第四十五話:将軍の目的
語り:レクス
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自分の地位を高めるために暗殺
さすがにリスクが高すぎるだろうと思っていた
それがまさか・・・ね
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レヴァイと別れた後、将軍のことを改めて調べてみた。
まず、この小国バルドについて調べてみたことから確認していこう。
この国は、元々一つの国だったところが内乱によって分裂してできた国だ。
コンシュ地方が元々首都のあった土地みたいなのだが、資源の一番乏しい地域でもあった。
内乱後、首都に居座ったのは首謀者と結託していた貴族だったそうだ。「政治的手腕のない、賄賂と汚職だけしか取り柄の無い」とまで言われた貴族だったそうだ。そりゃ、すぐに崩壊するよね。
なので、この国を建国した王は首都を避けた。
バルドを建国した王家は元々内乱を起こした首謀者が建国した国のようだ。
この地方は多くの鉱物資源が発掘される地方で当時から国の主要交易品だった。
首謀者だった男は「武力こそ全て」という当時の騎士団でもトップに位置する強硬派だったようで、
騎士団の力を上げるためにも抱負は鉱物資源は必要だった故この地方をとったのだろう。
ちなみに、もう一つの小国は農業地帯が広大だ。安定した土壌だったようで、この大陸でも有数の農業地帯のようだ。
さて、そんな国だが武力にばかり目を向けていた故に弊害がでた。
それが、交易路のことを考えていなかったことである。
この国からも地方に向けての道はある。
だが考えてほしい。鉱物資源が豊富の意味を。
この地方は・・・山岳地帯なのだ。
そんなところにある道を好んで進む商人がどれだけいるのかという事を・・・。
結果、鉱物によって自軍の強化は進んだようだが生活レベルは低下していったようだ。
そこで、コンシュ地方の交易都市のトップと会談し商売の許可をとっていた。
だが、もちろん利用料金を年間支払う必要があった。その料金は鉱石で補っていたようだ。
コンシュ地方が国として認められた地方ではないにもかかわらず、小国に奇襲攻撃できるような騎士団があるのはそれが理由だ。
その現状に一番不満を漏らしていたのが、件の将軍というわけである。
つまり将軍には「功績を上げる」ことと「交易路を手に入れる」という2点において戦争を起こす動機があったことになる。
ではなぜコンシュ地方を飛び越えて反対側の国に戦争を起こす必要があるのか。
ぶっちゃけ、小国とはいえそれなりの規模の騎士団がいるのだから動員して一気にコンシュ交易都市ルークを制圧すれば済む話ではないかと思われる。
そこで将軍にとって厄介な点が浮き上がる。コンシュ地方は小国コルドと防衛協定を結んでいることだ。
コンシュ地方だけで事態の収拾ができない案件が起きた時、コルドが騎士団を派遣して解決に協力するというものだ。
見返りに、コルドはルークでの商売許可をもっているが利用料金は格安である。
バルドがルークに攻め込む動きを見せたらコルドが防衛に動く。両方と戦ったうえで勝たないと将軍の望みは達成できないことになる。
それを回避して、さらに自軍の被害を少なくしたうえで交易路を確保する。
その手段として「コルドの王子殺害」が取られた可能性がでてくる。
王族が殺害されたとなればコルドは確実に事件解決のため乗り出してくる。
殺害された場所がコンシュ地方内であれば、騎士団を派遣してでも調査しようとするだろう。騎士団はそういう調査も請け負っているのはどの国でも同じこと。
それを「侵略行為」と断定して騎士団を動かして制圧する。
コンシュ地方には「そちらの領内に他国の騎士団が侵入している。侵略の意思がないかの確認が必要と思われる故、こちらが対応する」とでも言って介入を避けるように働きかける。王族殺害の知らせは来ているからその調査ということはわかるだろうが、それを利用して侵略しないとは確証がないということを前面にだせば恐らく時間稼ぎくらいはできると踏んだんだろう。
そしてその間に攻撃開始。先制攻撃で被害を与えてこの後の戦闘を少しでも有利にする。
