古き血脈 救助と犠牲
目標は翼の生えたエルフの男で、金色の輝きを伴って夜の闇の中で酷く目立っていた。そのため、まずは、砦周りの空に浮かんでいた光に向かって片っ端から撃ち落としていくことにした。
夏の羽虫のように飛び回っている翼の生えたエルフたちが、砦にむかって光線を放ち集中砲火を浴びせていた。しかし、それも束の間、ハルが砦の上空を通り過ぎると、破壊を楽しみ、逃げ惑う人々を撃ち殺していたエルフたちの翼と首は瞬きもしないうちに、むしり取られていた。そのおかげで、砦の周辺の安全はひとまず確保された。
ハルが、砦の扉の前に着地すると、タイミングを見計らったように、数人のスフィア王国のエルフの騎士たちが外に出てきた。
「お前、外は危険だぞ、中に入れ」
「砦の中は安全なのか?」
「ああ、剣聖アルバーノ様とサム様のおかげで翼の生えた侵入者は全滅だ」
「そうですか、ただ、俺も騎士なのでこれから街に向かおうと思っています」
「なら、武器が必要なんじゃないか?見たところによるとあんた丸腰じゃないか、俺の予備の剣を貸そうか?」
「それでしたら…」
ハルはその騎士たちに連れられて、預けていた大太刀を手にした。身の丈に合わない刀を手に、それ以前に人間が片手で振るうものではないその大太刀を見て、周りの騎士たちも、本当にそれなのか?と驚きを隠せずにいた。ハルは自身満々にこれですよというと先を急いだ。ハルが砦を出るとすぐに燃え盛る街に向かって消えるように移動していった。騎士たちはハルのその移動姿を目で追うことができなかった。
街に出るとそこには悲惨な光景が広がっていた。
「ひどいな…」
建設中だった人々の努力の結晶は、この数十分の間に火の海に様変わりしていた。
それでもまだ、空には翼の生えた金髪のエルフたちが、生き残った人たちに光の球体から発射される熱を大量に内包した光線の雨を浴びせ続けていた。街のあちらこちらで爆発音が絶え間なく聞こえていた。
ハルはすぐ様街の残党たちを害虫退治のように駆除しながら、周りで助けを求めている人たちを迅速に救助して回った。
ハルは被害が出ないように、辺りに自分の天性魔法の透明な光の粒子をばらまいて、まだ助けられる人がいないか高速でかつ念入りに探しまわった。ハルが通り過ぎると、その後には凄まじい突風が吹き荒れ、街中の燃えている建物をなぎ倒し、炎の拡大を防いでいった。さらには街中を我が物顔で破壊し周っていた翼のエルフである愚かな害虫を、人助けの片手間で次々と屠っていき、街の治安を安定化させていった。
ハルはとにかく人命救助を最優先し、街の人たちを火の手から離れた結界内の場所に導いたり、運んだりなどして、死が目の前に迫った人間から救っていった。
あちこちを跳ねまわるというよりかは、ハルの天性魔法である透明な光が索敵だけではなく、物質的な能力も獲得したことで、足場として利用できるようになり、より立体的な動きが実現できるようになっていた。そのため、街中を自由自在に跳ねまわり、天性魔法の探索の能力とハルの異常な肉体による高速移動により、死地に瀕していた大勢の人の救助に成功することができた。
そもそも街の人口が王都などより比較的少なったのも幸いし、人命救助活動は一時間も経たないうちに終わりをつげた。
それから、ハルは街中にまだ残党がいないか探し回りながら、建物の炎を突風で鎮火させつつ、避難所に物資を運んでいた。街の外のはずれの避難民が集まる森の中で、まだ燃え尽きていない物資や食料をその避難場所に運搬していた。
そうやって、何度か繰り返していると、避難所の人たちが、ハルに好奇の目を向けてくれていることに気づいた。街から持ってこれそうだった最後の物資を運び終わると、人々は歓声を上げて、出迎えてくれた。
その時、ハルは何となく、剣聖時代の自分を思い出していた。
『ここに長居するのはよくないな…』
いまの自分の姿と比べると、本当にあの頃は、人々を救うためだけの存在だったんだと実感させられた。それは悪いことどころか素晴らしいことで、称賛に値するものだったが、安心安全というものは居場所があってのものであり、帰る場所がなくなったハルが自分でその居場所を作るには、今以上に苦労を重ねなければならなかった。そこに大切な人たちを連れてくるならなおさらだ。
だけど、もちろん、剣聖時代の人々の平和を願う自分を見失ったわけではないことを、この襲撃で再確認させられたような気がして、少しだけ昔の自分を取り戻せたような気がした。
「ありがとう、お兄ちゃん」
「すげえかっけえぜ!」
「ありがとう!騎士の兄ちゃん!」
その時、エルフの子供たちがハルに声をかけてきた。耳のとがった小さなエルフたちが、ハルの周りに集まって来た。
「みんな、もう大丈夫だよ、ここは安全だからね」
