第四十七話:野望の終わり②
語り:レクス
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話の分かる男かとも思った
実際はそんなこと全くない
あとはその行動の結果を受け入れてもらうだけだ
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『・・・何者だ?わが軍のメイルではないようだが』
両軍全員がこちらを見ている。
「僕がだれかはこの場ではあまり関係ない。関係あるとすれば・・・」
そう言いながら剣の切っ先を向ける。そして言う。
「今からお前の、狂った野望を終わらせる者ということだ!」
久々だよ・・・これほど怒りを覚えた相手を見るのは。
『たった一機でわが軍を壊滅させるつもりか!さらに狂った野望だと・・・言わせておけば!!』
そう言って騎士団が臨戦態勢になる。
そんなの関係ない。そのまま将軍に向けて歩き出す。
【反応を感じる限り、やはり小国のメイルといったところか。同じ個所に受け続けなければ問題ないだろう。まあ・・・それ以上に気になる点があるのだが】
「了解」
わが剣は優秀だね。ならば・・・
『1番隊!後ろの田舎騎士を監視しておれ!残りは向かってくる愚か者を撃ち滅ぼせ!メイルの部品一つとして残すな!!』
その号令を受け、魔銃による攻撃が始まる。
その魔弾を見て・・・ため息がでた。小国でも色々なんだと。
弱い・・・弱すぎる。前に討伐した野党たちの魔銃のほうが性能上だぞと言いたくなる魔弾。ちっさー。
確かに連続で受け続けなければ全く問題ない。速度もびっくりする遅さ。
本当にこれで戦争してたの・・・?いくらなんでも前観戦した時の騎士のほうが上だよ?
もしかして・・・向こうの騎士たちの奇襲攻撃ででた損害の補充が追い付いてなかった・・・?
そんなことを考えながらアースを歩かせる。当たるけど・・・振動がくるけどダメージが来ているように思えない。
『な・・・なんだこいつ!?』
『これだけの魔弾の中を平然と歩き続けるだと!?』
『ありえない!どうなってるんだよ!』
いえ、そんな驚かれても・・・将軍も同じ気持ち?
『将軍!平然と歩いてきます!』
『ば・・・ばかな。我が国の職人が改良に改良を加えて作り上げた魔銃だぞ!そんなことあるわけがない!』
あ・・・同じ気持ちですか。
改良に改良・・・できるの?僕は魔銃を使わないけど歴史は知ってるよ?
誕生に長い試行錯誤が繰り返され、暴発と爆発の繰り返しでメイルの腕を何度修理したことか。
その果てに見つけられたバランスと調整をもって世に誕生したはずだけど・・・。
本当に改良できたの?粗悪品になってるだけじゃ・・・。
【君の思ってる通りだ。私の目なら状態が大体掴めるのだが・・・魔弾を作る魔石とそれにつながる回路がぐちゃぐちゃになっている。そのせいで魔弾がちゃんとした形で生成できないまま発射されているようだ。どうも、今までの魔銃と何か違う気がしていたのだが・・・近づいてよくわかったよ】
改良失敗してるじゃん。じゃあ、前に見た騎士のもってたのは・・・。
【改良前の品を使ってたとかではないかな?この行軍に全てを掛けていたのなら切り札の新武器を温存するためと言って】
・・・間違いなさそう。
アース、今回、出番、ないよ。
【そのようだ。予想以上に粗悪銃だったようだね・・・私は眠らせてもらうよ】
うん、おやすみ。・・・僕もこれが終わったらひと眠りしよ。
そうこうしているうちに、件の将軍のそばについてた。
最初の予定だと、飛んできた魔弾を斬り飛ばしたりしながら走り抜けようと思ったんだけどなぁ。予定狂った。
『お・・・お前はいったいなんなんだ!?』
知るかい。
「初めての『騎士団』との戦い、激戦になると思ったのに・・・残念武器で武装固めて調子乗ってる将軍にかける言葉なんてないよ」
