第百七話:手に入れたもの
語り:レヴァイ
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まさか気づかれておったとは
すぐに撤退を考えたが
相手がそれを許してはくださらなかった
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「恐らく2国・・・いえ、3国とは関係ない方がこられていると存じますが、いかがでしょうか?」
この女性・・・国王を父と呼んでいたことから王女であると思われるが。
かなり感も鋭い様子・・・さて、どうするか。
「・・・返事がないのは肯定と捉えれますが」
ぬぅ・・・。
「まあ、いいでしょう。これ以上詮索して、逃亡されては本末転倒」
・・・うん?
「これから私は独り言を申し上げます。この国の闇の部分を色々と。・・・まあ、1人しかいませんし喋っていても問題ないでしょうね」
なんだ・・・どういうことでござる?
拙者の存在に気が付いていない・・・いや、気が付いているが黙認するという事でござるか?
「ああ、しゃべっていて他の者がこないかということなら問題ございませんよ。この状況になってから一度も私に采配を依頼しに来た者は1人もおりませんから。国王・・・あのクズも、扉そばの魔道具を起動させております。あれは、あの先の部屋の音を遮断する魔道具ですよ。こちらの音も声も届くことはございません」
父をクズ呼ばわりでござるか・・・。
これは、独り言を拝聴するが吉。おっと、魔道具も起動させておこう。
「あの国王は先ほどの話の通り、北の国を滅ぼし、その周辺国を同士討ちさせて疲弊させたところを攻め滅ぼすつもりでございます。4つの小国と呼べるくらいの領土の土地を1つにし、帝国として統合するのがこの国の歴代国王の悲願だったようで」
歴代か・・・まあ、北の国が滅ぼされた時期を考えると、今の国王がやったとは思えぬでござるしな。
「リグとラールナ、2国を疲弊させる方法は、2国から強奪したメイルを利用してそれぞれ襲撃することです。その結果、お互いが疑心暗鬼になるようにする・・・これが国王の立てた計画なのですが、ご存知でしたでしょうか?」
独り言と言いつつ質問してくるとは驚きでござる。
だが、あえてここは身を隠している柱を持っておったコインで叩いて軽い音を立てる。
「音が・・・どうやらご存知だったようですね。では、騎士団長の立てたもう一つの計画はいかがでしょうか?」
知らぬ。音を立てずにしばし静観する。
「やはり、こちらはご存じなかったようで・・・。あの騎士団長の立てた計画は『それぞれの密偵によって貴族が暗殺又は誘拐される』ということです。実際、両国では貴族の暗殺や誘拐が多発した時期があり、その時期にそれぞれの国の密偵が侵入していたという証拠もでております。・・・密偵がそんな大それた行動をするわけないと思うのですが、事前に行っていた騎士襲撃が合わさり効果がでているようでございます」
なるほど・・・騎士の襲撃だけでは弱いと思ったでござるが、別の計画も動いておったとは。
「ちなみに、男性貴族は8割が殺害されております。1割は、男好きの騎士のモチベーション上げに使ったとか。女性貴族は今更言うまでもないとは思いますが・・・あの扉の向こうですわ。およそ7割が。2割は騎士に」
さっきの国王の発言・・・そういうことでござるか!
刃を振り下ろすべき相手のようでござるな。
しかし・・・気になる点がござるな。
「・・・それぞれの残り1割は?」
ここは、あえて踏み込んでみるとする。
「おや?何やら声が・・・気のせいですわね。1割・・・そうそう1割は私が逃亡させてあげましたわ」
なんと・・・?
「最初から国王の好みに引っかからなかった方々もおりまして・・・その方々を私がもらい受けましたの。一応、私、公の情報では『気に入った相手をいたぶって殺す魔性の王女』となっておりますのよ?
誤ってやっちゃいました、そうすれば棺桶にでも入れて私の手のものに王都から出すことができましたからね」
とんでもない王女でござった!?
