第一話:依頼を受けないと生きていけない
語り:レクス
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生きていくうえで必要なものはなにか?
食料や水や住む場所など多くあげれることだろうが
やはり一番必要なのはそれらを手に入れるための手段だろう
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所属していた旅団が解散してから3か月。
正式にバウンサー登録を行い一人でがんばっておりましたが
「ただいま、生活費をどうするか真剣に悩み中である、と」
成人したてのうえ、ソロ活動のバウンサーに振られる依頼などは雑用が大半である。
この3か月で受けた依頼は
「ペットの散歩」「逃げたペットの捜索」「迷子探し(ペット)」「喧嘩仲裁(隣り合う家のペットたち)」とペット関係が大半。3番目と4番目など頻繁に起こっている。ちなみに2,3番目の内容は同じに思えるだろうが実際に依頼内容を確認するとペットを探すのかペットの飼い主の家を探すのかとなる。どちらにしろあまり違いがわからない依頼ではある。
そんな依頼故、料金は破格の安さ。分配された金がなければ今までもたなかっただろう。
しかし、それもここまで。元々正式な所属をしていたわけではないので分配金もそれほど多くはもらわなかったというのもあるが、そろそろ底が見えるかもしれない時期。
「まだひと月くらいは持つだろうけど、それ以上は今のままだと厳しいだろうなぁ・・・」
そんなことを思いつつ、本日も依頼掲示板を眺めているが・・・やはり成り立てのソロが受けれる依頼が圧倒的に少ない。
ちなみに、小規模の旅団のいくつかからは「しばらく一緒にやらないか?」という誘いは受けたことがある。
しかし、僕のメイルを見るなり「やはり、この話はなかったことで」で終了である。魔銃をもたないメイルってだけで即終了。それが広まるのもすぐのこと、1週間後には声を掛けてくる人はいなくなった。
ソロでいけそうな魔獣討伐依頼もあったが、組合員がメイルの情報を確認するなり笑顔でペット関連の依頼書をだしてきていた。ちなみに1回で覚えられたのか同じ組合員には2回目受けようとしただけで笑顔で見られるようになっていた。
悲しいことである。
そんな状態で眺めていた掲示板
そんな中、ひとつの依頼表が目についた。
依頼内容:両親の形見の回収
バウンサー条件:守秘義務を守れる方ならソロからでも
契約期間:依頼達成まで
その間の生活費は依頼者が全額負担
報酬:成功報酬となり現時点では正式な額が不明
失敗時のペナルティ:逃亡生活になる可能性あり
依頼表が張り出されたのは、1週間ほど前のようだ。
まあ、この内容だと正規のバウンサーは受けないだろうと思う・。
まず、依頼内容が不鮮明。これだけではどういった状況にありどういった不測の事態が起きる可能性があるのかわからん。
条件も怪しすぎる。一応守秘義務については登録時の説明でも受けてることだが、わざわざ依頼表に書く意味がやばい雰囲気にしかならない。
依頼を達成した報酬で生活するバウンサーにとっては契約期間は明記してほしいものである。どれくらいかかるのかわからない場合、他の美味しそうな依頼が受けれなくなる。
最後に報酬が敬遠される最大の理由。報酬を糧に生きるのに不透明な状況、まず受けるやつが現れるとは思えない。
最後の失敗時のペナルティだが・・・ぶっちゃけこれだけ読むと犯罪の協力じゃないかな?
まともな依頼を受けて、失敗したら逃亡生活することになるバウンサーの話なんて聞いたこともないよ?
いったい、組合員はなぜこの依頼表を貼りだしたのかと言いたくなる内容だぞ?
「それの依頼人の詳細は詳しく教えられてないけど、この街の組合長が知り合いってことでとりあえず募集してみることはするってことで出してるよ」
聞いてみたら理由はそれだった。
「普通のバウンサーなら受けないだろうと前置きしたうえで依頼表を出してる。まあ・・・普通じゃない奴なら受けるかもしれないけど望みは薄いだろうなぁ」
チラチラとこちらを見ないでください受付さん。確かに普通ではありませんが。
「報酬が不明なのにも理由があるんだが、成功した時の報酬額は通常より高くなる可能性がこの依頼にはある。ソロからでも受けれるが、実際は少人数を希望してるようだな」
「ちなみに、依頼人は先に聞いてもいいんですか?」
「それも守秘義務の内容に含まれるようで、教えてもらえなかった。組合長も悪人ではないと言ってるけど・・・」
聞けば聞くほど怪しさ爆発しそうな依頼。さすがにこれ受ける人いないだろうなぁ。
けど、場合によっては高額な報酬か。
まあ、今の状況だと依頼期間の生活費もってくれるのが一番魅力的ですな。
「というわけで、普通じゃないバウンサーでソロがこの依頼受けようと思います。依頼人に伝えてください」
とりあえず、頑張ってみるかね。
と思ったら、依頼人のいる場所や地図に関しては組合長が直接渡すと
新人でありながらいきなり組合長室に招かれることになった。悪さしたわけじゃないのにね?
「場所はここだ。間違ってたらなんて思うかもしれないから一応先に言うがそこは宿屋だ。
経営者の男も依頼人の付き添いでな、1人でやっとるからその男に依頼を受けてきたことを言えば問題ない」
「符丁みたいなのやったりするんですか?」
「一応、登録証を見せれば問題ないってしてる。・・・まあ、あまり表立って色々とできない人たちではあるし。符丁考えろって言ったんだが面倒の一言で片づけやがった」
「・・・」
「今、本当に大丈夫?って思っただろ。怪しい説明なのは俺も理解してるが、悪人ではないのは間違いないから大丈夫だ」
「失敗時のペナルティに関してがとんでもなく、犯罪の協力じゃないという根拠は?知り合いだからってだけだと、知り合いじゃない僕は気になって仕方がない」
「直接依頼内容を伝えるってだけだとそうなるよな。俺は一応聞いてるし、一歩間違えたらそうなってもおかしくない依頼ではあるんだが・・・そこに関しては俺のもつ権限全部使ってでもそうならないように手を回すことを確約しとく」
「とりあえず、依頼内容聞かないと何とも言えないってことかな・・・じゃあ、地図もらいます」
・・・しかし、やたらと組合長が落ち合い場所の地図渡すとき笑顔だったのが気になる。
主人公が最初に拾われた旅団は大規模旅団って設定です。
一定人数が固まったバウンサーの集団を協会では「小規模旅団」として一枠にして管理します。
人数が増え、さらに一定人数超えてくると「中規模」「大規模」として登録されます。
なお、個人で活動する者達にランク分けはありません。