第百五話:情報整理
語り:レクス
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戻るのに少し時間のかかるメンバーがいたが
全員、成果を得て戻ってきた
さて、どんな話になることやら
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トレーラーに全員合流した翌日。
「さて・・・では、情報整理を行うとしよう」
アンキセスがそう言って報告会が始まる。
「まず、俺からいこう。ヴァドはリーデルと一緒に持ち替えられた日記の状態確認中。
レヴァイは、今後の行動に影響を与える情報があるそうだからな」
「すまぬが、よろしくお願いいたす」
そう言って、彼は頷く。
「まず、俺の得た情報。簡単に言えば『アーレス国がこの国を滅ぼしたのはほぼ確実』という情報だ」
「・・・うん。ほぼという事は証拠が?」
「ああ、物品としての証拠がないので話だけでということだ。・・・俺が行ったのは元首都があった場所に残ってる町だ」
えらい所に行ってきたんだな・・・。
「そこで見たのは、アーレス国の紋章をつけた兵士が駐在していた光景だ」
それだけだと、あの国で聞いた内容が当てはまりそうだがな・・・救った後、再度襲撃されないように駐屯部隊を置いていると。
「ただし、やってるのは略奪行為だ。略奪するものなど残っていないだろうくらい荒れ果てた町の住人から、残ってる財産を奪いつくそうとする光景だった」
「ちょっと待った。僕の持ってきた日記だと、滅亡したのはかなり昔だったはずだが・・・」
ちらっと見た限りだが、そんな昔から行われているとしたらすでに取りつくされていてもおかしくないのでは・・・?
「そう思って、ヴァドには違う町を見てもらっていた。その結果わかったことは・・・俺の見た旧首都は今まで略奪の対象になっていなかったそうだ」
「つまり・・・周りの町から略奪されていっていたということでござるか?」
レヴァイの発言に、彼は頷いた。
「どうやら、本当に少しずつ少しずつ略奪していったそうだ。ある程度生活基盤を残し、物資の循環する環境を残したうえで・・・時期をみて略奪行為を」
「最悪」
ラウニィが座った目になった。
「その略奪行為には、人も含まれていた。特に、町でみんなが言う美男美女の話を聞いたらすぐに」
・・・男もですか。
「まあ・・・騎士の中にはそっち系の人もいたそうだ」
・・・女性騎士がいたわけじゃなかったのか?いたけど、どちらかというと・・・とか?
本当にあの国、終わっとる。
「ちなみに、この情報の信ぴょう性だが・・・略奪行為にいそしんでいた奴らをボコって吐かせた」
なるほど。当事者に聞いていたならこれに関しては確実情報だな。
「大昔、偽情報を使って国の主要人物を呼び出して殺害。統制のとれなくなった国を叩きのめしたと言っていた。言ってたやつの家が代々騎士を排出していたそうで騎士になるときにその話を聞かされて育ってきたそうだ。『北の国に駐在することになったら楽しいぞ』って」
「その騎士どこでござる・・・?今から行って、首かっ切ってくれる!」
レヴァイがぶち切れていた。
「すまないが、話を聞いた後は動けなくして町の人々に渡してきた。『好きにしてくれ』って言って」
「・・・うん。ならよし!」
もう、そいつらはお空の上にいったかもしれないのか。
「よし!終わったよ!」
そのタイミングでリーデルとヴァドが戻ってきた。
「どうにか、読めそうな部分を集めて話の繋がるようにいたしましたぞ」
ヴァドがそう言って、正面に複数枚の紙を貼り付ける。
「俺の話は一応終わりだから、次はこいつについてと行こうか」
アンキセスがそう言う。全員が頷く。
「では、一緒に行ってきた自分が説明します!」
そう言って、まずリーデルが一枚目を指さす。
「この一枚目は、日記の主がどうしてこの国に来たのかが書かれてた!」
「それによりますと、この日記の主は・・・我々の遭遇したメイルの乗り手だったと思われます。しかも、別の大陸から来たとか」
やはり・・・別の大陸から来ていたのか。
「この部分は要約して話すね!・・・向こうの大陸がちょうど魔銃のでき始めた時代、彼はとある国に仕えてた。国は小さかったけど、人々は不自由ない暮らしのできるくらいには潤ってる国だったけど・・・当時の国王が野心家だった。ある時、隣の国を攻め落とそうと騎士団を派遣。彼は騎士団長だったので前線指揮官になっていたそうだよ」
「その国と戦って、敗北したとか?」
アンキセスがそう言うと、リーデルは頷いた。
「どうやら、攻め込んだ国にすごい強い騎士がいたみたいで・・・多数の騎士で攻め込んでも倒せなかったそうだよ。守りの特化した『巨大な盾』を持ったメイルだったって」
・・・うん?どこかで聞いたような・・・
「たった1機で前線に立ち、多数の騎士の攻撃をその盾で防ぎ、その隙に他の騎士の攻撃を受けて瓦解していったそうだ。野心家の王だけに、撤退することができず・・・その戦いに気を取られているうちに、他の国に首都を攻められたそうだ。国や国民にはほぼ被害なしで終わったそうだけど、王は処刑されたって。立場上、国に戻れずそのまま他国に渡って、そのまま海を渡ったそうだよ」
そうして、リーデルは次の紙を指さす。
「海を渡って彼はアーレス国に到着。当時からあんな感じの関所だったみたいでね・・・路銀の8割取られたそうだよ。そのまま国を抜けようとしたそうなんだけど昔はこの国との間にも国境があったからそこでも徴収されたって、残りの路銀とメイルは失うわけにいかなかったそうだからトレーラーを失ったそうだよ」
「・・・本気でどうしようもない国だな」
アンキセスが腕を組みながらそう言う。
