第六十話:ひと騒ぎと衝撃
語り:ウォート
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街が見えたときは安堵した
しかも、そばに多数のメイル用トレーラーが止まっていた
これで安心できると思った
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街につくと、すぐにミストを病院に担ぎ込んでそのままアーネと一緒に組合所へ。
「頼む!手を貸してくれ!」
そう言って、勢いよく扉を開ける。
すると、そこには多数のバウンサーと受付嬢に支部長と思える男もいた。
「あんたは・・・確かウォートさんだっけか?森の魔獣討伐を受けてくれた」
男が聞いてくる。確かレックスという名前の長だったな。
「ああ、そうだ。そのことで話があるのと、ここにいる奴らに頼みがある!」
「どうやら、なにかあったようだな。詳しく聞かせてくれ」
そう言って1人の男が話しかけてきた。
聞くと、彼は旅団を率いる団長とのこと。湖での顛末を伝えに戻ってきていた。
他のバウンサーも、恐らくそれに参加していたメンバーだろう。
「すまない。討伐が終わって戻って報告と疲れていると思う。・・・だが、こちらも緊急事態なんだ!動けるメンバーだけでもいい。協力してほしい!」
「あー・・・なんというかだな・・・とりあえず、話してくれ」
なにやら難しい顔をしているが、一刻を争う。
「こちらの魔獣討伐は失敗です。・・・無知な私たちの行動が逆に被害を拡大させる結果を引き寄せてしまいました」
そう言ってアーネが頭を下げながら言う。
「・・・とりあえず、簡潔におじさんたちにわかるように話してくれや」
そう言ってレックスが聞いてくる。
無駄な説明はなしで行こう。
「森に現れた巨獣の正体は『神狼』と特定。討伐に向かったバウンサーの生き残りは彼女含めて2名。もう1人は傷を負った状態だったので病院へ連れて行った」
そう言うと、一気に部屋から音が消えた。
少しして、レックスが頭を掻きながら盛大にため息をついた。
団長である男もため息をついた後、首を振ってすぐに表情を引き締めた。
「副団長!すぐに動けるメンバーに準備させろ!急がないと手遅れになるぞ!!」
「俺たちも行くぜ!人数は多ければ多いほうがいいだろう!」
「使わなくて面倒だからそのままトレーラーに乗せた捕獲道具、そのままにしておいたのが正解だったとはな!」
レックスが何かを言う前に、ほぼ全員が行動を開始する。
開始していなかったのは、その存在を知らないメンバーだけ。
最も、旅団の団長をみてやばいと思ったやつは知らなくても行動を開始していたが。
「やれやれ・・・おじさんが指示出す前に行動開始してくれたのはありがたいねぇ。・・・ウォートさんだっけ?大変だろうけど、村へのルートはあんたが一番だろうから、彼らに追随してもらえるかな?アーネさんは行っちゃだめだからね」
「もちろんだ。道案内くらいいくらでもする」
「はい。・・・あれの詳しい話を聞いてますので、行こうとは思いません」
「おや?知ってたんですか、神狼のこと?」
「いえ・・・無知と言いましたように知りませんでした。同行していたバウンサーの少年に教えてもらうまでは」
「ああ・・・あの子か。何かありそうだと思ってたけど、まさか神狼の特性を知ってるとは思わなかったなぁ」
「ほへぇ・・支部長の予想当たってたんだ。あの支部長とめちゃくちゃ似た名前の子。ただ似た名前だからすごいと予想してたと思いました」
「・・・うちの受付嬢もなかなかいうねぇ」
そんな会話をしているときだった。
「・・・すまない。ちょっと気になった。その少年ってどんなやつだった?」
神狼のことを知らないメンバーに簡単に説明を求められていた、それをしていた男が近づいてきていた。
「どんなって・・・見た目と違ってすごい子でした。相手の特性を理解してすぐに村人へ避難指示、討伐に向かったメンバーをひと固まりにして街に向かうように言ってきたのも彼でした。余計な先入観を捨てて、彼も森に同行してもらえばよかったと思える逸材でしたよ」
「わしは、その子が周辺の魔獣討伐に行くというから同行したのだが・・・すごかったぞ。剣だけでどんどん魔獣を切り捨てていく様は見事としか・・・」
「ちょ・・・ちょっとまって!今、剣で魔獣をって言ったよな?」
「ああ、剣じゃよ」
「一度だけ拝見しましたけど、彼のメイルの武器は剣でした」
2人して不思議そうな顔をしているが、男は少しして納得した顔をした。
