第九十四話:コネクト
語り:レクス
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状況は絶望的としか言えない
それでも、彼は戦うことを選んでくれた
そして、それに合わせるように、彼女の能力が発動する
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宣言通り、リーデルさんは1分弱でアースリッターの背中にスクワイアを接続してくれた。
後ろがやたらと膨らんだ状態になるんだな・・・。
「・・・操作方法が変わるわけじゃないんだな」
【しかし、単体で浮力でもあるのか・・・重心をまったく気にしないでいいのはすごいな】
『そりゃ、そこを妨害してたら何のために補助するのかだよ!』
リーデルさんが採取準備完了を教えてくれた。
『ラウニィ!スクワイア起動!』
『・・・うん』
さて・・・行くか。
そう思ったその時
『・・・うん?なんだこれ・・・えーと・・・』
そんな声が聞こえる。
なんだ・・・?何かあったのか?
『・・・うん。おかしい・・・とりあえず・・・こうして・・・』
??なんだかわからんが。
『ラウニィ!どうかしたの!?』
リーデルさんが何か聞こうとしてるけど、時間がないし。
「気になって仕方がないけど・・・とりあえず、魔獣がどこまで来てるかわからないし出発する!」
そう言って、アースを歩き始めさせる。
歩き・・・始めさせたら、今まで感じたことがないくらいスッと足が動いた。
「・・・え?」
【・・・ぬ?】
アースも違和感を感じている。
『え・・・ちょっとまって・・・何今の動き?調整とかしてないのに何でそんな普通に・・・?』
リーデルさんも驚いた声をだす。
『・・・うん。だいたいこんな感じ?』
ラウニィの声が聞こえる。
要領を得ないけど・・・彼女が何かした?
『とりあえず、魔獣がかなり近づいておるようですじゃが・・・』
あ、いけない。
「アース!急ぐぞ!」
【ああ・・・違和感があるがとりあえず、走るぞ!】
そう言うと、アースが走り出した・・・って!!
速い!神衣起動してないのにこの速度・・・今までより速い!!
「な・・・なんだこれ!?」
操作してる僕が一番驚くくらいの速度なんだけど!?
何がどうなってるんだ??
『こちらアンキセス!魔獣がもうすぐ橋のそばに到着しそ・・・う・・・うそぉぉぉぉっ!!?
なんか、橋の上を爆速してるメイルが1機・・・ってアースリッターぁ!?魔獣が橋に到着する前に渡り切りそうだぞ!!』
『なんとぉ!?完全調整できなくともそんな機動力なのでござるか!?』
『ごめん!調整なんて何もしてない!』
『『余計わからん(でござる)!!』』
操縦してる僕もよくわかっておりません。
そうこうしているうちに、橋の終わりが見えてきた!
魔獣は・・・確かにこちらの方が速かった!
『す・・・すごい!あれがアースリッター!聖鎧アースリッター、魔獣と接敵します!都市への侵入はまだありません!』
『なんと・・・どういうことですじゃ?いったい・・・っておや?リーデル師匠、こんな時の本など広げて・・・』
『・・・!!わかった!これだ!!』
そんな声をよそに、一気に魔獣に接敵!戦闘にいた猿獣を剣で斬る!!
ザシュッ!!
・・・って、剣がすごいのか!?なんか紙斬るくらいの間隔で斬れたぞ!?
しかも1回振っただけなのに、そばにいた2匹も一緒に斬れてた!距離そんな近くないよ??
【ぬぅ・・・剣速が乗って真空刃が発生していたようだな・・・久しぶりの間隔だ】
そんなことを言いつつ、立ち止まったアースが剣を構え直す。
【レクスよ。はっきり言う。今の私は、今までの比ではない動きをすることができる状態になっている!魔獣の王であろうと恐れる必要などない!】
みたいんだな・・・。
なら、あとは
「逃がさないように確実に仕留める!」
『リーデル師匠、一体何が分かったのですじゃ?』
『ラウニィの能力だ!今まで彼女の能力が分からなかったのも仕方がない!今までの検査は「魔弾の能力」と「メイルの動きに与える能力」だけだった!』
『それで、彼女の能力とは?』
『彼女の能力は「補う者」!過去に数人しか存在の確認されていない能力者だ!その力は、スクワイア・・・正確には魔道具を通じて繋げている別の魔道具の不調を感知、自身の魔力をもって不調個所を補うことができる!簡単に言えば、人が骨折したら鉄板仕込んで補ったりするのと同じことを自身の魔力でメイルに施す!』
『ちょっとまってくれ!それは、彼女の負担がとんでもないことになるのでは!?ラウニィは大丈夫なのか!』
『過去の検査でも。彼女の魔力がとんでもない異常値を示していた!それこそ数人と言わず、数十人規模になりそうなレベルで!人の持てるレベルの魔力じゃないとは思ってたけど・・・その能力ならおかしい話じゃない!現に過去に存在していた同じ能力者も魔力の異常値を示していたと記録にあった!』
『それが本当だとすれば・・・アース殿の今の状態の理由とは!』
『そう!彼女の能力だ!この襲撃撃退に参加している全メイル乗りに告げる!猿神にアースリッターが負ける要素はない!目の前の魔獣を全力で排除して!』
『『『了解!!殲滅戦に入る!』』』
『ついでにレクス!彼女の負担を少しでも軽減するため・・・速攻で猿神の撃破を!』
「了解!」
そうだな・・・アースを動かし始めたら喋らなくなった。集中しているのかもしれない。
大丈夫だろうという話だが、さっさと終わらせるに越したことはない!
補う者「コネクト」について
魔道具を通じて、メイルの本体に魔力を送ることができる能力者。
それにより不具合の部分を特定、送った魔力の量を調整することで補うことができる
極めて特異な能力者である。
本来、女王国にて作られた「スクワイア」はこの能力者のために製造されていた。
故に、それを行うための魔道具が元々付けられていたのだが
極めて特異な能力者用の魔道具だったため、作られはしたが使用用途が不明であった。
結局、後付けを加えることで現在の「メイルの戦闘を補助する」機体とされ運用されることとなる。
この能力者は、メイル誕生時代には普通に確認されている。
スクワイアがこの能力者用に作られたことからそれはわかることである。
それが特異なものとされる理由は、現代でこの能力に自分で気づいた者たちは公表していないからである。
過去、この能力を持っていた者たちは「そのほとんどが」早死にしている。
他の者たちより魔力が膨大にあるとはいえ、人なので限界はある。
過去のメイル乗りたちはそれに気づかず「整備不十分なメイル」で戦い続けるものが多かった。
結果、能力者の負担が膨大になったのである。
また、魔銃などの攻撃手段が増えたことによりスクワイアの需要が減ったのも理由の一つとされている。
スクワイアがないと能力に気づくことができないからであり、使われている魔道具はこの機体にのみ搭載されているからである。
なおこの魔道具は昔、メイル以外にも使われる計画があったが使用できない結果で終わっている。
能力者の大半は技術者ではない。
「機械の設計図」見せても正常か不具合か判断できないのが原因ではないかというのが理由として公表された。
もっとも、メイルもある意味機械。そう考えると「できないのではないか」という意見もあり、これが確定結果とはされていない。
余談
主人公たちの大陸にスクワイアが存在しているが現在は使われていない。
理由は魔銃が一番多く使用されている大陸であるから。




