閑話:とある騎士の戦いの記憶(後編)
語り:???
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我は歩く、復讐のため
我は歩く、道を赤く染めながら
されど、我の歩きはここで止まることになった
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憎き敵を打ち滅ぼすため、我は歩む。
道中、何度か騎士団と遭遇するが、その全てを破壊して進む。
ある時、少数のメイルがやってきた。
今までのメイルとは雰囲気が違う。
どうやら・・・バウンサーのようだ。
『おい、多分あいつのことじゃないか?』
『ああ、そうだろうな。まさかこれほど接近してきていたとは』
『いいじゃないか。さっさとやっちまって報酬もらって一杯いこうぜ!』
そんなことを言いながら、彼らは武器を構えた。
どうやら・・・あの国に雇われたようだ。
我を騎士団で討伐できないからと外部に頼るとはな・・・。
だが、我の復讐の炎はその程度では消えることはない!
我は剣を構え、そやつらに斬りかかる!
『・・・おい!なんかおかしいぞあいつ』
『あ?なにが・・・って、ちょっとまて?・・・えっ!?』
『なっ!!一体どういうこ・・・』
何やら声を上げて驚いていたが、戦場で迷いは禁物。あの世で悔いるがよい。
その後も何度かバウンサーと思える者たちがやってきたが、全機返り討ちにしてやった。
長い道のりを終え、もうすぐ国境となる地に来た時。
それは、目の前に現れた。
見たことがない、巨大なトレーラーだった。
騎士団で使うには少し小さいかもしれないが、数機で運用するならかなり便利と思えるな。
どうやら、進行方向を見る限りだと・・・あいつらもそうなのだろう。
歩みを止めると、向こうも停車した。
そして、格納庫が開き
1機のメイルが剣を持って出てきた。
見たことがない、素晴らしいメイルだ。
このようなメイルがこの世にあったのか・・・しかし、背中に何やら背負っているな。
そのまま歩いてくるが・・・少し手前で立ち止まった。
先手をこちらに譲るという事か・・・?
【君は・・・今の状態がわかっているのか?】
不意に声が聞こえた。恐らく前のメイルからだろう。乗り手の声か?
『何が聞きたいのかわからぬ』
我の状態?一体何を聞いてきてるのやら。
【・・・どうやら、わかっていないようだな】
なにが分かっていないと言うのか。
『これまでやってきたクズ共と違い、少しは話せる相手かと思ったのだが・・・言ってる意味がよくわからんな。進行方向から推察するに、我の歩みを止めに来たのであろう?』
【ああ、そうだ。・・・君を救いに来た】
何を言ってるんだこいつは。
『我に救いがあるとすれば、我の悲願が成就されるときのみ。救いに来たというのであれば道を開けられよ』
【・・・すまないが、それはできない】
言ってることが滅茶苦茶だな。
『ならば、推し通るまで!』
そう言い、我は剣を構えて走り、そやつに斬りかかった。
だが、そやつはいとも容易く我の剣を防いだ。
ならばと、剣を振り、果敢に攻撃を繰り出す!
だが・・・そ奴はその全てを凌ぎよる。
強い・・・とてつもなく強い。
何度斬りかかっても、受け止められ、受け流され、はじき返される。
我のあらゆる攻撃が、そのメイルに通じない・・・!
『・・・すさまじき強さよ。我の今まで戦った中で最強の相手であるな』
素直に認めよう。
この騎士は強い。我よりも圧倒的に。
だが・・・それでも
『それでも、我は歩みを止めるわけにはいかぬ!我が復讐の・・・我が魂の拠り所、剣を捧げし国の民!国王たちの!貴族たちの!我が同胞たちの無念を晴らすため!』
【それは・・・一体どういうことだ?】
静かにそいつは聞いてくる。
だが、我はそれに返事をする余裕がなかった。
一度燃やしてしまった以上、我の復讐の炎は燃え上がるのみ!
『卑劣な手段を用い、我の祖国と呼べるに値する国を蹂躙した憎き奴らに!この復讐の炎を叩きつけるまで!我は止まらぬ!!』
【・・・だが、君のその炎を叩きつけた結果、さらなる復讐の炎が燃え上がるかもしれないぞ?】
わかっている!
そこに住む民に非はないことなど、わかりきっているのだ!
だが・・・だが・・・
『それでも!我は止まらぬ!この思い、止められぬのだ!』
そして、我は剣を構え、渾身の一撃をもってそのメイルに挑む!
そのメイルは・・・静かに剣を構える。
【ならば・・・終わりにしよう・・・そして、約束しよう】
渾身の一撃を振り下ろす!
だが・・・結局その剣も届くことはなかった。
甲高い音とともにはじき返され
切り替えされた剣が、上段より我に迫る。
これは・・・防げないな。
民よ・・・国王・・・貴族の皆・・・そして、我と共に戦いし騎士団員たちよ・・・
すまない。
我の炎は・・・ここで潰えた。
【約束しよう。少しでも君の願いが叶うよう、力を尽くすと】
その声を最後に
我の意識は
なにかより 解放されたような感じがした・・・
復讐の騎士 堕つ
彼の過去に何があったのか・・・




