第三十一話:リーベルト侯爵家
語り:トロア
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ようやくこの日がきた
色々と疑問が解決すればいいのだが
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この国に滞在して1週間。
その間は細かい依頼をこなして独自にも調査をしていた。
首都にある本屋にいってメイルについての古い内容も記載された本を見たり。
古くからいる学者を訪ねてメイルについて質問したり。
まあ、どちらも成果なしだったが。
その日も簡単な届け物の依頼を完了させて宿に戻ろうとしていた。
「いや・・・この国本当にすごいわ・・・」
「ああ。魔獣討伐の依頼があっても、個体討伐しかないってのは騎士団の討伐が行われている証拠だろう」
レイと話ながら宿に戻っていた時だった。
「・・・あれ?宿の前に騎士がいるぞ」
レイが気づいたように前方を指さす。
確かに、宿の前に騎士が数名立っていた。警備の騎士ではなさそうだが・・・。
近づいていると、宿から一人の騎士がでてきた。身なりからして上級騎士だろうか・・・?
こちらに気づいたのか、振り向くとそのまま近づくのを待っていた。
「失礼。間違っていたら申し訳ないのだが・・・トロア殿とレイ殿ではないだろうか?」
上級騎士らしき人が質問してきた。
「間違ってないですよ。俺がレイです」
「俺がトロアで間違いありませんよ」
そう言うと、ほっとした表情をした。
「よかった。受付に聞くと4名とも外出していると聞いてしばらく待たなければと思っていたところだ。・・・まあ、その場合はもちろん待っていたが」
そして、1つのバッチを渡してきた。
「侯爵の段取りがついたので、そちらの予定を聞きにまいった次第です。来ていただける日が現時点で判明しておればお聞きしたい」
「いきなり、明日とかでもいいんですか?俺たち、今簡単な依頼をこなしてるだけなので日にちは指定してもらわなくても大丈夫なんですが」
受け取りながらレイが言う。というか、受け取り前にそれがなんなのか聞けよ。
「そうだな・・・本日はもう夕刻に迫っている時間帯だし、お伝えしてと考えると・・・明後日ではいかがだろうか?」
それに対して、頷いて回答とする。
「後の2人にはこちらから説明しておきますよ」
「ありがとう。では明後日、昼より2時間前くらいに迎えの馬車をこちらにこさせる。その業者にそのバッチを見せていただきたい。こちらで手配する故、それを見せるだけで行先はわかってもらえるだろう」
どうやら、侯爵家のバッチみたいだな。一気に高級品に見えるようになった。レイも片手で持っていたのが気づいたら両手持ちになっていた。あいつも気づいたか・・・
あとは、ちょっとした事前情報だけ話をして騎士たちは帰っていった。
「で、明後日ようやくお話が聞けるというわけだね」
戻ってきた2人に話をしたあとのエリアの第一声。
「そうだ。呼ばれて行く以上、聞かせてもらえると思っておいて問題ないと思う」
「それはよかった。・・・ところで、侯爵家に行くような服は持っておりませんが・・・」
「それは大丈夫。こちらのことを把握しているのか、服装は気にしないでそのまま来てくれって言ってたぜ」
ライヤーが不安そうだったが、レイの言う通り服装は指定なしだった。
「まあ、一応明日全部洗って明後日はそれ着て行けばいいんじゃないかな?」
エリアの言う通りだろう。
とりあえず、明日一日はのんびりとして明後日に備えるという事にした。
そして当日。時間ちょうどに来た馬車にバッチを見せるとそのまま乗り込み侯爵家を出発。
魔導車じゃなく馬車できたのは、侯爵家お抱えの馬車だったようだ。バッチはこちらが招待者だと証明するために渡されていたそうである。
それほど距離が離れていない時の移動は馬車で行うのがこの国では普通らしい。
離れていないと言われていたが20分くらいはあったか?
「到着しました」といわれ馬車から降りて目の前にある建物を見た時
4人とも動きが止まった。
これまでの街にある建物も予想以上の大きさばかり見てきたが・・・侯爵家だからそれは大きいんだろうと思っていたが・・・。
邸宅のほうはそれほど大きくはなかった。規模としては20人くらいが暮らせるくらいの広さか・・・それでも大きいことは大きいが。
それより驚愕したのは侯爵家所有の土地面積だ。
お抱えのメイル騎士団があるからか、メイル用の訓練施設がとんでもない巨大な大きさだった。
それとは逆に、人用の訓練施設があった。こちらも大きい。
・・・邸宅が小さく見えるのは気のせいかと錯覚するが・・・普通にやっぱり大きいな。
「旦那様。お客様方をお連れしました」
邸宅に入ってエントランス、その正面の部屋に真っすぐ案内された。
一言いれ、執事さんはすぐに扉を開けて中に誘導した。返答待ちなしかよ!
