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ヒロインだって頑張る。前編

こぼれ話もこれで最後。

長くなって前後編になりますが、長い間ありがとうございます。

また、充電して新しい物を始め、お会いできる日を楽しみにしております。

「やっとマリアーナ様の専属メイドになれました」


と、小麦色の髪をしたフローラがラリマー家に挨拶に来た。


「頑張っていたからね。おめでとう」


ラリマー家のメイド長の言葉にフローラが笑顔で頷くと、背後からクスクス笑う声がした。


「君は変わらないね。マリアーナ一筋で」


ミカリスの楽しげな声にフローラは照れながらもメイドらしく、綺麗なカーテシーをした。


最初は恐ろしかったミカリスの綺麗すぎる笑顔だが、ラリマー家でメイドとしてのスキルを磨く間に随分親しくなっていた。


「何も出来なかった私を鍛えて下さったラリマー家の皆様のおかげです」

「本当によく頑張りましたね」


メイド長の優しい言葉に目が潤んでしまったのか、ヘーゼル色の瞳がキラキラしている。


「デブリ男爵は相変わらずかい?」

「……はい。お義母様は私を認めて下さいますが」


デブリ男爵はフローラを引き取る事を嫌がっていた。

入り婿でありながらフローラの母親を無理矢理囲い、フローラを孤児院に捨て、虐げていた。

そんなフローラの現状をデブリ男爵夫人は良しとせず、フローラを孤児院から引き取ったのだ。


「ふむ、ではフローラ、私に協力してくれるかな?」


ミカリスの突然の言葉にフローラは首を傾げたが、小さく頷いた。


内密の話がある、とミカリスの執務室に連れて行かれ、お茶をミカリスが淹れ始めた。


「ラリマー公爵令息様、お茶でしたら私が」


フローラが慌ててミカリスの横に立つと、ミカリスはクスッと笑った。


「お茶を淹れるのは私の趣味なんでね」


そう言われてしまうとフローラも諦めるしか無い。

香りの良いお茶を前にフローラが背筋を伸ばし、ミカリスを見詰めた。


「緊張しないで欲しいな」


そう言われても、と言いたげなフローラの顔は緊張で少し青くなっている。


「簡単な事ではないけど、君にしか出来ない事だ」


ミカリスの真剣な顔に、フローラは息を呑んで頷いた。


「フローラ、私と結婚してくれるかな?」

「……はい?」


突然の言葉にフローラは、ミカリスの真意が理解が出来ない。


「何故、私なのですか?ラリマー公爵令息様でしたらもっと高位貴族の令嬢を……」

「デブリ男爵が犯罪に手を染めている」


ミカリスから、もっと唐突過ぎる言葉が出た。


ミカリスの話を聞くとフローラの腑が怒りで煮えたぎりそうになった。


デブリ男爵は母だけで無く、かなりの女性を虐げ、奴隷として他国に売っている。その首を押さえる為にフローラの協力が必要だ、と言われればフローラに断る理由なんてない。


「お義母様だけで無く、多くの女性を助ける為ですもの、喜んで協力致します」


そう、フローラが強い眼差しでミカリスを見詰めた。



結果だけを言えば、デブリ男爵はあっさり捕まった。


奴隷にしていた女性たちを解放し、証拠も押さえられてはぐうの音も出なかったようだ。

影が薄かったヒロインも頑張ってます。

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