「まったくだね!それでメイルを歩かせてこの国についた彼は、温かく迎えられたそうだ。路銀がないと言えば、宿に部屋を用意してくれて食事も出してくれたと。翌日からは、メイルを使った仕事や簡単なおつかいを頼まれたそうだけど、その工程で賃金をもらっていたそうだ。さらに魔獣が出た時は彼が出向いて討伐していたこともあり、その日々の過程で城に呼ばれたそうだ。事情を知った当時の国王は、彼にこの国の騎士になってくれるよう頼んだそうだ。彼は悩んだそうだけど・・・町で受けた恩や、国王や側近たちの優しさに惹かれて騎士になることを選んだそうだ。元々技量が高かったからね、そのまま出世してついには騎士団長になったって!」
すごいな・・・国の話を聞くだけで惹かれるぞ。
「けれど・・・その時間は長くはなかったようだ」
ヴァドがそう言いながら3枚目を指さす。
「アーレス国から和平の申し出があった。自国の腐敗を嘆いた国王が少しでもいい方向に進むようにと和平を結び、この国の文化を取り入れたいと」
話としては問題なさそうだな。
「見返りは、国境に設置した通行所の撤廃と新体制移行に伴って協力してもらった分の費用、及び人員派遣してもらった場合はその全費用の負担」
問題ない内容だね。
「最初は、あの国があの国ですからな・・・上層部は疑心暗鬼だったそうですじゃ。だが、再三の交渉の末についに受け入れることしたと。
その講和については、国境の通行所、こちらの国の領内で行われることになったそうです」
なるほど。アーレス国にはさすがに入れないというわけだな。
「だけど・・・それが罠だったようだね」
「・・・つまり、この国の亡びるきっかけになった事件でござるな」
レヴァイが聞くと、リーデルが頷いた。
「締結するために、両国の国王と貴族たちが参加したそうなんだけど・・・襲撃があったそうだよ。両国の重要人物全員が死亡したそうだ」
予想外だ・・・てっきりアーレス国の重要人物は逃げ延びたと思ってたんだけど。
「ただし・・・アーレス国の国王は出発直前に王の采配のいる案件が急遽舞い込んだそうで。出発が遅れてたそうだからその事件には巻き込まれなかったそうだ。けれど、国の中枢にもかかわってた貴族も死亡したという事と、他国で起こったことを見て・・・アーレス国は国王暗殺を企てられたと言いがかりととともにこの国に攻め込んだそうだ。好意を無下にされただけでなく、国王も危険にさらされそうになったということで」
そして・・・この国が滅びることになったと。
少し間を開けて、リーデルが最後の4枚目を指さす。
「この部分に書かれていたのは、完全に呪いの言葉だったよ・・・。あの優しい国王たちがそんなことするわけない。この国を滅ぼすためにアーレス国が行ったことだと」
「それの繰り返しばかりでしたよ。最後は、『偉大な王を殺害しようとした国を許すな』と言って土地や町、遺跡や歴史的建造物などすべて関係なく破壊して歩いてくる
大軍を相手に善戦するも、遺跡に追い詰められたと・・・そこで日記は終わっておりました」
ヴァドがそう締めくくる。
「・・・うん。どう考えてもあの国が悪い」
ラウニィが無表情で・・・いや、静かな怒りを抑えているようだった。
「アンキセスが持ってきた情報の裏付けも取れたし、これで確定したね」
僕はそう確信が持てた。
アーレス国の騎士が「偽情報で呼び出した」ということと「和平の締結のために国王が国境に行って殺害された」という点は繋がる。
その時、一緒に殺された貴族や護衛の騎士が死亡したことによって、対応が後手に回ってしまったんだろう。
「一点だけ、気になる部分があるけど」
そう、一点だけ疑問が残る。
「恐らく、俺も思ってると同じかな・・・『アーレス国の殺害された重要人物』について、だろ?」
アンキセスの言葉に僕は頷く。
国王は難を逃れたそうだけど、その場に来ていた人物たちは殺害されたということみたいだ。
そいつらが殺害されたけど・・・そんなすぐに対応が取れるものだったのか?
「それについてですが・・・日記の中に書かれておりましたぞ」
「え?自分は気づかなった・・・どの部分?」
「ああ、わしが整理していた場所にありましたからな・・・まとめて後で報告すればいいかなと」
「・・・まあ、確かに」
そう言って、ヴァドが3枚目の紙の真ん中より少し下をマークする。
「この部分になるのですが・・・どうやら国境で生き延びた騎士もいたそうで、その者からの報告であったそうですじゃ。なんでも、その時その場に来ていたアーレス国の貴族たちは『本気で和平を結ぶつもり』で来ていたそうで」
「あ、わかった。そういうことかよ・・・」
「・・・うん。本気で最悪」
アンキセスとラウニィが無表情を強めた。
つまり・・・邪魔だったからついでに消したというわけか。
国の方には「本当にそれを考えていた使者の思いは踏みにじられた」とでもしたんだろうなぁ・・・。
「とりあえず・・・現時点での情報だけでも、アーレス国最悪というしかないわけだが」
アンキセスがそう言って、レヴァイを見る。
「レヴァイ。君の情報は今後の動きに大きく影響を与えるということで最後にしていた。聞かせてくれるかな?」
その発言に、レヴァイ頷き・・・机の上に2枚の封筒を出した。
なんだ・・・これ?
そして、とんでもない話が飛び出すことになった。
「2国を疲弊させ、両国ともに制圧、広大な土地を手に入れて『アーレス帝国』として統合することがかの国の最終目標でござる。
そのために、2国を争わせて戦力を低下させることを目的として工作しておった」
説明回なのでいつもより長くなっていた。
なお、この復讐の騎士が元々いた国と戦っていた国
序章の舞台となった国です。