そこはおそらく食事をとる場所なのだろう。巨大な机が中央にあった。
執事に誘導されつつ席に向かう。その間、部屋にいた4人は全員立っていた。
男性が3人、女性が1人。一番年上と思える人が恐らく当主、侯爵様だろう。
男性2人は若い。1人はそれほど離れていなさそうだ。もう1人は・・・おそらくレクスより年下かな?
そして女性。美人さんだ。レイが凝視してるのだけが・・・あ、エリアさんが後ろから背中に拳打ち込んだ。
ちょっと変な恰好したけど、4人はあまり気にした雰囲気がなかったのが幸いだ。
「よく来てくれた。私がここの当主、デスティン・リーベルトだ。まずは堅苦しい言葉遣いは不要と先に伝えさせていただく」
そう言って、席に座るよう勧められる。
まず俺達4人が椅子に座り、続いて向かいにいる3人が席に。最後に当主が上座に座った。
「そちらの名前を一応確認のため聞かせていただけるかな?」
侯爵・・・鋭い眼光しているし少しおっかなそうに見えるがそんなことなさそうか?
「俺はレイです」
「エリアです」
「ライヤーと申します」
「俺はトロアといいます」
座った順番に自己紹介。侯爵は頷き、向かいの3人に視線を向ける。
すると、侯爵に一番近い席に座っていた男性が立ち上がった。
「わたしはアレン・リーベルト。侯爵家長男です。本来は母上がこの位置に座る予定だったのですが、あいにく城に行っておりまして不在しております。ご容赦を」
「それはご丁寧に。お母さん不在の間に話を進めるのは問題ないのでしょうか?」
一応聞いておこう。
「問題ありません。というか、不在の理由はこの話し合いの場に関係することでもあります」
なんだ・・・?
「さて、昼食まで簡単な説明をしたいと父上が言っておられましたし。あとの2人の自己紹介もさせていただきます」
そう言うと、となりに立っていた女性が立ち上がりお辞儀をする。
「彼女の名はレーア・リーベルト、長女です。故あって許可がないと喋れないのでわたしが変わりに紹介させていただきます」
許可されないと発言できない・・・どういうことだ?
そして女性が座り、となりの男性が立ち上がって礼をする。
「はじめまして。僕の名前はラント・リーベルト。この家の3男となります」
3男だったか・・・うん?次男がいない・・・?
簡単に一言だけ言って座った彼を見て、アレン殿が苦笑している。
「すみません。少々事情があって、必要なこと以外喋らないようにしているようでして・・・ご容赦を」
「いえ、それは問題ないですが・・・」
そして、アレン殿が座ったのを見計らって、当主がこちらに視線を向けた。
「まずは簡単な説明だけさせていただき、昼食後により詳しい話をさせていただこうと思う。よろしいだろうか?」
「構いませんが・・・宿のほうはどうしましょ?」レイが質問する。確かに気になるところだが問題ないだろう。
「そちらには、馬車の業者に言伝を頼んでおいたので問題ないであろう」
業者が馬車に乗ってる間に宿に入っていたから、多分その時に手続きしてたんだろうな。
もとより、宿泊費は侯爵家が出してくれてるからそれを考えても問題ないだろう。
頷いて続きを促す。
「そちらの聞きたいこと、調べていることを含めると2点かな」
神衣に関しても何か教えてもらえるのかな・・・ありがたい。
「では、まずは次男レクス・リーベルトについてからにしようか」
「・・・うん?」
「え?」
レイとエリアが声をもらす。ライヤーは大丈夫だったが、疑問だって顔にでてるぞ。
仕方ない。
「申し訳ない。とある依頼で知り合った男爵から教えられたのですが・・・」
「ああ、そういえばバウンサー組合のほうからその話もきていたか。それは戸惑ってしまったな」
あ、ちゃんと話いってたか。
「レクス・リーベルトは、確かにリーベルト家の次男だ。だが、1点だけ表に出ている情報に偽情報を混ぜている」
つまり・・・
「あいつには確かに勘当と言い渡した。だがそれは表向きのこと。実際、あいつは今でもこの家の一員として名簿に登録はされておる」
この辺の設定ができたことで、この物語が誕生したのである。
ただし、侯爵家に関しては書いてるうちにどんどん膨らんでいっただけ。元々は簡単に紹介して終わりの話になる予定だった。
なお、この後の話の一部を変更する理由となったのは、この回でしゃべっていない人物が原因である。どういきついて、こんなキャラになったのかは・・・覚えてません