向こうは攻撃を受けたという事で反撃行動にうつる。それを利用してコンシュ地方に戦火を広げる。
コンシュ地方からコルドの騎士団を追い出すことに成功すれば、あとは復興支援として騎士団を常駐。
でっち上げでもして「コルドは自国の王子を殺害し、その罪を他国に押し付ける形で侵略戦争を仕掛けようとしていた」とでもすれば・・・。
恐らく、最終的にはコルドはルークでの交易ができなくなる可能性がある。
その空いた枠を自国の商人に提供を要請し、交易による収入を増やす。また、侵略者から土地を守ったとして利用料金の値下げを交渉する。
全部この流れだとすれば、
将軍は「功績の獲得」と「交易路の拡大」を達成できるだろう。
最終結論。バルドの将軍には暗殺してでも戦争を起こす理由は「無理やり」作ることはできる。
「そう・・・無理やりなんだよなぁ」
まとめた内容を見直しても、どうしてもでっち上げ感しかない。
この話を真実だとするには「将軍の手のものが王子殺害を実行した」という証拠がないとなりたたない。
まあ、どんな首謀者にも確実な証拠がないと言い逃れされるだけだろうけどね。
「ぶっちゃけ、将軍のことは調べたら・・・さすが強硬派というべきか力による目的達成目指してますって情報はいくらでも出てくる」
それで、国が破綻していないのだからある意味優秀な人材がいるようだよこの国。
「この将軍より、そいつらのほうがファルサラは欲しがりそうな感じがする」
将軍の武勲は色々とあるが、どれも大したことがないとしか言えない。ファルサラなら騎士団の入団して半年の騎士でも達成しそうなものだ。
それだけ自力が違うのだ。将軍がどれだけ頑張ってもファルサラからの引き抜きなんてありえないだろうな。
そこまでわかったのだが・・・確証が手に入らない。
そうこうしているうちに、コンシュ地方で動きがあったと商人から話を聞けた。
なんでも「過去、大国として存在していた時代のメイルが復元された」とか。
「時間切れか・・・結局首謀者は判明せずか」
そう思っていた時、外がやたらと騒がしくなった。なんだ?
宿からでてみると、多くのメイルが整列して行進していた。なんだなんだ?
「あの・・・なにかありました?」
近くの人に聞いてみよう。
「なんでも将軍様が出陣されるそうだよ。なんでも話に上がったメイルが過去この国に安置されていたモノだったとかで。それを取り返し、正当な王家の再興とバルドの名の元、王国を復活させると」
その話を聞いてるときに、さらに隣の人から情報が来た。
「それと交易都市ルークを制圧するってよ。王家の生き残りを名乗る不届き者を成敗するって言ってる。あと、詐欺師をかくまっていたとしてコンシュ地方の全面占領のため武力を行使すると言ってたね」
この地方の人にとっては人ごとかもしれないけど・・・そこでこの国の商人も商売してるからね?
そしてその話を聞いて確証が持てた。
将軍はこの状況をまっていたんだ!!
情報が出てからの行動の速さ、いくらなんでも速過ぎる!
当たりをつけていたんだろう、あの地方にメイルが眠っていることを。王家にずっと語り継がれていたんだろうそのメイルのことは。
そして今回のコルドとの戦争、どっちが始めたとかこの国には関係ないのかもしれない。
最終目標である「王家のメイル」を手に入れさえすればよかったんだ!同時に、王家の血を完全に断絶すること!
将軍の目指していたのは「国を乗っ取りに成功した男」と同じこと。
「自分の国を作る」ことだった。ファルサラに仕官とか偽情報として大々的に流していたんだ。
自分の性格を熟知し、その発言に信ぴょう性のあることで偽情報を本当の話として広めていた。
その陰で今回のことを計画していたということだろう。
王子殺害に関与しているかどうかは、限りなく黒に近い灰色といったところだ。それが成功していても失敗していても関与していなくても構わない。
王家のメイルこそ目標。それの所在を知ることが最重要目標だったのだろう。
さて・・・バルドの将軍の真の狙いは?
そして、王子殺害に関りがあるのか?
読んでくださる方々の予想通りの展開になるのか、予想外の展開になるのか・・・




