第百八話:合流と王子
語り:レクス
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あの国にもまともな人がいたとはね
そんなことを思いつつ伝えた言葉が
この争いの終結に向けての言葉になった
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「よっしゃぁ!すぐに王城にいって伝えてこい!ついに悲願成就の時がきたとな!」
「まかせろ!今日の俺は秒速の速さを発揮できそうな気がするぜ!」
「まかせた!俺はあの人を呼びに行く!あの人がいないと始まらないからな!」
「了解だ!お前の仲間に言ってメイルの準備始めるよう伝えておくから頼んだ!」
「この討伐依頼終わったら、遅れてでも合流する!頼んだぞ!」
一言をバウンサー組合で言ったら、びっくりする勢いで事態が動いた。
「・・・うん。こわい」
「すさまじい勢いではあるけど・・・少し引くな」
ラウニィとアンキセスが若干後ずさってる。
まあ、僕も似たようなものだ。
一言伝えただけで、こんな一気に動き出すとは・・・。
「しかし・・・あの人ってだれだ?」
「だれだろ・・・気になるな・・・すいません、あの人ってだれです?」
気になったので、近くの人に聞いてみる。
「うん?まあ、後で知ることになるだろうけど・・・滅ぼされた国、その王族の子孫だよ」
「・・・この国にいたんですか!?」
びっくりした。衝撃の事実ってやつだ。
「ああ。当時の我が国の騎士団長が保護してな。その後、この国の貴族の血が入ることになったけど、かの国の王族の血は受け継がれているだろうさ」
ラールナで保護されていたのか・・・。
これは僥倖だな。
「・・・うん。大義名分ができた」
「そうだな。これで、遠慮する必要が完全になくなった」
ラウニィが頷き、アンキセスが笑った。
僕も笑顔だろう。
完全に、やってしまっても問題なくなったんだから。
翌日、騎士団が完全準備を終わらせて、そのまま国境地帯まで進軍を開始した。
異常な速さ。普通の騎士団の動く速さじゃないよこれは。
その翌日には、国境のにらみ合いしていた騎士団が合流する。
どうやら先にレヴァイが単独で行動していたようで、組合で聞いた伝言を両国に伝えたようだ。
隊長と思える人に連れられて、駐屯軍の一番大きいテントに案内された。
「騎士団長!ご苦労様です!」
テント内にいた騎士が一斉に敬礼をする。
その奥に、豪勢な服を着た一人の男性が立っていた。
「うむ。・・・おお、リオン殿。もう到着されておられたか」
「ああ。・・・私はラールナで生まれ育った身だが、やはり先祖の無念を晴らすには私が先頭に立つ必要があると思ったのでな」
あ、この人がそうなのか。
そう思っていると、その男性は笑顔を浮かべ、こちらに歩いてきた。
「初めまして。君たちが号令の合図を持ってきてくれたバウンサーかな?私はリオン。リオン・カリャオだ」
初出し。滅びた国の名前はカリャオというそうだった。
「まずは礼を言わせてほしい。物語としてしか知らない、私の先祖の奪われた土地を取り戻す段取りを作ってくれたことを」
そう言って、頭を下げられる。
「この戦、絶対負けるわけにはいかない。私にできることで騎士たちを鼓舞し、必ず勝利を手に入れてみせると誓おう」
「私からも礼を言わせてほしい。そして、リグと合流したのち、あの国に正義の刃を確実に突き立ててみせると誓おうぞ!」
騎士団長がそう言い、その場にいた騎士たちが一斉に頷いた。
「諸君にはせめてもの礼としてリオン殿に顔合わせをさせていただいた。この後はぜひ王城まで足を運んでほしい。国王がぜひお礼をしたいと」
「・・・うん?一緒に行くけど?」
その発言に、ラウニィが首をかしげて返事する。
「うん?一緒に行くとは・・・?」
「言葉通りです。俺たちも、あの国を攻めるのに手を貸します」
騎士団長の言葉に、アンキセスが返事をする。
「なんと・・・!だが、そなたたちがわざわざ国同士の争いに参加する必要が・・・」
「あるんです。その理由が」
そう言って、僕はこの場で、あの騎士の話をするのであった。
「・・・なんという忠義の騎士がいたものだ」
涙を浮かべて、騎士団長が言う。
「そうだな。・・・その騎士のためにも、より一層、かの国を攻める気持ちが強くなった」
リオン殿も涙を浮かべ、何度もうなずきながら言う。
「了解した。ならば、貴殿らの力、借りさせていただく!」
そう言って手を差し出してきたので、みんな順番に悪手するのであった。
2日後、リグの騎士団と合流するのであった。
「こちらのレヴァイ殿が、情報の提供者だ。我らと共に戦ってくださるということなので、よろしくお願いいたす」
リグの騎士団長が紹介する。まあ、こちらの国にも彼、伝言伝えに来てたから初顔合わせじゃないけど。
「・・・しかし、そちらの国におられたとは。驚きでありますよ」
リオン殿を見ながら、彼は言う。
「奴らの出まかせも、実は間違いではなかったという事ですよ・・・まあ、奴らの言う事なので信用に値しませんがね」
ラールナの騎士団長が笑いながら返事をする。
「全くですな。・・・で、そちらの3名がさらなる協力者で一緒に戦ってくださると・・・?」
リグの騎士団長がこちらを見る。
少し不審そうな目をしてるが・・・問題ないよ。
「騎士団長殿。警戒する必要は無いでござるよ。彼らは、拙者の旅仲間でござる」
レヴァイがそう言うと、すぐに穏やかな目になった。
「・・・それは失礼した。そして、この度の加勢、感謝しますぞ」
そう言って礼をしてくる。
「・・・レクス殿。彼らリグの騎士たちにも、あの騎士の話をしてもらえないだろうか?」
「あの騎士?」
そうだね・・・しますか。
「なんという忠義の塊のような騎士!素晴らしい!そして、さぞ無念であったことだろう!その意思、確かに受け取りましたぞ!」
涙流しながら、彼は雄たけびを上げていた。
こうして、2国の連合軍は誕生。
いざ会議をというところで、斥候が戻ってきた。
なんでも、北に真っすぐ進んできており、先遣隊に関しては明後日くらいには目視できる距離に到達する見込みとのこと。
先遣隊の規模はそれほど大きくないそうなので、連合軍は明日準備して出発。
夕方ごろに先遣隊を補足し、そのまま殲滅を開始するということらしい。
先遣隊の多くは、カリャオの領土で好き勝手していた奴らと思われるとのことなので、容赦するなという指令であった。
まあ、メイルや騎士の練度はアーレスのほうが上なんだけど・・・。
アースが言うには
【子供の剣と木剣くらいの違いでしかない】とのこと。
同乗者や、他の2人も容赦するつもりがないそうなので・・・今回は手心無しで行こうと思います。
結果の見えた戦争。
その初戦のぶつかり合いが始まります。
そして・・・とあるお別れがあります。




