閑話:とある騎士の戦いの記憶(前編)
語り:???
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許さない・・・絶対に許さない
我が剣を捧げし国を滅ぼした憎き敵共
必ず、皆殺しにしてくれる!
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『・・・今日もやってきたか』
今、我の目の前には多数のメイルがたっている。
全員が剣や槍を構え、こちらに先を向けている。
そのメイル達の持つ旗や盾には、にっくき国の紋章が描かれている。
我の仕えし国を滅ぼした宿敵の紋章が。
『貴様ら相手に、遠慮も情けもかけるつもりはない!』
本来、騎士同士の戦いであれば戦意喪失したものはそのままにしておいたり、逃亡を許したりする。
だが・・・かの国のものは例外だ。殲滅。それ以外にはない。
そう心に決めて剣を振るい続けてきたのだ。
今更、この意思を変えるつもりはない。
こりもせずやってくるそいつらに向けて、我は剣を構え向かう。
・・・
『・・・やはり、戦いにもならぬ』
我の周りには、先ほど目の前にいたメイル共が全て地に付している。
全機、搭乗席と頭部を完全に破壊している。
言うなれば、メイルに宿る武具霊には復讐の念はない。彼らもまた、駆り出されているだけなのだから。
ならば、精霊炉を破壊することで、かの国より解放してやることこそ救い。
騎士共は、その血をもって、我が祖国の民たちに謝罪をしてもらうまでのこと。
どれくらい、この行動を続けているだろうか・・・すでに覚えていない。
忘れるほど時は立っていないのだが・・・なぜか最近記憶があいまいになってきている。
少しだけ、我のことを話そう。
我はとある国に仕えている騎士だ。
元々、別の国にいたのだが、その国が戦争を仕掛けた地で手痛い敗北をした。
剣の腕は我のほうが圧倒的だった。だが・・・その相手は「守る」という一点においては他者を追随させない見事なものであった。
結果、我の仕えていた国は、その国と対している間に隣国に首都を攻めとされてしまった。
あの者がいなければ、攻め切れていただろうに・・・だが、それでもその騎士に負の感情はわかなかった。
攻めきれなかったのは我の実力不足。首都が落とされたのは、防衛の騎士が不甲斐なかったばかりのこと。
まことに、見事な騎士であった。
その後我は旅をし、この国に流れ着いた。
資源の豊富な豊かな土地であり、他国に狙われていることを知った。
根無し草だった我を暖かく迎えてくれ、仕官させてくれた。
流れの騎士である我に、貴族や王族が地位にこだわらず優しく接してくれた。
住民たちも皆優しかった。
我は癒された。
この国のため、剣を振るうことを誓うのに時間はあまりかからなかっただろう。
複数の国に囲まれているが、そのいくつかの国とは取引をすることによって侵略を防いでいた。
だが・・・そのうちの1国だけは、何が何でもこの土地を奪おうとしていた。
そして、仕官して2年目の春、この国は亡くなった。
卑劣な手段を使って、この国の王族を殺害したのだ!
一緒にいた有力貴族たちも全員殺された!
その後、この地に多数のメイルによる略奪行為を行ったのだ!
豊かで綺麗だった王都は、瞬く間にその色を失った。
奴らは、本当に、この土地だけが欲しかったのだ!
そこにいる人々のことなど、みじんも考えていなかった!
我は、我ら騎士団は戦った。我らのほうが実力は上だった。負ける要素などなかった。
それがわかった奴らは・・・民を人質にした!民を盾に貼り付けにし、我らに向かってきたのだ!
外道の所業であった。我らは・・・手を出すことができなくなった。
1人、また1人と仲間が倒れ・・・我も奴らに打ち取られた・・・。
そう思っていたのだが、ある日目が覚めた。我は九死に一生を得たのだ。
天啓を受けたと感じた。
目覚めて我の見た光景は、我が物顔で領地を歩く憎っき国の紋章を掲げたメイルや騎士たち。
生き残った民は、奴らに怯えひっそりと暮らす日々を送っているようだった。
怒りに身を支配された我は、そ奴らを皆殺しにした。
メイルも人も関係なく、皆殺しだった。
奴らと笑い合いながらしゃべっている商人すら、怒りの矛先となっていた。
我の目覚めた日、大虐殺の日となった。
新章開始は 復讐者の目覚めから




