第十八話:青いメイルの男
語り:トロア
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事件発生から1日空けた日
男爵邸にやってきた男から色々と話を聞けた
この事件の犯人についても
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襲撃の翌日、壊れた男爵邸の壁の修復を行った。
メイルを使えば瓦礫の撤去は簡単だ。壁はとりあえず応急処置だけした。
娘であるリーフェ嬢は傷1つなかったそうだ。意識を失っている間に連れ去られていたそうで、あまり事件を覚えていない。
男爵は少しケガをしただけで命に別状はなかった。
ただ朦朧とした意識の中、そばに複数人が来ていた気がするそうだ。自分がそのまま寝かされていたことから屋敷の人間ではないと思うと。
黒いメイルの追跡は失敗。リーフェ嬢を置いたその後の足取りはつかめていない。唯一わかっているのは街の外に出た可能性が高いそうだ。
これは追跡に協力してくれた別のバウンサーから得た証言で、目視確認したとき真っすぐに街の外に向かって屋根の上を走っていたのを見たと。
あのメイルがなんなのか。この事件はいったいなんなのか。
それが、今日わかりそうだ。
今、男爵の家の一室に6人の人間が集まっている。
1人は男爵、4人は俺たち。
そして、あと1人は20歳くらいの日焼けした肌をした白い髪の男だ。
衣装が大陸の南の方にあるとある地方のに似ている。動きやすい服装なのになぜかやたらと長いマフラーが目立つ。
「お初にお目にかかります。オレの名前はユーシス。青いメイル『蒼影』の搭乗者です」
そう言って自己紹介をしてきた。
「この家の主、ラークだ。まずは娘を取り戻してくれてありがとう。礼をいう」
その後、男爵は俺たちの紹介をしてくれた。
「それで、我が家に来た目的はだいたいこちらの方々より聞いているが・・・その他で知っていることがあれば教えてもらいたい」
「問題ありません。オレの依頼人よりもその許可はいただいてます。ただ・・・ここで事件の首謀者の話もしますが、騎士団への報告は控えていただきたい」
「つまり、犯罪者の正体は教えるが捕まえるのはやめろと言いたいのかね?」
そいつは、ちょっと聞けない話になりそう・・・か?
「いえ。おそらくですが、その報告をする必要がないからです。今日、向こうで話し合いが行われる予定なので」
「?よくわからん」
話し合い?向こうで?
「まずは一通り説明させていただきます。今回の貴族襲撃や商会長殺害事件の首謀者の名はキール男爵。この街を運営する男爵家の一つ、その主です」
男爵が首謀者・・・前の事件と同じく貴族かよ。
「事件の動機は、事件ごとに少し違う内容になります」
なんだそりゃ?
「まず最初の商会長殺害事件の動機ですが、これは明確な殺害指示です。購入しようとしていた宝石を会長に依頼し取り寄せしてもらったがその宝石を別の貴族家が2割増しの金額で購入したいというと即決して売り渡したそうで。もう一度取り寄せを依頼すると、その貴族と同じ額払ってくれるなら取り寄せると言ってきたので怒り心頭になったと」
「そりゃだめだ」レイが頷く。
「だめだね」エリアも同意。
「それで3件目の事件ですが、4件目の事件の男爵家を調査したのが影響しております」
「時系列がおかしくないかね?それ」
「と思うでしょうが、この2件は繋がっております。4件目の男爵が宝石を買った家なのですが、この宝石はどうやら3件目の男爵に渡される予定だったそうです」
「つまり、その宝石を巡った事件だったということですか?」
ライヤーの質問に、ユーシスは首を横に振った。
「宝石ではなく、それを受け取る人物が事件を起こすことになった理由です」
よくわからなくなってきた。話を一通り聞いた方がいいと思ったから、俺は聞く専門になろう。
「3件目の事件の被害者、貴族家の長男ですが・・・リーフェ嬢に求婚するつもりだったようです」
「うちの娘に?しかし、あの家とは特になにかしら取引をしたことはないが・・・」
「そこで、宝石です。その宝石はかなり稀少なものだったようでこの国でも子爵家以上くらいでしか持っていないような価値のあるものです。それを手土産に求婚を求めようとしたそうです」
「物としては価値が相当だというのはわかるが・・・娘と交換するのに大丈夫な品と思われていたのは不愉快だな」
「まあ、それはキール男爵もそうなので」
「うん?」
「話を戻す前にこのお話をしたほうがよさそうなので・・・実は、キール男爵の一人息子もリーフェ嬢のことが・・・」
「つまり・・・キール男爵が宝石を求めた理由も同じだったと?」
「その通りです。それで真実をしったキール男爵が自分のこと棚に上げてその貴族家長男を・・・」
「なんというか・・・」
「ついでに、4件目の貴族家の次男も同じ想いだったようです。宝石を実際は売り渡すつもりだったようで・・・見合う金額を提示されなかったら渡さない上に・・・と」
「4件目の奴に同情の余地あるのかな・・・これ」
金か女か、どちらかは手に入ると思っていたのね。ラーク男爵の性格だと、どんなに高価な品でも娘を交換で渡すなんてしないと思うが。
「・・・話を聞くと、うちの娘が騒動の中心としか思えない事件だ。しかし、よくそんなに詳しく知っておるな?」
本当に。俺たちもそこまで詳しく調査できなかったぞ?
「今回の事件において、オレの依頼人の名はアッシュ。キール男爵の息子さんです」
首謀者の息子が、こいつの依頼人!?
「アッシュ殿は、正義感の強い実直な方で好感も持てるよく人格者です。彼は父のとろうとしている行動が自分を思ってだとわかりつつも犠牲者がでていることに悩んでいたそうです。そしてラーク男爵邸の襲撃を知って今日、父と話をすると言っていた」
「なるほど・・・それで通報は待ってほしいという事か」
「アッシュ殿が話があるとキール男爵に伝えたのはオレだし。その時の表情を見る限りだと、男爵もやりすぎた感はあったからおそらく・・・」
「わかった。そちらはその息子殿にまかせよう。あとは・・・」
「黒いメイル、その正体・・・」
お茶を一口飲み、ユーシスは話を始めた。
「黒いメイルの名は『黒影』。オレのメイルはその複製品だ。
そして、乗り手の名はレヴァイ。オレと同じ場所でメイル乗りの訓練をした親友だ」
貴族で小物感だそうとすると男爵って位が使いやすいと勝手に思って使いまくる作者