そう言って、一気に剣を頭部に突き刺した。
将軍のメイルの精霊炉を破壊。行動不能。
「さて・・・この状況になっても、他の騎士たちは戦いを選ぶのかな?」
僕がそう言うと、全機その場に魔銃を落とした。よほどショックだったのか・・・前のめりに倒れたメイルも何機かいた。
人数は圧倒的に多いんだけど、全員武装解除して1か所に固まってその周りを敵対予定だったメイルに囲ってもらった。
降りて監視してても問題なさそうなくらい落ち込んでたけど、一応念押し。
その光景をむなしい気分で眺めていると、1人の女性騎士が近づいてきた。
「・・・どこかで見た覚えのある顔だと思えば、以前にわたくし達の襲撃を遠目で見ていた旅人ではないか?」
あ、覚えてた。というかあの距離から顔が見えてたのか。
「と、失礼。お礼が先であった」
そう言って女性は頭を下げてきた。
「わたくしはコンシュ地方交易都市ルークの騎士団長、クアスといいます。この度はご尽力いただき、誠にありがとうございます」
「僕はレクスと言います」
そう言うと彼女は、音がする勢いで顔を上げた。
「レクス殿?もしや・・・シィン様と一緒にメイル復活に貢献してくださったバウンサーの方ですか!?」
あ、彼女の知り合いか。
「はい。そうです」
「そうでしたか。そのお礼を言おうと探していたのですがすでに街を出たという情報を得て残念に思っていたのですが・・・しかしなぜここに?」
「王子殺害の事件が気になったので、バルドにいって・・・そこの残念将軍のこと調べてました」
「・・・残念将軍」
うん?振り向くと、将軍のうなだれが一回り大きくなっていた。
「残念としか言えないでしょう。魔銃の歴史を知ってたら安易に改良しようなんて思わないですよ?ファルサラの当時の全研究機関が総力で調整して完成した品なんだから」
「・・・わしの・・・野望の為には力がいった」
うん。それはわかる。けど、選択肢を完全に間違えてる。
「あの・・・。話の流れからすると、あのメイルの持つ魔銃が問題あったということでしょうか?レクス殿のメイルがとりわけ頑丈だったというわけではなく?」
クアスさんが疑問に思ってる。なので、アースから教えてもらったことを話てあげた。
すると、すごく悲しそうな顔をしていた。
「・・・もしかしたら、わたくし達でも勝てたかもしれないくらい粗悪品だった。悲しすぎます・・・この身を犠牲にしてでも1機でも、1人でも道連れにしてやろうと意気込んでおりましたのに」
少し涙目になってる。美人さんだからいいや、うん。
さて、とりあえず僕の最大の目的の真相を聞くとしますか。
「残念将軍。あなたのとった行動は侵略行為だ。それについての沙汰はあとで告げられるだろう。だが・・・その前に1つだけ確認させてほしい。
あなたは・・・コルドの王子殺害に関与しているのか?」
すると、将軍は顔を上げてはっきりと言った。
「わしは関与しておらんよ」
「そうはっきり言われると疑いようがない・・・な」
「我が国は山岳地帯が多いからな。コンシュ地方に近い場所に展開している軍の演習の時はルークの代表に言って場所を借りる許可をもらっておる。その演習部隊がコルド軍に攻撃を受けたという知らせと一緒に第二王子の死亡、そして我が国がやったと言ってると聞いたくらいだ」
・・・ちょっとまて。
「・・・あ、その後戦地になったので忘れておりました。確かにその話は代表から聞いております。演習のため場所貸す許可だしてるから、間違っても攻撃しないでねって」
クアスさんの追加説明で疑う余地はなくなった。
「まさか・・・自国の王子を殺害した?」
彼にも色々と予定を考えていたのですが
「ただの権力にしがみつこうとして自滅した」という部分だけ受け持ってもらう事にしました。




