第二十九話:謎の声と通告
語り:レクス
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一つ目の運命の日
そして数日後に二つ目の運命の日
ここから、僕の物語は始まった
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学園生活2学期突入してだいたい1週間たった時だった。
いつものように、学園の裏手で剣を振ろうと思って向かったのだが
あいにくその日は別の生徒たちがたまり場としていた。
顔見知りという相手でもない、されとて親しい相手でもない。
こちらのことは知っているだろうが、家柄によって表立って何も言えないそんな相手。
一応言っておくけど、この学園では貴族家の権力は意味をなさない。
実力や実績が全て。学問、武力、そのほか全てだ。
なので別に学園内でなら問題ないのだが・・・おそらく一応自重できる神経の持ち主達なのだろう。
以前、学園で目上の貴族に挑発行動をしていた生徒が同じように学園外で行動を起こして罰せられた事件があった。
暴走して学園外でも同じ行動をとってしまう生徒が、やはり毎年でているのが現状のようだ。
さて、別にその場所が僕専用の場所というわけでもないし「剣の練習するから移動して」というのもおかしい話だ。
なので本日は少し移動距離が長くなるが、学園に古くからある協会のそばで振らせてもらうことにした。
勤務している司祭も「そんな大きな音が鳴るわけじゃないから」と了承してくださったので問題なし。
そして、最近家の書庫で見つけた剣術書を見て覚えた振るときの動きを確認しながら練習していた時だ。
ふいに、声が聞こえた。
【・・・まさか、この時代に剣を振る人間が現れるとは思わなかった】
「?」
気になって周りを見回しても、だれもいなかった。
おかしいな・・・と思いつつ、練習に戻ろうとしたら
【まさか・・・こちらの声が聞こえているのか・・・?】
なんか驚いた雰囲気の声が聞こえた。
「だれか知らないけど・・・一応声は聞こえてるよ。声だけじゃなく姿も見せてくれるとありがたいと思うんだけど」
いつも、見下しように見てる相手や侮蔑の表情で見てくる相手とは違う感じだったので聞いてみた。
【やはり、聞こえているのか・・・ようやく、現れたということなのだな】
「よくわからん。とりあえず姿を見せてくれませんか?」
自問自答しておるので、もう一度同じことを聞いてみた。
すると突然、目の前に光の玉が現れた。ライトを点灯したような感じに。
「・・・?なんだこれ?」
【姿を見せろと言ったではないか。今はこの姿でしか顕現できぬゆえ、その辺りはご容赦願いたい】
「・・・え?」
さっきから聞こえていた声が目の前から聞こえる・・・本当にこの光が喋ってる?
「・・・声は同じなので同一の方と思い、ぶしつけな要求にこたえてくれたこと感謝します」
そう言って、とりあえず頭を下げておく。
【我が何者かわからないのに、そうやって礼を尽くしてくれること感謝する】
光が発光しながら声を発した。
「僕の名前はレクス。この学園の生徒だ。剣を振っているのは・・・剣が好きだから。元々は違うかったけど」
「我は名をリッターという。と言っても、過去の契約者がつけてくれた名だ。今でも愛用している。
・・・もしや、そなたは『リンカー』としての記憶をもっているのか?」
自己紹介開始数秒で気づかれた。察しがいい相手だ。
「よくおわかりで」
【この銃が発展している時代で剣を振るう者だ。それに『元々』と言っていたので過去に何かあった故心変わりしたと想像できた。その条件で考えると、それ以外まず考えつかなかったのでな】
リンカーのこと知ってるのか・・・結構昔からこの呼び名はあったようだけど、色々と詳しそうだと思った。これが「彼」との最初の出会いだった。
その後授業時間が迫っていたので別れたが、
協会から離れるとき「話し声が聞こえましたけど、誰かおりましたか?姿が見えなかったのですが・・・」と司祭に言われた。
彼の声、僕だけにしか聞こえてなかったのか・・・。
翌日からの練習場所はそこに固定することにした。
リッターと話していると、色々なことが分かった。メイルのこと。武具霊のこと。
彼は遥か昔、メイル誕生の時代からいる武具霊だという。その頃の記憶もあるけど今の時代の人々は過去の人々の話を伝え聞いて育っているからいらない誤解が生じても面倒といって教えてくれなかった。まあ、教えられても困るところだったけど。
さらに嬉しかったのは、彼は「剣」の武具霊だったことだ。戦いかたのレクチャーもしてくれた。
たまに話をしながらのんびり休憩したりするけど・・・やっぱり司祭には聞こえていないみたいで。
「何かお悩みでしたら、一度聞きましょうか?」って言われた。
懺悔室に入るような内容じゃないので、笑ってごまかしておいた。
まあ・・・話に夢中になって何度か心配されたこともあったけど、気にしないでおこう。
そんなある日、彼には叶えたい願いがあることを知った。
色々と話をして、親しくなった相手。なんとか叶えてあげれないものかと思った。
それが大体、一月の間に起こったこと。
そして、その月の終わりごろ
僕は、父上に呼び出された。
「父上、参りました」
時間は深夜。そろそろ寝ようかと思った時だった。
あまり他人に聞かれたくない話なのか、この時間に呼び出されるのは珍しい。
窓の外を眺めている父デスティン・リーベルト。
今も現役でリーベルト家所有の騎士団を率いて魔獣狩りに赴いたりしている、父。
「きたか・・・このような時間に呼び出された訳、理由はわかるか?」
「恐らく、あまり周りに聞かれたくない話ではないかと・・・」
「うむ。さすがに我が侯爵家の恥にもなりかねない通告故にな」
恥・・・その言葉が聞こえた時、以前兄上が言っていた言葉がよみがえった。
そうか・・・その時がきてしまったということかなこれは。
「我が子レクス。今までは我関せずでいたが、今後の学園カリキュラムを考えるとそうも言えなくなった。故に通告する」
そう言って振り返り、厳しい眼差しのまま告げられた。
「来月行われる学年別対抗戦。そこで結果を出せなかったときはお前を侯爵家より勘当する。
侯爵家の後押しがなくなる以上、学園も退学。この国より立ち去ってもらう」
予想以上に重い通告だった。さすがに前例がないのではと思うが・・・まあ、この国の騎士を考えると致し方なしかとも思った。
魔銃
この世界にある魔銃のデザインは少し大きいハンドガンを想像してもらえるとわかりやすいかと。
トリガーの上あたりに魔石が埋め込まれ、引き金を引くことによって魔石の魔力が活性化し弾丸を生成して撃ちだす仕組みとなる。
最初に作られたころは大きさがアサルトライフル並みであり、魔石も一発撃つたびに取り換えしないといけないくらい燃費の悪い作りとなっていた。時代とともに技術が向上、魔石から弾丸を作る回路の作成が進み、それに合わせて簡略化できるようになったので銃のサイズも少しずつ縮小。
現在の形まで持っていけるようになったとされている。




