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震える指先

 玉座の間にて。

 レイド王国現国王ダリアス・ハドー・レイドは、玉座に座り、側近たちを束ねて朝の報告会を開いていた。


「先に予定されていた旧龍の山脈の領土分配の件よる首脳会議ですが、六か国中、シフィアム王国とスフィア王国の二各国が復興中ということもあり、延期となりました」


「そうか、まあ、よい、その分シフィアムとスフィアの二か国には大量に必要な物資を送っといてやれ、あとで領土分配の時にちょっと譲ってくれるかもしれんからな、次」


 承知しましたと言ってその報告者は一礼をすると下がって、次の者と交代した。


「陛下、ルドルフ団長から報告があります」


「ふむ、確か、復興の件でスフィアに使者として送っていたはずだな」


「ええ、近々、王都に帰還して報告すようです、直接お話しすると」


「そうか、ルドルフが戻ってくるのだな?久しぶりに一緒に酒でも飲むとするか、よし、彼の帰りを楽しみに待つとしよう、次」


 次の者が前に出て、ダリアス王に城の国庫の状況について報告している時だった。


 その異変を最初に感じ取ったのは、カイ・オルフェリア・レイだった。


「………?」


 謁見の間でダリアスが、報告者の報告に満足気に回答している間、カイは自身の身体が人知れず震えていることに気付く。指先がピクピクと痙攣するように小刻みに振動していた。小さな震えだった。


 カイは傍にいたライラ騎士団の騎士に尋ねた。


「なあ、きみ」


「はい」


「おかしくないか?」


「何がでしょうか?」


 突然の問いにライラの騎士が首を傾げる。


「空気が変ったのか?」


 ひとりごとのように呟くカイが、自分の手をさする。


「カイ剣聖、何か気になることでもありましたか?」


 王たちが話している後ろで、カイは人知れずこの異様な雰囲気には心当たりがあった。


「この感覚近くにいるのか…?」


 ぶつぶつとつぶやくカイ。

 その小さな憶測が徐々に自分の中で大きくなり確信に変わっていく時だった。


 玉座の間の扉が開かれ、一人の騎士が走って来た。


 その騎士が王座の間を速足で走っていくと、同じ王座の間にいたライラ騎士団の副団長アギス・スウェーカーに耳打ちをしていた。


 そこで副隊長のアギスが突然、声を張り上げて王座の間の中にいた人々に告げた。


「皆さん、落ち着いて聞いてください」


 ダリアス王含めた上位貴族や側近たちが彼に注目した。


「現在、この城壁内の敷地に不審者が侵入したようです。安全確保のため、皆さんは今からここに留まってもらいます」


 玉座の間内が不安げにどよめく。


「アギス、どういうことだ?」


「陛下、現在、この城壁内に許可のない結界が張られています。現在、ライラ騎士団を向わせて状況を確認を急ぎます」


 アギスが部下から上がって来たことを報告すると、ダリアスはすぐに彼に言った。


「キャミルの保護を最優先にしてくれないか?」


「当然です。ですが、キャミル王女の身柄はすでに我々が保護してこちらに護送中とのことです」


「そうか、さすが、ライラだ、優秀で助かるよ」


「ありがとうございます」


 一安心したダリアスがすぐに後ろを振り向いてカイに言った。


「カイ剣聖、君も行って、侵入者の対処をしてきて欲しい」


「私は、陛下の身を守るという使命がありますので、ここで御身をお守りします」


「私のことはいい、それより、この騒動を直ちに沈めて来てくれ、大事にしたくはない…」


「承知しました。それでは護衛はアギス殿におまかせします。頼みます、アギス殿」


 アギスが大きく自信をもって頷くと、カイはそれ以上言葉は語らず、すぐに玉座の間を後にした。

 この震えの元凶となっている得体の知れない外的要因が本当に彼なのか確かめるために。

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