普通は無理です。
無理な事ってなんだろう?
本当は手続きが煩雑で許可が降りるまでは時間も掛かる、もしくは却下されるけど、裏からお父様に手を回してもらいフローラさんを我が家に連れてきた。
普通できない事なのに、出来てしまうお父様にびっくりです。
「ルシルお兄様、ミカリスお兄様、ラファエルお兄様、ジルコン公爵令息様。フローラ・デブリ男爵令嬢です」
物凄い目でフローラさんを見る4人にフローラさんを紹介した。
「最初にお話ししておきますが、フローラさんも私と同じ予知夢持ちです」
フローラさんは態度が落ち着いた事やまだ貴族なので貴族牢に移り、そこで何度か会った時、この事を話すとフローラさんに話しておいて良かった。
事前に、転生者や前世の記憶を持っている者は予知夢持ちと呼ばれている事や、ゲーム内容はあまり話さないように言ったら、色々考えてくれた。
うん。性格は少々アレですが、元々頭の出来は良い方みたいでホッとしました。
「初めてお目にかかります。私はフローラです」
挨拶もまだぎこちないけど、及第点はあげられそう。あと、まだ貴族なのでちゃんと家名も名乗りましょうね。
フローラさんは挨拶した後、自分のことを話し始めた。
この世界では孤児で、ずっと孤児院で育ち王族の事も遠い世界の人だ、と思っていた。
ある日、予知夢で自分が厄介な(ヒロイン)存在だと知り怯えていたが、王妃の名前を知った途端一目だけでも会いたい、と望んだ途端男爵から養女の話が舞い込み、学園に入学した、と一気に話した。
かなり端折った説明だけど、お兄様達は納得したようで、目元が優しくなってホッとします。
「なるほど。君の立場は理解した。だが、納得できないこともある」
ルシルお兄様の目が再度鋭くなった。
「王宮で働く為の人脈なら、婚約者の居ないハモンド・タガー子爵令息との関係だけで良かった筈だが」
「はい。私も学園に入学した時はそう考えていましたが……」
フローラさんが怯えた目で私を見るので頷いてみせた。
雪です。猫と炬燵に居るのが一番。




