第百六話:最後の切り札を求めて
語り:レヴァイ
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拙者が国境で聞いた話
国境で見てきたことを伝え
かの国の企みを完全につぶすため、行動を開始する
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「元々2国は普通に交流しており、この国との関係も良好。物資の援助ややり取り、交易で潤っていたそうでござる。だが・・・アーレス国がこの国に攻め込んだ情報を得て、お互いが援軍としてこの国の国境に到着したとき襲撃があった」
「その襲撃とは?」
「リグの兵士が夜間警備中にラールナの騎士に襲撃を受けたそうでござる。警備していた騎士は全滅、破壊されたメイルにラールナの紋章のついた剣が突き立てられていたと。一報、ラールナも夜間に襲撃を受けて偵察隊が壊滅したということでござる。戻らない偵察隊を捜索したところ破壊されたメイルを発見、リグの紋章のついた槍が刺さっていたと」
「・・・うん。それだけだとお互い疑心暗鬼になる」
ラウニィ殿の言う通り。
「むろん、1回くらいなら間違いが起きてもおかしくないという判断だったそうでござる。なにしろ、交流があれどお互いのメイルの形状については非公開にしていたそうで」
「なるほど・・・つまり、1回ではなかったと?」
アンキセス殿の発言に頷く。
「その後も度々起こっていたようで・・・お互いのメイルの情報を開示してお互いがそうならないように注意をおこなったにもかかわらず。さらに、追い打ちとなる情報が双方に舞い込んできたそうでござる」
「それは?」
リーデル殿の質問に
「最後の生き残りの王族を保護した。その方からの話でアーレス国はすでに撤退していると」
「撤退してないじゃないか・・・なんだそりゃ」
アンキセス殿が悪態をつくが、この話の核心はこの次でござるよ。
「アーレス国を撤退させたのはラールナ国である。だが、かの国はそれを理由に領土を全部もらい受けると言い、略奪行為を開始していると。
同様の内容で『リグ国が撤退させた』という情報でラールナ国にも。結果、双方が相手国許すまじという話になって戦争突入したそうでござる」
「・・・どう考えても、アーレス国が裏で何かやったとしか思えない」
レクス殿が言うように、まさにその通り。
「裏付けとかしなかったのか?その情報の」
アンキセス殿が疑問に思うのも致し方なし。
「どうも、その情報の調査をする部隊がことごとく襲撃されていたようでござる。それも長年ずっと。結果、両国は『調査しようとすると何かまずい情報がでるのでは』という考えに至りはしたようで、両軍の全面衝突という動きにはならず長年にらみ合いだけの膠着状態を維持していたようでござる」
「つまり、何かおかしいとは思いつつも情報入手が困難な状況だったのは間違いないから膠着状態で場を濁していたと。中々優秀な指揮官が現場維持をしていたんだな・・・」
そう言って、アンキセス殿が頷いていた。
「まあ、調査は拙者の方で完了しているでござるよ。闇に紛れて動く怪しい集団を見つけたので追跡したでござる。『統率された動きをする野党風の男たち』が『それぞれの国のメイル』に乗り込もうとしている姿を見たので、叩きのめしてやったでござるがな」
「・・・うん。予想通りすぎて何も言えない」
ラウニィ殿の言う通り。
「そのまま縛り上げて、双方のにらみ合っている場所に持っていって聞いてみたでござるよ」
「両軍の回答は?・・・聞く必要なさそうだけど」
レクス殿もわかっているのだろうが、他の皆もわかっているようでござるよ。
「その場で打ち首でござった」
みんな一斉に頷く。つまりはそういう事。「どちらの国もこんな騎士知らない」である。
「確証はないが、まずアーレス国がやっていたに間違いないだろうということで両国は一時停戦、しばしの静観となったでござる」
そうして、2通の封筒を指さす。
「現場に来ていた騎士団を率いる隊長殿たちから、文を頂戴したでござる。2国に協力を依頼するとき、拙者以外が訪ねるときはこれを持ってきてくれと」
「なるほどね!すごい成果だよこれは!」
リーデル殿は笑顔で言ってくれる。頑張ってよかったでござるよ。
「レヴァイが国境に行く理由はこれだったのか・・・2国の状況を知るため。その結果は後ろ盾ができたという大成果だな」
アンキセス殿が頷きながら言う。
ヴァド殿も笑顔を浮かべており、ラウニィ殿も少し笑顔のようでござるな。
ただ一人、なにかを考えておる人物がおるが・・・どうやら、拙者と同じことを考えているようでござるなこれは。
「レクス殿・・・恐らく、次の行動は拙者も同じことを思ってるでござるよ」
そう言うと、彼はため息をついた。
「・・・だよね。多分、レヴァイなら考えると思う。けど・・・また大変は思いしてもらう事になるけど、いいのか?」
どうやら、拙者が適任だと思ってくれているようでござるな。
これは、答えねばなるまいて。
