腹黒さは健在です。
久しぶりに陛下登場。
陛下の執務室は少し遠い。
私は人気の無い回廊で辺りを見廻し
「はっ」
と、気合を込める声を上げた。
「逞しい掛け声だな」
ウィリアム陛下が笑いを堪えながら壁に寄り掛かり私を見ています。
書類を待っている、訳ではなさそうです。
「少々厄介な気配を打ち消そうと気合を入れました」
まとわり付くような気配ですから、消すのにも気合いが必要です。
「書類を待って来てくれたようだな。執務室で受け取ろう」
大国の賢王、と尊敬を集める方なのにとても気さくで、緊張しないで済むのですが、よーく理解してます。
陛下の態度には裏がある、と言う事。
お祖母様がよく
「あの腹黒さが曲者なのよ」
と、ため息混じりに教えてくれましたから。
「で、誰?」
陛下、知っているのに聞くんですか?
「ロイドさんです。もと学園の教師の」
隠すつもりはないですよ。
「あれかぁ。厄介だと魔術院長官も言ってたな」
陛下の耳に入るくらいだから相当厄介なそんざいでしょうね。
何をやらかしたのか、知りたくないです。
「そこそこイケメンだからゲームのキャラだろ」
???陛下も予知夢持ちですか?
「……はい」
お祖母様、どうして教えて下さらなかったんですか!
「あ、俺が転生者って事は秘密な」
此処でバラさないで!巻き込まないで!
書類を渡すだけの筈なのにもの凄い疲労感です。
ですが、かなり情報が整理できました。
あとは、お兄様達の報告待ちですね。
花粉のせいで目が辛い。




