第四十一話:いざ遺跡へ
語り:レクス
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行き倒れになっていた男に依頼譲れとは言えない
こちらも少し心もとないから譲りたくない
人の良い奴でよかったと心底思う
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「・・・はぁ!?新人が間違って掲示期間終わった分を貼り付けてたぁ?」
見た目と違ってあまり口がよろしくないご様子。
組合の業務時間内だったのですぐに連絡をしたらそういうことだったようだ。
「依頼料、少ないから絶対二重受付にならないように気をつけてって言ってたのに・・・新人だから笑って許せ?まあ、古参組が給与アップ狙って出ていったから新人に頑張ってもらうしかないって言うのはわかるけど」
戦争のために、受付できる依頼が偏ったのが原因かなそれは。
「わかった・・・そっちの落ち度についてはなかったことで話をするよ」
口が悪いかと思ったら、性格はとても良いみたい・・・
「・・・え?お礼に今度女にしてやる??・・・あ、そう。じゃあ奥さんに報告しとくのであとはよろしくー」
すっごい無表情になって最後の言葉を残して切った。
「・・・この位置でも聞こえるくらい向こうから焦った声が聞こえたでござるな」
レヴァイさん、耳がいい。うっすら何か言ってるくらいしか聞こえなかったけど?
「『それだけは勘弁を!』って言っておったでござるよ。まあ・・・拙者もあれはないだろうと思うので止めませんが」
そう言ってみると、依頼人さんはすでにどこかへ連絡しておられた。
「・・・女は怖いね。怒らせないようにしよ」
「そうでござるな・・・」
連絡が終わったのか戻ってきた。
「どうやら、えーと・・・レヴァイさんだっけ?あなたの受けた依頼が先日張り出したやつみたい。それで・・・」
「あ、僕はレクスです」
「レクスさんね。あなたの受けた依頼表がその前日で貼りだし期間終了して回収していた箱に入っていた分みたいなの。
新人が張り出し分が少なくなってるから補充しろ言われてその箱のを貼りだしてたみたいで、ほかにも同じようなのがあったそうだから」
一応説明。依頼表には貼りだし期間がある。依頼人があらかじめ決めている期間で、それをすぎると掲示板から回収される。
これはこの辺りではあまり影響ないみたいだけど、大都市とかだと依頼料が莫大になるから貼りだしきれないみたい。
故に期間を設けて、その期間に受けられなかったら諦めてということ。依頼表だす料金の3割は変換されるそうだけど。
「おお!お名前はレクスというのか。先日は名前も聞かずに失礼したでござるよ。改めてこの場でお礼申し上げる」
レヴァイさん、突然頭を下げたりすると依頼人さんが驚くよ?
「えっと・・・2人は知り合いなんですか?」
「うむ。拙者が空腹で行き倒れていたときに助けていただいたのでござるよ」
「行き倒れ・・・なるほど。それで依頼成立で先に要求したのが食事だったんだ」
「うむ。道中で見つけた薬草をこの街で換金してもらったでござるよ。その金でバウンサー登録料は支払えたのだが・・・」
「食事代までは考えてなかった・・・と」
呆れたような顔をしておられる。わからなくもない。
「今更だけど、わたしの名前はシィン。依頼をだしたものです」
そう言ってこちらを交互に見てくる。
「改めて、レクスです。一応、メイル乗りです」
「拙者はレヴァイ。蒼黒牙のレヴァイでござる。メイル乗りでもあるでござるよ」
「うわぁ・・・2人ともメイル乗りだったんだ。その年齢でソロ活動してるってすごいんだね」
「いや・・・僕は少し事情があって」
「拙者も・・・登録したてでもあるが事情が」
2人して視線をそらす。どうやら彼もなにか事情を抱えているようだ。
「それで、依頼料なんだけど・・・1人しか受け付ける予定が無くて・・・」
申し訳なさそうに行ってくる。
「うむ。だが、依頼を受けるのが2人いては絶対ダメというわけではないのでござろう?」
「そりゃあ・・・そうだけど」
「ならば、拙者に良い考えがある」
そう言ってレヴァイはこちらを見てうなづいたあと、依頼人向かって言った。
「2人とも雇ってほしいでござる。報酬の宝石は2個とのことなので2人で一つずつ。換金したあとで拙者の取り分より彼に2割渡そう」
「ちょっとまって」
最初のはこちらも提案しようと思ったからいい。だが後半はよくわからない。
「なんで渡される必要がある?」
「当然である。レクス殿は命の恩人。あの時の食事代と宿泊費を考えると妥当な金額と思えるでござるが?」
ぬぅ・・・拾って街まで連れて行ったところから考えるとそうなるのか・・・。
「しかし、それでまた行き倒れになったりしない?」
「心配無用」
そう言って「譲らないぜ」って雰囲気を出している。
これは・・・こちらが折れるしかないか。
「わかりました。それで・・・ただ、換金した時の金額で受け取る金額は決めたい。それだけは頼みたいかな」
「確かに、依頼表には大体の価格は書いてるけど必ずしもその金額になるとは限らないからそれがいいと思う」
「む・・・ではそれで了承したでござる」
というわけで、二重受付になったが2人ともそのまま雇われることになった。
翌日、依頼表にあったとおりすぐに彼女のトレーラーで目的の遺跡に向かう事となった。
「帰りは荷物が増えそうだからね。遺跡の中はメイルが入れる大きさじゃないから」
「ところでシィンさん。いきなり出発したが食料とかは大丈夫なの?」
「問題ないよ。日数はあくまですんなりいけばで計算してるから。実際もっとかかるかもしれないと思って食料はかなりの量確保しておいた」
「ふむ・・・それでトレーラーに積むとは思えないサイズの魔導冷蔵庫が設置されていたのござるな」
「電力消費しまくるからね。間で少し休憩いれながら向かうよ」
魔導冷蔵庫は字のごとく。魔銃にも使われている魔石を原動力として物を冷やしたりできる箱である。
結構高額なんだけど・・・あのサイズ買えるっているのは結構財力あるのかな?
依頼表出し続けるのにもお金かかるし・・・ありそう。
そんなことを考えながら向かう遺跡。
道中その遺跡について聞くと、なんでも「昔この地にあった王国、その王家ゆかりの遺跡」とのことだった。
トレーラー
現代の荷物運搬車のことではない。
他作品で言うなら「ロボットを乗せて移動する陸上船」のことである。この世界では大きさが色々あり、人が遺跡などに行って発掘品を改修するためのそれほど大きくないサイズのものから、メイルを6機以上乗せれる大型まで色々とある。全部ひっくるめて呼び名はトレーラーである。
なお、貴族や王族が移動する際に使用するタイプもあり
こちらは内装が豪華仕様、温度管理装置も付属、専用個室はもちろん、寝具から調度品、旅の間の必要な食器を収納するスペースに至るまで豪華絢爛仕様となっている。それでも呼び名は「トレーラー」である。陰では「お偉いさん用トレーラー」と呼ばれているらしいけど、王族や貴族の中にはその呼び名を使っている人もいるという話なので・・・陰でもなんでもない。




