縦ロールの行方は?
罪は犯してないけど、逆鱗を引っ剥がしたからね。
「じゃあ、あの縦ロールはどうなったんだ?」
ラファエル達も聞きたい事が山程あるのだろう。興味が無くなった男の事はあっさり流し、次の話題を振った。
「表向きの結果だけ言えば、病気療養の為田舎で静養する事になった」
ユリアスがお茶を飲みながら淡々と言う。
「へぇ、何処に病気療養かは、興味無いからいいか」
ラファエルだけでなく、ミカリスも興味なさげに頷いた。
たいした罪は犯していないが、アーネストの最愛の孫娘であるマリアーナを貶しながらユリアスだけで無く、ミカリスやラファエルにまで婚約を迫る節操なしの彼女は、貴族籍を抜かれ娼館に連れて行かれた。
病気療養の為は、言い換えれば複数の男を求める女に相応しい場所で過ごさせる、と言う事だ。
「クリスタル子爵にしては優しい配慮ですね」
ユリアスが皮肉めいた事を言う。
「処分する価値も無い、と言う事だ」
ミカリスは興味無さげに切り捨てる。
「ふーん、じゃあアイツは?」
ラファエルが誰のことを言っているのか判っているユリアスは、ルシルに目を向ける。
「アイツはアーネストお祖父様では無く、俺と父上が処分した」
これに関しては、トーマス・ダストをマリアーナの婚約者に選んだ家族が受け持った。
「ダスト伯爵は努力家で好人物なので、息子の方も問題無いと思っていたが」
淡々と話してはいるが、ルシルの苛立ちが手に取るように分かる。
次で本編は終わります。書ききれなかった所を後日談として書きたいな。