「なるほどね・・・。教えていた内容をちゃんと覚えて、対策方法もとれてるとは。確かに優秀じゃないか、レクスのやつ」
その言葉に、残っていたメンバーは全員驚いた。
「まさか・・・おまえさん、知ってるのか?この坊主のこと」
そう言いながら、レックスは彼に依頼受理したバウンサーの記入欄の見せる。
そこに乗っているのは、名前と性別、年齢、後はメイルの武装についてのみ。
しかし、それを確認して、彼ははっきりとうなづいた。
「知ってるさ。こいつは『銀の双刃』解散前に少しの間だけ一緒に行動していたやつだ。成人前だったから依頼参加はさせてなかったが、バウンサー目指すというから手の空いてる団員が色々と教え込んでたなぁ。少し懐かしいわ」
「「「!!?」」」
そして道中。
「・・・なるほどね。そんな奴がいたとは」
私の運転するトレーラーに同乗している団長が息を吐きだす。彼らの所有するトレーラーは早々に準備ができたのと速度がでるとのことで先遣隊としてすでに出発している。
「優秀じゃないか。これが終わって生きていてくれたら、うちにスカウトさせてもらうとするかな」
「そうですね。話を聞く限りだと小型中型なら問題なく対処しているようですし、問題ないかと」
団長の発言に副団長も同意する。
「しかし・・・おかしいな」
会話の合間、ふとした拍子に団長は違和感を覚えた。
「団長・・・なにか?」
「神狼が相手なら・・・そろそろ先行している奴らから目撃報告があってもおかしくないのだが」
彼らは部隊を3つに分けてそれぞれ間隔をあけて出発していた。
先遣隊は足の速い順番で出発しており、一番最初の部隊は数も少なくしている。発見次第すぐに撤退してくるようにするためだ。
2番隊は、一番規模が大きい。場合によっては一番最初に戦闘開始する部隊である。
当初は団長か副団長がここに配属する予定だったが、なぜか却下された。どちらも失うと旅団が成り立たないと猛抗議されたそうだ。
3番隊は長距離攻撃の得意なメンバーで構成。2番隊が戦闘開始しているようなら近づきながら援護攻撃するためだ。
そしてしんがりの4番隊。といっても団長副団長を含めて、旅団やグループ規模のトップたち。全員前のほうの部隊に入るのを却下されたのであった。
私が道案内なのにここにいるのは、時間がたってなかったのでトレーラーの走行後が残っていたから。逃げるときそれは考えている余裕などなかった。
結果として道案内はあまり意味がないとして、けれど結果は見届けたいと言うので最終組に加わることになった。非戦闘員なのでなおさら。
「逃げ延びれたものがいない・・・?いやしかし、どの部隊にも伝令役は配置しておいたしな・・・」
そうして進むことしばし、前方から走ってくる馬が見つかった。
どうやら伝令役のようで、そのままトレーラーの横につく。
「どうだ?目標は見つかったのか?前の部隊は戦闘中か?」
それに対して帰ってきた回答は
「先遣隊は、そのまま村に到着!そして探索したところ・・・村のほぼ中央に目標と思われる『死体』を発見とのこと!」
「「「はい?」」」
聞いた3人は訳が分からないという表情になっていた。
そして到着した村の中央・・・確かにそれはあった。
額から血を流して数日経過している、巨獣「神狼」の息絶えた姿を。
「うそだろ・・・どうなってんだよ?」
状況を確認しているメンバーも訳が分からないという感じであった。
一体討伐したのは何者なのか?
めだった外傷は、つぶれた右眼と眉間の傷。それだけだった。
「まさか、脳天一撃で倒したのか?・・・確かに生物である以上可能だろうが」
「いったい・・・どうやって」
見ていた2人は唖然としていた。
そんな中、その眉間の傷を見ていた2人があることに気づいた。
「・・・ここ、なにか刺さっているようですな?」
「ああ・・・こいつは恐らく・・・」
しかし、2人はその報告はあげなかった。
まさか「剣の一突き」で巨獣を討伐した者がいるなど教えれるものではなかったからである。
いなくなっている、当の本人がそれを望まないだろうと思った故であった。
こうして、神狼との激戦は・・・起こる前に終わった。
結局使う事の無く終わった、対巨獣装備の片づけをするための時間を置き土産に。
途中で視点変わってるような書き方になってますが・・・そのまま行きました。
元々は短編の寄せ集めにしようと思ったこの作品、もう六十話まで来ました。どんどん話が膨らんでいった結果ですかね。
あと2話でこの章もおしまいです。
そして次の章で、第一部完結となります。




