第五十一話:これからが大変
語り:シィン・リア・コンシュ
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
知らないうちに事態が進んでいた
知らないうちに事態が収拾していた
後に残ったのは、混乱とこれからの大変さ
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
「・・・ただいま戻りました」
疲れ果てた声がでる。本当に疲れた。
後ろについてきていたクアスも疲労がうかがえる。
「おお、お帰りです。・・・と、かなりお疲れのようですな」
元メイル修理屋の代表、現「コンシュ王国」技術者代表が声を掛けてくる。
この人は元、わたくしの依頼を受けて下さった技師。メイルの修繕を行ってくださった方です。
「やはり、相当決めないといけないことがあったようですな・・・」
「相当という言葉だけでは言い表せないほどでした・・・」
そう言いながら空を見上げる。
視線の先には、多くの技術者と建築家の人々が忙しそうに働いておられる。
現在修繕を急いで行っている、城のあちらこちらに。
一体何があったのか。順を追ってご説明します。
クアスがバルド軍に交渉に赴いたとき、乱入者が現れました。
遺跡への護衛を請け負ってくださったバウンサーの方の1人です。
瞬く間にその場を制圧、バルドの将軍を拘束してしまいました。
そこで判明したのは、バルドは・・・いえ将軍が求めていたのは「戦争による武勲」と「王家のメイル」でした。
元々この地にあるのではと文献をあさって予想を立てていたようで、わたくしが行動を起こしたことによって彼の行動も加速させることに。
まあ、突如現れた方によってその企みは崩れ去りましたが。
時を同じくして、もう一つのコルドでも動きがありました。といっても全て終わった後に知ったのですが・・・。
今回の戦争の発端となったコルド第二王子殺害の首謀者は、同国の大臣が指示をだしたようで実行者は騎士団長とのこと。
それを利用することで戦争を勃発、バルドの将軍の性格を的確に見抜いたという事でしょうかね?
そして大臣の狙っていたのも将軍と同じ「王家のメイル」。それと、わたくしの命でした。
かつての王家のメイルを手に入れ、わたくしをもって過去の王家の血を断絶させる。その上で自分が王家の血を引く後継者とうたうこと。
両者とも最終目標は同じだったということでしょうか?「一つの大国に戻しその王となる」という。
そして、バルドが動きを見せたと同時に行動を開始していたようですが・・・こちらも突如現れたメイルによって企みは阻止されました。
そのメイルは一か所に集まる前に分散していたメイル部隊を順に壊滅。最後に砦にきた騎士団長を殺害、大臣を拘束しました。
なお、この戦闘での死亡者は騎士団長のみだったようで、他のメイル乗りは全員生存が確認されております。
この件を片づけたメイルですが・・・もう一人の護衛を受けて下さったバウンサーの方でした。
お2人はわたしの依頼完了後、独自に調査を行われて真相にたどり着いたというわけです。
正直言って、異常ですね。
戦争状態だったとはいえ領地の諜報員が調べてもわからなかった事件の真相をそれぞれ独自見解と予想だけでそれぞれの国にいって調査、そして真相発見です。
この地だけを調べてもわからなかったのは間違いないでしょうが・・・約一月で事件解決です。
彼らの今後がとても期待できる、優秀なバウンサーとなられることでしょう。
ただ・・・事件解決でよかったとはいきませんでした。むしろこれからが大変です。
まず、コルドは小国です。大半のメイルが行動不能にされているのでその修繕から始めないといけません。
その間、残ったメイルで国内の治安を守らないと。魔獣被害がないわけではありませんから。むしろ農耕地が多いのでこちらより魔獣被害が多いでしょうね。
そんな状態に追い打ちをかけるように、隠されていた第二王子の悲報、騎士団長の死亡、大臣の暗躍と3つ同時に判明。
騎士団長は釈明することができなくなっておりますが、追随していた騎士と主犯の大臣から彼が第二王子を殺害したと決定付け。
また、大臣のとろうとしていた行動の果てには現在のコルド王家の根絶やしも入っていることもわかり・・・彼も断頭台に消えることになりました。
追随していた大臣側の騎士は全員国外追放。もちろん、コンシュにもバルドにも居場所はありません。
つまりこの国は「騎士団の再編成」と「行政担当者の人事異動」と「メイル部隊の復旧」をしなければいけない状態です。
つづいて、バルドについてですが・・・こちらはまだマシですかね。
事件に関与していたのが将軍と、将軍を慕う騎士たちのみだったこと。
それでも将軍の今回の責任はかなり重たいものになるようです。なにしろ他の領地に侵攻しようとしたのですから。
国として認可されていないと言っても「地方領主」がいないわけではありませんから。ちなみにルークのトップが一応領主です。
彼はその責任をとるという事で「将軍職を辞職」、この地に居続けることができないようで早々に旅立っていきました。
少数ですが、彼を慕っていた騎士も一緒にいったそうです。
この国は「新しい将軍の選抜」と「騎士団の再編成」くらいでしょうかね?
