第十七話:黒と青
語り:トロア
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
こちらのタイミングを計っていたのか
警備の穴を抜かれた
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
「レイ!そっちのほうがどうだ!」
『まずい。逃走ルートを予想して移動開始していたんだが、違う方向に進路を変えられた』
「どうやら相手さん、こちらの警備ルートを調べてたようだ。こうまでかき回されるとは」
今日はエリアが休息日で、俺がレイと交代してライヤーに合流したタイミングで襲撃がおこった。
状況確認に話してる間に館を襲撃、壁を派手に破壊された。
どうやら接近した瞬間に魔銃で攻撃したようだ。
攻撃された場所は、男爵の部屋のそば。正確に言うなら娘さんの部屋の壁だった。
その後、娘をさらって逃走。現在追走中という現状。
ライヤーの車で追跡しているが・・・追いつける気がしない。
目的の黒いメイルは、写真で見たのと同じようにこのあたりで見ない細身型だった。
盗みに入る盗賊みたいに、屋根の上を走って逃走している。
びっくりするくらい、屋根にダメージがいってるように思えない。
しかも建物から建物へ飛び写っている。にもかかわらず、屋根の破片が飛びもしていない。
「しかし、なんなんだ・・・あのメイル。あれだけ早く走ってるのに」
「ああ・・・建物が壊れないどころか、屋根の破片すら飛んでない。いったいどうなってるんだか」
まったく・・・他のバウンサー達は自分たちの依頼人の護衛で手薄。手の空いてるのが動いてるが、やはり街の広さが仇になってる。
多数による包囲網ができたらいいのだが、顔合わせだけで済ませていてこういったときの連携方法など考えてなかった。
魔導車もメイルも事前に相手のを登録していないと通信できない。連絡方法が現状ないのである。
「まずいぞ。このままだと、見失う可能性がある」
「・・・まじかよ」
「屋根の上と違って、こちらは道に限界があります。これだけ広い街といってもやはり行き止まりはあるものです」
「このままいくと、そこに突き当たるという事か・・・」
『こっちも方向かえまくって、今どのあたりにいるのか正確な位置が分かりづらくなってきた』
街が広すぎて全員地図を覚えきれてないからなぁ・・・ライヤーがこの先行き止まりになりそうなのがわかるのはすごいが。
『こちらエリア。男爵の傷は軽傷。壊された壁の破片が当たって額にケガしてるけど小さい破片だったみたい。意識ももどった。』
「了解」
『あと、男爵のもってる通信具で他の貴族に応援要請してもらったけど、向こうもバウンサー達との通信共有はしていなかったみたいで貸し出してる車としか連絡が取れていない。車とメイルの連携が上手くとれていないそうだよ』
「くそ・・・人数多いだけの、あまり連携訓練していない奴らみたいだな」
このままじゃ・・・
『・・・そこまでだ』
!?
知らない声が聞こえた。
そして、その声が聞こえたと思ったら、屋根の上で黒いメイルが動きを止めた?
「・・・トロアさん・・・あれを」
ライヤーが驚いた表情をしながら、屋根の上を指さした。
そして、そこにメイルがいた。青いメイルが。
黒いメイルとよく似た姿をした、黒いメイルと同じように屋根の上に立っているメイルが・・・。
今しゃべったのは、奴か?
『まさか・・・その声は・・・』
黒いメイルから驚いた様子の声が聞こえた。顔見知りか?
『そうだ・・・オレだよ。君を探していた』
『・・・そうか・・・だれかしら追手は来ると思っていたけど、予想が当たって欲しくない相手が来てしまったようだ』
『悪いが、君をこのままいかせるわけにはいかない。その女性を置いて、メイルから降りてくれ』
『・・・どちらが本命なのかわからないセリフだ』
『どちらもだよ。君の今の依頼を止めに来た』
『厄介この上ないな。お前を相手にしてこの女性を抱えたまま逃げ切る自信などない。下の奴らだけなら逃げきれそうだったんだがな・・・』
そう言って、黒いメイルは両腕で運んでいた女性を屋根の上に寝かせた。
『女性は解放しよう。元々連れ出したのは、他の奴がまた暴走しないか心配だっただけだからな』
『・・・メイルは放棄するつもりは、ないと?』
『ない。だが、ここでやり合う気もない。街に関係ない被害は出したくないからな』
『ならば・・・』
『この女性の家と連絡をとれ。そちらに追って場所を指定する』
そう言って、黒いメイルは逃走した。
青いメイルはそれを追うことはなかった。
「・・・なにがなんやら」
「まったく。少なくとも、あの青いメイルとは後で顔合わせできそうですし、何か知ってそうだ」
『おーい。途中から話聞こえなくなったからわからん。どうなったんだー?』
『もしもーし。こちらにも情報共有おねがーい。青いメイルってなに??』
あ、2機の会話に聞き入ってて情報伝え忘れてた。
その後、青いメイルは娘さんを俺たちの所まで運んでくれた。
「こちらの女性のこと、お願いします。詳細については近いうちに」
そう言ってすぐに去っていった。
何だったのかわからないが・・・近いうちに言ってるし話し合った結果待つことにした。
余談
屋根から欠片も落ちてこない発言しておりますが、実際は彼らが車で走り抜けた後に落ちてます。追いかけるのに夢中になってるだけ。
ただそれほど大きい欠片が落ちてないのは事実。建物の屋根までの距離と走行中、夜というので甘く見て「飛んでるけど気づいてなかった」という形にしてます




