断罪?無理ですね。
やっとヒロイン登場。
「多分、これは魔術返しの魔法陣ですから、術者は悶絶しますが」
渡された魔法陣を見ながらマリアーナがルシルに確認する様に聞いた。
「気にするな。掛けたほうが悪い」
「では、この簪で発動した方がいいですか?」
マリアーナが簪、と言っているのは、見た目は複雑な彫刻がされた硝子ペンの様な棒で、房飾りなどは付いていない。
「そこまで念入りにしなくても、あの女狐にはマリの力を跳ね返す防御力は無いね」
髪に挿した水晶の簪に触れながら、マリアーナも呆れた、と言いたげにルシルを見て、頼まれた通り会場に入って魔法陣を発動させると、会場の中央部分から魔獣のような悲鳴が上がった。
「まともに食らったみたいだな」
「その様ですね。弾かれる感覚がまるでありませんでした」
ユリアスとマリアーナは呆れながら悲鳴の上がった方に目を向けた。
魔術返しを喰らって悶絶してるのは、案の定、ゲーム内のヒロインであるフローラ・デブリ男爵令嬢。
ピンクのドレスを着て、18禁のゲームヒロインらしく、スタイルがとても良いですね。
容姿もあざと可愛い感じで、トーマス様を筆頭に攻略対象の3人は下僕感満載だった。つい先日までは、ね。
この一年、ヒロインを避けまくっていたロイド先生は別にして、攻略対象はトーマス様に騎士団員の息子のハモンド・タガー子爵令息と商人の息子のニクラス。
彼らは気持ち悪いほどデブリ男爵令嬢に集っていた。
ですが、トーマス様以外の彼らは1週間前からヒロインのデブリ男爵令嬢とは距離を取ろうとしていた。
何があったのでしょう?
あれほどデブリ男爵令嬢にべたべた貼り付いていたのに。
トーマス・ダスト伯爵令息は……。
放置しておきます。元々良い関係じゃ無かったから、ね。
それに、今も悶絶しているデブリ男爵令嬢の脇でオロオロしてるだけで何も出来てませんから。
ああなっては私を断罪、出来ませんね。
わーい♪アクセス数も増えてきて嬉しいよぉ〜。
明日も頑張れます。