済み。呆然と船を見送ったそうだ。
なお、チケットを渡したのは前述のとおり男。覚えていた特徴は「若干日焼けした肌」と「長いマフラー」だったそうだ。
2回目は今朝。ぶっちゃけ祭りの当日だったりする。
状況は上記とまったく同じことをした。
ちなみに、新人君また怒られると思ってその話をすぐに報告しなかったのが問題。
今回は、出航まで前回より余裕があったからすぐに対応していれば間に合った可能性があったそうだ。
1回目の時、かなりこっぴどく怒ったそうで。
ただ・・・報告しなかったから前回以上に怒られてる現状。
俺たちがこの場にきたのは、ちょうどその怒られてる真っ最中だったというわけである。
本日が割引の最終日ということもあるし、みんな昼食を先に住ませているのか今の時間帯はそれなりに空いていた。
それを見越してこの時間帯を狙ったのだが・・・修羅場に遭遇するとは。
「えーと・・・」
エリアさんが果敢に現場に挑む。
「うん?・・・ああ、すいませんね。お待たせしていて」
そう言ってトップさん、笑顔になる。表情がころっと変わりましたな。
「いえ・・・それより、何かあったのでしょうか?」
ライヤーが少しびっくりしながら話を聞こうとする。
「ああ・・・ちょっと、新人が問題を起こしてしまいまして」
詳しく話を聞くのも、関係があまりないからな・・・難しいか。
そう思っていると、笑顔のままこちらを見ていたトップさんがその表情のままこちらにやってくる。
「ところで・・・お客様方はどのようなご用件で?もしかして乗船ですか?渡航ですか?」
もみ手しながら聞いてきた。なんか怖いな。
「理由によっては渡航するかもしれないな。あいつがすでに船で渡っていたらだけど」
レイが物怖じしないで言う。
「・・・あいつ?だれかをお探しで」
「バウンサーの1人でな。レクスって名前の奴がこの港町に来てると思うから探してるんだ。
渡航チケット持ってるはずだから、交換所のほうに来てると思うんだが」
レイのその言葉に、音が鳴りそうな勢いでトップさんが新人に振り向く。
新人君、その時にはすでにチケットを渡した客のリストを見ていた。
「・・・あ!ありました!」
「どこに行った!?どこ行きの船のチケットを渡した!」
「今日、間違ったチケットを渡したお客様です!!」
「よっしゃぁぁぁぁぁっ!!」
トップさん、いきなりガッツポーズ。怖いわ。
そうしてすぐに笑顔でこちらを向く。
「あの・・・詳しいお話をさせていただきますので、ご協力をお願いできませんでしょうか?」
・・・なんか知らんけど巻き込まれた感じがするな。
章自体が閑話みたいなものなので、いつもよりさらに文字数少ないです。
なので、この章は一気に公開していこうと思います。
なお、新人君は「作者の犠牲者」です。
話を面白く・・・うまい事持っていくために生贄・・・犠牲になってもらうために登場していただきました。




