第四話:いろいろと調査開始
語り:レクス
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お偉いさんの派閥争いに巻き込まれました
けど、最後に決めたのは自分自身
ならやることは一つ、お仕事開始です
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依頼の話を聞いてから5日後
現在我々はバーゼ子爵領にある小さな宿を拠点としております。
この宿、このあたりのほうが元々の土地より豊かだからって理由で店を畳んでお引越し、最営業しておられるそうで。
ちなみに元々あった場所はバーゼ子爵領。
どういうことかって?
先の依頼人の話を聞いてると多分予想できるだろうけど戻ってもらうのもなんだから言う。
「バーゼ子爵領」から「元ヒューレ伯爵領」にお引越ししてこられたのであります。
余談だけど、バーゼ子爵ってのが依頼人が目の敵にしてる貴族。
つまり、今我々のいる場所は旧ヒューレ領。アイリスの顔を知ってる相手がいたら厄介だからあまり来たことがない町であり尚且つこの土地に引っ越してきた人物の経営する宿を探してみた。
結果あったのはこの1件だけ。
元々の生活が嘘ではなかったのを証明するかのように、彼女の評価は「こじんまりとして掃除の行き届いてる、いい部屋で寝れて嬉しい」であった。本当に生活費削ってたみたい。
「それで、向こうで話し合った結果現地調査するしかないという結論になったわけだけど。あてもなしにどうやるの?・・・あ、このパンおいしい」
朝食の薄い味付けパンを食べながらのお嬢様。
「土地勘はあっても、迂闊に動けないというデメリットが大きいですからなぁ・・・おや?このスープ、いい味付けですな」
朝食の少しの野菜と小さく切ったベーコン入りのスープを飲みながらの執事長。
「うまいうまい」
それらをただ一心に食べる元騎士団長。
うん。貴族の見方が180度変わりそうな光景。
まあ、僕は元から気にしないけど。
「とりあえず、ここにもバウンサー組合の支店があるし、そこで簡単な調査というか当時の状況を調べてくるつもり」
「当時の状況?説明不足なところあった?」
「いや?依頼人がここの領主が徹底的に嫌いというのは伝わってる。その当時、領地の何があったのかを調べるの」
「当時の領地になにがあった・・・とは?」
「説明聞いてて不自然なんだ。さすがに全領民が誰一人弁明しなかったって言うのが」
「お嬢が説明しただろ?国王の令に逆らえなかったんだろうって」
「領主館は地図を見る限り町の中央にある。明らかに不自然すぎるんだ。他の領地に行くのに最低でも片道2日から3日。そこで魔獣の仕込みをして戻ってくるとしても1週間以上はかかる。
仕込みだって一人でできるわけがない。つまりそれなりの人数が移動するわけだ」
「そこまではわかった。それで、不自然な部分って?」
「仕込みが1回や2回行われただけじゃないとすると複数回。出発の時も帰ってきたときも不在だという事も誰一人なにも知らないなんて有りえないと思わない?」
「「「!!?」」」
これがまず不自然すぎる。なんで誰も「いたのか」「いなかったのか」「どこかに行く姿を見たのか」を証言していないにもかかわらず証拠として受理されたのか。
恐らく国王に渡された証拠品の中にそういった証言も含まれているんだろう。それは真実なのか、捏造されたものなのかはわからないけど。
ただ、誰一人それが「嘘」だとも「本当」だとも言わなかったのが気になる。そこに何かあるんじゃないか?まずはこれを掴む。「過去の報告が虚偽でした証拠 その一」になりえると思う。
それと同時に、領民が本当に伯爵をどう思っていたのか。本当に弁明していなかったんだとしたら、この後の行動に「領民の安全」の優先度は下げることになるかもね。
「調べることはもう一つ。こっちは・・・多分じっとしてるのが嫌だろうから、アイリスさんとバンスさんに頼みたい」
「それは?」
「子爵領に行って、その頃の魔獣被害がどれくらいあったのか。これは普通の町や少し離れた村にその当時から住んでる人に聞いてくれるだけでいい」
「聞いてくるのは構わないが、それが何かの証拠になるのか?」
「それ以前やそれ以降の魔獣被害の件数と明らかな差があれば何かしていたって証拠になる。なければ、ヒューレ伯爵の行動と辻褄が合わなくなる」
「そうか!あまり変化がなかったら父がそんなことをしていなかったって証拠になるんだ!」
「ただ、彼ら自身が自分たちの領地で魔獣の人為的被害操作を実験したりしてたら逆に証拠にされることだから、調べるだけね?」
「・・・あ。そういうことにもなるのね。りょーかい」
「わたしは、何かお役にたてそうなことはありますかな?」
「セバさんは、ヒューレ家の見取り図を用意してほしい。手書きになるだろうから正確性が大事になる。それを使ってある程度、家宝が保管されてる場所への最短ルートを検索したい」
「なるほど。かしこまりました。・・・ついでに旧執事長から聞いていた抜け道なんかも付け足しておきましょう。お嬢様を屋敷から連れ出すときに使った抜け道以外いくつかありますからな」
「最高だね、それは。是非とも頼みます」
「ただ、あまり動かないと体が・・・ですので、1日に1回ほどは散歩しようかと思いますが?」
「事前に聞いてた限りだと屋敷まわりにしかあまり出歩かなかったとのことですから、このあたりくらいなら多分大丈夫とは思いますよ」
とりあえず、今日から1週間を定めて調査開始とした。
2人には僕のトレーラーを貸した。この辺のではない乗り物で行くほうが警戒心も薄れるだろう。個人のメイルは少し離れた山間に隠すことにした。見つかったとして・・・まあ、大丈夫だろ。
宿には執事長さんが地図作成で常駐している。1日に1回時間を決めて散歩するくらいだというのでその時間を決めてもらった。その時間以外に宿にいなかったら不測の事態勃発だ。
そんなわけで調査開始したはいいけど・・・最初の2日間は収穫なし。というか初顔だしにそんな情報簡単にくれるわけがない。2日間は雑用係レベルの依頼を受けて職員と顔なじみになることから始めた。
ちなみに、こちらでも魔獣依頼を受けようとしたら笑顔で雑用依頼回された。
最初に登録したところよりはるかに速い。初日に登録書に記入したあとからすでに魔獣依頼を受けさせてくれなかったからなぁ。
そして3日目、事態が一気に動きそうになった。
「おはよーございまーす」
今日も雑用依頼を片づけるべく出勤。
「おう、きたな。今日はあまり依頼がない」
いきなり出鼻くじかれた。
「それより、お前のことを知ってるって奴がきてな。色々と話を聞いたよ。そいつの元の肩書とお前さんの2日間の頑張りを見て信用できると判断、欲しがってた情報を教えてやるよ」
「やった!・・・僕を知ってるやつ?」
「ああ。1匹だけ目撃された魔獣の討伐依頼があったからそいつを頼んでる。戻ったらそいつも交えて色々と情報交換をしようってことになってる」
だれだ?
「ただいまー。依頼終わったぞ・・・って、来てたのかレクス」
支店にやってきたバウンサーの顔を見てすぐにわかった。
「まさか、あなたとここで合うとはね・・・お久しぶりです。トロアさん」
同旅団に所属、立ち往生していた僕を真っ先に見つけてくれ、色々とバウンサーの予備知識を教えてくれた人。恩人と言ってもいい。
その人が、今、目の前にいた。
続き書く速度は亀のごとく。
終わってる部分は手直し入れつつ投稿していくことにしました。