第三十八話:出会いは行き倒れから
語り:レクス
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この時は思わなかった
この出会いが後の共闘に繋がることを
そして、後々の旅にも繋がることを
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「・・・」
僕は今、北にある港町を目指している。
旅は順調。前の街で結構稼げたから旅費もそれなり潤沢。
もう少し進んだらそれなりの大きな町を有するコンシュ地方に到着するから、そこで例の宝石を売却すればもう少し路銀が手に入る。
港町につくまで、あまり依頼を受けなくてもいいだろうと言って問題ない状況。
だが・・・旅には予想外の展開というのは起こるものである。
今、目の前の光景がその一つと言って過言ではないだろう。
ぶっちゃけると、道のど真ん中で人が倒れていた。
しかも・・・なんか忍び装束みたいなの着てる男だ。
前の街で少し調べたら、ファルサラより南に進んだとある地方では「忍者」が育成されている場所があるそうだ。
絶対創立者に「リンカー」が関わってるの間違いないだろう。
知ってる組合員がいたので話を聞いたんだけど、彼らは自給自足できるくらい自然界にある食べ物に詳しいそうだ。
しかも、存在を知ってる者にとっては有力者となるので個人活動でも問題ない収入を得られるとか。羨ましい限りだよ。
そんな忍者が、なぜか目の前の道で倒れていた。近くに・・・彼の所有と思われるものはない。徒歩で旅をしていたのか?
【どうした?トレーラーが止まっているようだが・・・】
気になったのか、アースの声が聞こえた。
「道の真ん中で人が倒れている」
【死体か?行き倒れか?】
「ここからだとわからない・・・。仕方ないから近寄って確認するよ」
【うむ。気をつけてな】
トレーラーから降りて近づく。どうやら男のようだ。
見たところ僕より年上、成人してすでに数年たってる・・・かな?多分立ってるんじゃないかなと思うくらい。
来ているのはやはり忍者装束としか思えない。ただ、一部変えてるな。
上にジャケットを着てるし、足元をみるとブーツを履いている。旅の途中か?
「・・・の」
なんか声が聞こえた。どうやら生きてるようだな。
あまり動こうとしないし、もう少し近づいて顔を近づけてみる。
そうすると、今度はちゃんと声が聞こえた。
「・・・くいも・・・の・・・」
くいもの・・・・食い物。だから「の」だけ聞こえたのか。
自給自足できると聞いていた忍者殿は、空腹で倒れておられたようです。
「・・・いや。申し訳ない。だれか通りかからなければそのまま人生終わっていたでござるよ」
目の前の男はそう言って笑っていた。
放置するのも過去に旅の途中で困っていたところを助けられた身としては放置できなかったので、
そのまま北に進んで村を見つけたのでそこの宿に連れ込んで食事をご馳走した。
「まさか、旅に出る前と出た後にことごとく出会った人に助けられるとは・・・面目もない」
そう言って頭を下げてくる。だれかに助けられたことがあったのか。
「しかし、なんでまた行き倒れに?見たところ忍者のようだし・・・確か、話を聞いた感じだと」
「ああ。拙者はその試験に不合格になった落ちこぼれでござるよ。ただ当時の拙者はそれに納得できず国を飛び出したのでござる。
野外活動の術は正式に認定を受けてからが本番だったので、拙者は教えられてなかったでござった。
結果、路銀が尽きて野外で自己採取しようと思ったが何がなんやらわからずそのまま空腹になって道に出たところでバタリというわけでござる」
忍者・・・それは先に教えなさいと言いたい部分なんだけどな。
「とりあえず、今晩の宿代と晩飯と朝食代は払ってるから」
「いや、本当に申し訳ない」
そう言って男は再度頭を下げていた。
その後、自己紹介をお互いに忘れていることに気づいたのは・・・部屋にいってベッドに入って睡魔が襲ってきたときだった。
翌朝、店主から手紙を受け取った。
「重ねてお礼する。本当にありがとう。
旅に出る前にしておけばよかったのだが、北の街にて拙者もバウンサー登録をすることにしたでござる。登録に少し時間がかかると聞いたので、挨拶せず先に旅立つ不義理を許していただきたい。
そちらも北に向かうとのこと。もし出会えればその時に今回のお礼をさせていただきたいでござるよ。
一泊二食の恩、決して忘れぬ。本当に助かったでござる。
【黒蒼牙】レヴァイより」
忍者は名乗る前に「自分の武器の名前」か「自分のメイルの名前」を付けるって聞いたな。
レヴァイ・・・彼はどっちなんだろう。結局お礼ばかり聞いててあまりお互いの話をしなかったな。
また会った時にでもゆっくり話をしようと思いつつ、僕も北を目指して移動開始するのであった。
【綺麗にまとめているが、名乗り合わないのはさすがにどうかと思うぞ・・・?】
はい、おっしゃる通りですね。
少し短いけど、新章導入話なのでご勘弁。