と言っても、王家はそうはいかないと言っております。将軍の行動を止めれなかったということで、それによる賠償問題を無視できないと。
少し話に出ましたルークの領主ですが・・・顔を青くして頭かかえております。小心者なので。
この事態の収拾をどうするのか思いつかないようです。毎日送られてくる経過報告書を見て胃薬を飲んでおられます。
そして、白羽の矢が当たったのがわたしです。
そんな国の運営にかかわったことがないのに、「元大国だった時代の王家の血を受けつぐもの」として祭り上げられました。
ですが、このコンシュを小国として・・・と考えていたことも事実。2国との会談に臨むことになりました。
結果は・・・予想以上のといいますか「予想が3倍マシになった」と言えるでしょう。
バルドの編成はまだしも、コルドの立て直しは小国だけですぐにできると思えない問題です。
なので、徹底的に崩れている今しかないというわけで「3国を1つにもどす」ということになりました・・・なぜさらに問題増やすかな。
二つの小国の王がそろって言うので、ただの領地トップが反論できるわけもなく・・・。
この日、「二つの小国が地図から消え」て「一つの国」が誕生しました。「コンシュ王国」の誕生です。
しばらくは、それぞれの国の問題をお互いで解決に尽力しつつ交流を増やしていくことになりました。
わたしは・・・いきなり初代女王になりました。ただの領地民がいきなり女王です。訳が分かりませんね。
現在、2国の王の元をおとずれて必要な知識を教えていただいているというわけです。
それに合わせて、それぞれの復興具合の視察。
「正直言って・・・もとの一般市民に戻りたいくらいですね」
「・・・わたくしも、領地が抱える規模の騎士を率いるだけの時代に戻りたいです」
疲労がたまっているのか・・・クアスもぼやいてます。彼女も・・・実は再編されて統合される騎士団の初代団長となることが決まりました。
小国にはまだ騎士長がいるはずなのに・・・問題起こした国だからと辞退されたそうです。なので適任が他に思いつかなかったとのこと。
一蓮托生、一緒に苦労しましょ?
「しかし・・・これだけとんでもない状況を作ってあっさり旅立ちやがったよな、あの2人」
技師長・・・それ言わないで。
「まったくです・・・すぐに探して国の中枢に取り込んで事態収拾にこき使ってやろうと思ったのに・・・結局見つからず」
握りこぶし作りながら、クアスが呪いの言葉を送っております。
まあ、見つかっても彼らをその位置につけるのは難しかったでしょうかね・・・何しろ職業がバウンサーでしたから。まあ、「元が貴族」とかであればなんとか行けたかもしれませんが。
さて・・・ぼやいても仕方ありません。
明日から気持ちを切り替えて、この国を立て直すためにも頑張るとしましょう。
・・・昨日も同じことをわたしは言っておりますが ね
とりあえず「初代女王が過労死」なんてならないよう、祈っていてくださいませ。
シィン
依頼人になり、後に女王になるところまで設定どおりに進んだ人。
もちろん、「最初からシリーズヒロインの予定なし」もそのまま進んだ。
まあ、女王になること決まってる人がこの後の旅に同行なんて・・・そういうゲームもありますが
クアス
当初、登場予定の無かった人です。
「2国の争いに横やり入れる勢力」の登場は予定しておりませんでしたので。ただ、話の流れ的に入れれる余地があったので急遽登場いただきました。
当初予定なかった人が、事件結末後に国の中枢に入るという大出世をした人ですね。




