第九十五話:大討伐
語り:レクス
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もはや恐れるものは無し
そんな気分になれそうな
圧倒的だと客観的に思っていた
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目の前にお供をつれた親猿1匹。
知能が高いのか・・・かなり警戒しているな。
だが。
「のんびりしてる時間がないので、一気に終わらせる」
【了解した。一点狙いで行く】
意見が一致したので、一気に走り出す!
標的は、猿神!
走り出したと同時に、そいつは一歩後ろに下がり横にいた2匹が前に出てきた。
まずい!速攻で撤退しようとしやがった!?
そう思ったその時、スクワイアの両側に搭載されている盾が前面に回った。
彼女が操作した・・・その意図は・・・。
そのまま体当たり。
速度緩めることなく突撃をかける!
そいつは、さらに後ずさる。恐らく逃走確定だな。
だが、そのまま速度を緩めることなく目の前の猿に体当たりをする!
ドンッ!
という音と共に吹っ飛んで行った・・・その上こちらの速度は一切緩まることがなかった。
なんの障害にもならない。
そのまま剣を構えて、後ろを向いて逃走しようとしたそいつをそのままぶった切る!
・・・ちょっと固いの斬るような感じで真っ二つになりました。
もうちょっと・・・その・・・手ごたえないもんかね?
【ふむ・・・やはりこちらの大陸の剣はすばらしいな。切れ味が格段に違う】
アースが感心したように言う。
もう一度言うけど、前に持ってたやつは倉庫の奥で眠ってた骨董品だからな?
次の瞬間、猿共が一斉に雄たけび上げて逃走していった。こっちを包囲するような位置取りになっていたのに。
わき目もふらずという感じに、左右を全力で走り抜けていった奴もいた。
追撃・・・いや、ボスは倒したし、やめておく。
「ラウニィ・・・追撃はしないからもういいよ」
『・・・うん。少し疲れた』
【おっと】
力が抜けたのか、アースが片膝付いた。
【ふむ。使いどころを考える必要はありそうだな。彼女の補助がなくなると負担が一気にくる感じだ。
君たちに例えるなら・・・長距離を走りぬいた直後といった感じかな】
なるほど。
【しかし、殲滅するつもりだったのだが・・・いいのか?逃がして】
疑問に思うのはもっとも。だけど、それは戦闘しているのが僕だけだった時の話だ。
『北から逃走してくる猿共が数匹いるぞ!』
『親玉が倒されて慌てふためいてやがるな!』
『ちょうどいい!こっちも終わりかけだ!何人か行ってちゃんと返礼してきてやれ!!』
【・・・なるほどね】
「そういうこと。・・・こちら側にはアンキセスがいたからね」
【そうか。彼かレヴァイがいる場所を通り抜けて離脱しないといけないのだったね】
『・・・うん。スクワイアのほうで確認すると両側ともほとんど終わり』
「だろうね。あの2人相手に、戦力配分を間違っていたんだよ」
狼のほぼ全てを南側に回して、猿共と残りの狼を分散させて両側を攻める。
配分は間違ってなかったように思えるけど、猿の数が予想より少なかった。
これくらいの戦力でいけるだろうと思ったんだろう。
恐らく行きの襲撃時、猿神は山からこちらを見ていたんだと思う。なにかが見てるような気がしたから。
その時の状況で、だいたいの戦力配分を決めたのだろう。
だが・・・1日時間を空けたのが失敗だったね。
その1日で、優秀な技術士たちが2機の調整をしてくれてたから動きがよくなっていたんだ。
たったそれだけなんだけど、それだけでも彼らの動きを変えるだけのものだった。
その結果が、襲撃の結末だ。
まあ、殲滅は難しいようで何匹かは逃しているみたいだ。
そいつらの逃走を見て、狼たちも逃走を始めた。
『魔獣の群れ逃走開始!逃走開始してます!メイル乗りのみなさん、ありがと・・・』
『できるだけ逃がすな!二度とこれないくらい徹底的にやってしまえ!!』
『今日は仕事休みでデートする予定だったんだ!この恨み万倍にして返してやる!!』
『彼女と休みが合わさる日なんて珍しいんだぞ!きっちり落とし前つけさせたる!』
『えーと・・・恨み骨髄まで行ってる方々が多数おられるようなので・・・。
じゃあ、はい。徹底的にやっちゃってくださーい!!』
どうやら、別の理由でも襲撃日を間違えたとしか言えないようだね。
しかし、この魔獣の死体の数・・・片づけるのも大変だな。
そんなことを思っている間に、生きてる魔獣はいなくなっていた。
殲滅までは行かなかったけど、およそ7割から8割は討伐できたそうだ。
恐ろしい執念。森のそばまで追いかけた人もいたそうだ。さすがに森の中にはいかなかったそうだけど。
猿を追いかけた人も多数いた。面倒になって武器を投げつけた人もいたとか。
ただ、武器を失って戻ってきた人がいないそうだから・・・全員回収できたんだな。
ともあれ、こうして魔獣襲撃の日は終わり。
多数のメイルが損傷したけど、こちら側の死者が0人だったのは上手くカバーしながら戦えた証拠だろう。
最も、重傷者はいるのでしばらくベッド生活の人はいるそうだ。
稼働できるように調整されていたとはいえ、元々別のメイルを合わせて作られたもの。
調整不十分の箇所は少なくなかった。
旅をしながら、バウンサーのような仕事をしたり騎士団の手伝いに参加したりして連戦し続けていたメイル。
それだけでも厄介と思っていたけど、最初の門の襲撃場所に現れなかったので2か所同時襲撃に変えたら別れてやってきた。これはラッキー、目的達成に大きく前進だぜ!
そんなことを考えていたら、見たことないのがでてきた。そいつら合わせたよりやばいんじゃね?これは逃げるしかないな!
そんなことを思ったボス猿は、背中から一刀両断にされ・・・策を練って襲撃してきた狡猾さだけが取り柄で終わらせました。