「問題ないでござる。最初からそのつもりでござったからな」
そう言って強くうなずくと、彼も頷いてくれた。
他のメンバーが首をかしげている中、レクス殿が行動を開始する。
「ラウニィ、ヴァド。トレーラーを出発させてほしい。行先は・・・アーレス国国境」
「・・・うん。何のために?」
ラウニィ殿が首をかしげる中、彼は言う。
「この話の確定証拠を得るため、アーレス国王城に忍び込んで証拠を入手する」
「「「!?」」」
3人が驚愕といった顔をしている。
「潜入のメインはレヴァイ。僕が何かあった時の後詰めとして行動する」
「・・・それは、かなり危険なのでは!?」
ヴァドが焦って聞くが、申し訳ないが確定しておるのでな。
「危険は承知。だが・・・明確な証拠を掴む前に行動を起こしてしまうと、証拠を処分されてしまう恐れがあるでござるよ」
「そうなると、こちら側が『悪者』になってしまう。だから、確実な証拠は必要なんだ。アーレス国が滅亡しても受け入れられるくらいの証拠が」
そして国境についた拙者達は2手に別れることにした。
拙者とレクス殿はアーレス国へ侵入。拙者が誘導することによって難なく成功でござるよ。
自国になってるという油断があったであろうし、そもそも国境は形だけの存在となっておるからな。
アンキセス殿たちには、できるだけアーレス国首都から離れた位置に点在するアーレス国騎士団の壊滅を頼んだ。
もっぱら戦闘はアンキセス殿頼りになるが・・・拙者が戦った感想では「取るに足らない相手」でござる。問題ない。
行動は早いほうがいいと思い、その晩にはすでに行動を開始。
会話を記録できる魔道具をリーデル殿が開発しておったので、借りてきたでござる。
最も、時間はかなり限られておるようなので・・・使いどころの難しいものではござる。
レクス殿はバウンサー組合に行って状況次第で動いていただく手はずとなっておる。組合員も、この地を見捨てる決断をしたようで・・・。
拙者達が撤退するときに一緒に北に向かうことになっておる。その際、警備所を通過するときの手助けをしてくださるそうだ。
そんなことを考えながら城に忍び込んだのでござるが・・・はっきり言ってふざけておるなこの国は。
夜間の警備隊が少なすぎる。主要箇所には交代で張り付いておるが、碌に警戒もしておらん。少し物音を立てたらそっちにあっさり移動しておる。
あっさり王座まで忍び込めてしまったでござるよ・・・さて。
楽なのはいいでござるが、ここまででめぼしい箇所はなかったので。
「どうだ?そろそろ、わしの作戦に嵌った愚か者どもを殲滅できそうか?」
などと言っている、国王と思える男の話を聞くのであった。
「もちろんです陛下。襲撃部隊の報告では、もう一押しで両国は全面戦争に突入するであろうと。そうなれば、そう時間もかからずに陛下の願いが叶う事でしょう」
騎士団長と思える男が笑顔で言っている。
最初に聞いていた話の内容だと、大まかな作戦を立案したのは国王ではあったそうでござるが、具体的な方法はこやつが決めたそうでござる。
なお、そばにはもう1人女性がおる。成人は過ぎたと思われる、ドレスに身を包んだ女性が。
「そうか!いよいよ、わしが皇帝として名をとどろかせるときが迫っているというわけじゃな!」
「その通りです陛下。歴代の国王が成し遂げられなかった偉業を、ついに達成するときが迫っておるのです」
「フフフ・・・歴代の無能共は、ただ少数部隊で襲撃をかけておるだけだったようだからな。まったく、双方で争わせれば簡単であろうにのう」
「全くです。歴代の国王は、そのことすら気づかなかったとは・・・先代の騎士団長も気づいていなかったようなのでしたがな」
「まあよい。次の報告では、始まったという話を聞けることと思っておくぞ?」
「もちろんでございます。最後の仕上げのための指令を出しに行きますので、お先に失礼いたします」
騎士団長はそう言って、退出していった。
「・・・さて、わしも今晩の楽しみの時間だな。あとは適当に采配しておれ」
ドレスを着た女性にそう言って、奥の部屋に向かっていった。
「かしこまりました、お父様。ごゆるりと・・・」
「うむ。・・・さあて、今晩はラールナから攫ってきた伯爵家の娘の番だったなぁ。抵抗する気がなくなったのが面白くないが、まあ、身体はまだまだ楽しめるからのう」
そんなこと言いながら、奥の扉そばの魔道具を起動させ、そのまま扉をくぐっていった。
どうやら・・・あの奥。
そう思った時でござった。
「・・・はあ。どちらも無能で仕方ありませんね。侵入者の存在に気がついていないとは」
!?
気づかれておった!
「まあ、いいでしょう。むしろ好都合というものでございますね」
微妙な部分の修正いれたら、少し文字数が増えた。まあいいでしょう。
なお、この協力を取り付けた組合員は依頼をしに来た人物です。
話を聞いて「あ。もういい。組合首になってでもこの国でる」と真顔で言って協力を申し出てきたと。
さすがに、レクス君も同情して肩をたたいたという一場面があったりなかったり