・・・いや、話を相互すると逃がすためにやった行動がそう捉えられたが説明すると不味いからそのままにしている、ということでござるな。
ここまでで確信が持てた。この王女は数少ない、この国での協力者となれる方であろうと。
意を決して、姿を見せようと思ったが・・・その前に彼女は首を横に振った。
「忘れておりました。音は拾えませんが、その場の情景を記録する魔道具は確か設置されていたかと。古いものなので今も動いているかどうか定かではありませんが・・・危険を増やすことはないでしょう」
ぬぅ・・・ならこのまま身を隠したままでいよう。
「・・・おや?そろそろ、いつもの私の就寝時間がくるようです。独り言の時間もそろそろおしまいのようですわね」
有益な情報は得られた。この情報を合わせれば、2国を動かすことができよう。
そう思い、立ち去ろうとしたその時でござる。
「最後の独り言として・・・リグとラールナに赴くことがあれば、それぞれのバウンサー組合に『時は満ちた』とお伝えいただけると助かります」
そう言って、彼女は国王が入っていた方とは逆の扉に向かって歩き出した。
話はこれでおしまいということでござるな。
その後ろ姿に、拙者は1つ礼をして・・・城から抜け出すため行動を開始するのであった。
すぐにレクス殿と一緒に逃走。他のメンバーとの合流場所に向かうのであった。
数日走り続けることで、予定時間より早く合流できた。
まあ、拙者は数日間不眠不休だったので合流後まる一日寝ることになったでござるがな・・・。
起きた後、王城で聞いた話を皆にした。
「レヴァイが直接見て話しをした感じだと、王女は味方と判断して問題ないだろう」
アンキセス殿が同意してくれた。
「内容からして問題ないと思う!なので・・・2国に行こう!」
リーデル殿が賛同してくれ、再び2手に別れて両国に赴くことになった。
拙者、リーデル殿、ヴァド殿がリグに到着した。
この地は、海に近い位置にあることから海産物を交易の主力にしておるようでござった。
生もの故の問題もあるが、魔道具で凍らせることができるものを開発しておるようで・・・問題はあまり起きておらんとのこと。
これまでの行程、ある程度駆け足ではござったが・・・アーレス国の侵攻までそれほど時間は残されておらぬだろう。
急いで、首都にあるバウンサー組合にやってきたのであった。
「ようこそ!当バウンサー組合に何か用か!?仕事か?登録か?依頼か?それとも塩か!?」
最後だけよくわからぬ。
「そのどれでもござらぬ」
「なんだ、残念だな。塩いらぬのか?塩分たりとるか?」
塩惜し過ぎでござるよ。
「伝言を伝えに参った」
「ほう?塩か?」
「・・・塩から離れてほしいでござるよ。えーと『時は満ちた』と」
その一言を言った瞬間、それまで人の話し声のしていた組合が静まり返った。
なんでござるか・・・?リーデル殿とヴァド殿も少しびっくりしてるでござるよ。
「・・・そうか。ついに動く条件がそろったというわけか!野郎ども!戦支度始めろ!!」
「「「おっしゃぁぁぁぁっ!!」」」
そう言うと、バウンサー達が一斉に立ち上がり、我先にと組合から飛び出して行った。文字通り。中には空いてる窓から飛び出した御仁も・・・。
「うんと・・・怖いよ」
リーデル殿が引いておる。拙者も同じ気持ちでござるよ。
「あの・・・一体今の言葉にどのような意味が?」
「うん?そこまでは聞いてなかったか」
ヴァド殿が聞くと、組合員は笑顔で言った。
「アーレス国王女アリシア様からの伝言だ。『この言葉を伝えにきた人物が現れた時、アーレス国の犯した罪が世に広まるときだ』とな。
『その時はその者に協力してアーレス国に正義の裁きを』という話だよ」
あの言葉にそのような意味があったとは・・・。
「アーレス国に攫われた侯爵家の長女が持ち帰った言葉でな。飛び出して行った奴の中には王城に行った奴もいるだろう。あんたたちは、すまないが国境でにらみ合いしている騎士団にこのことを伝えに行ってくれないか?『時満る地に来られたし』とな」
ちなみに、バウンサー組合が戦争に関わっていいのかと思ったでござるが、
あの御仁、組合長のようで。娘さんもアーレス国に攫われたがアリシア王女に助けられたそうでござるよ。
このバウンサー組合の看板娘さんだったようで・・・組合所属者全員がこの時を待ち望んでいたとのことでござった。
国滅ぼした後の後片付け要員っていると思うんです。
そう考えたので急遽、王女はまとも側として登場していただきました。
最初の案では「滅ぼした後分割統治」だったのですが
小国1つ挟んで南下した地を、小国1つ挟んだ北側に並んである2国が分割ってややこしくない?ってなりました。