ハルがひとりひとり、優しく頭を撫でて安心させていく。周りにいた大人たちもその光景を見て、すっかりハルに心を許していた。
「兄ちゃんすげえな、俺も兄ちゃんみたいなカッコイイ騎士になりたい!」
少年のエルフが目をキラキラと光らせていた。それは少年時代自分も同じように騎士に抱いた憧れと同じものだった。だから、ハルはそんな少年に言った。
「騎士になりたいんだったら、君も身近な人を守ってあげて、そうすればおのずとなれるよ」
「マジかよ!じゃあ、俺は妹を全力で守るぜ!!」
「うん、それでいい」
ハルはそう言い残すと、みんなの輪から離れ、途中街中で出会い会う約束をしていた人たちに会うために、移動を始めた。
「お兄ちゃん、本当にありがとう!!」
最後にさっきの少年の妹なのだろうか?ハルに向かって大人たちの歓声にも負けないように必死に叫んでくれていた。
ハルはその少女を一瞥すると、辛い気持ちになった。かつて救えなかった少女の顔がいまでも心に残っていた。生々しい残酷な記憶が蘇りハルは足早にその場を後にし、壊滅した街に戻った。
***
瓦礫と化した街中をハルが歩いていく。炎を消すために自分で破壊した街の中には、がれきの下敷きになった死体もあっただろう。あたりには酷い死臭が充満しており、そのほとんどが生物の焼けた匂いで耐えられるものではなかったが、ハルは顔色ひとつ変えずに、約束の場所に向かった。
ハルが焼け爛れ崩壊した街の中央広場に着くと、そこには二人のエルフが待っていた。
「ハルさん、お待ちしておりました」
「来るのが遅いよ、ハル」
そう言って出迎えてくれたのは、ベッケとレイチェルだった。冷静さを常に忘れない彼はこの死臭溢れる崩壊した街の中でも、何事もない精神を保っていた。彼の傍にいたレイチェルも、この惨劇をまるで見慣れた光景とでもいうように平然としていた。
彼らも心の奥ではこの光景にショックを受けているのだろうか?しかし、そんな感じも彼らからは微塵も感じなかった。エルフはそういった点が鈍感なのか、それとも長年生きていればこのような経験をたくさん積むから慣れてしまうのか?どちらにせよこんな悲惨な光景を何度も見る人生なら、ハルは長生きなどしたくないという結論だった。
「すみません、それで、捕らえたようですね?」
「はい、ハルさんに言われた通り生け捕りには成功しましたが、さっきからだんまりで何もしゃべってくれません」
ベッケの足元には、魔法で拘束された翼のエルフがいた。ハルが街中で駆け回っている際に、ベッケとレイチェルの二人も翼のエルフと交戦しているところを目撃し、彼らに翼のエルフの拘束を依頼していた。そのため、ハルは人助けに優先的に時間を割くことができ、根本的な原因であるこの翼のエルフの正体を暴くのは彼らに任せていた。
「うちのルナに引き渡せば口を割ってくれそうなので、彼を引き渡してもらってもいいですか?」
「構いません、ただ、私の見解を述べさせてもらうと、どう考えても彼はミルケーの手先で間違いないでしょう。つまり、先手を打たれたということです」
ベッケが足蹴にしてハルの方にその翼のエルフを転がした。
「その意見には俺も同意です。そもそも、この大陸中でこの場所を知っている人間は限られています。それもエルフとなると、疑いようがありませんね」
「ええ、それに彼、たぶん本体じゃありません。ハルさんも彼らを見て感じたと思いますが、これは分身の類の魔法ということを…」
「ええ、まあ、みんな同じ見た目でしたし、そんな気はしてました」
「ですが、そうなると、おかしな点が複数でてくるんです…」
そこでベッケが言いずらそうな顔をした。レイチェルも小さなため息をして彼の言葉に耳を貸していた。
「何でしょうか?そのおかしな点とは」
「それはですね…」
ベッケがためらいを見せたが彼はいつもの冷静さを保って続けた。
「実は魔法だと本来こんなにたくさんの術者本人の分身を生み出すことはできないんです」
「ということは別の魔法以外の何かだと?」
「いえ、それが私が考えられる範囲で答えるのであれば、この大量の分身を生み出す方法がひとつあるんです…」
ベッケが顔を少し下に向け人間らしさを見せると、そこでレイチェルが横から口を出してきた。
「ハル、ここからは少し覚悟して聞いておきなさい」
彼女の忠告でハルの中にも最悪のイメージが膨らみつつあった。
「もしかして…」
「魔法の種類の中には、儀式魔法というものがありますよね?」
「はい、基本的なことは、知っています…」
儀式魔法。特定の環境下で一定の条件を満たすことで成立する特殊魔法のことだった。ハルは一通りの魔法教育を受けていたため、基礎的なことは知っていた。
儀式魔法で有名なのは剣聖の譲位式の際に、現任者の剣聖から、後任者に、剣聖の印を移し刻むときになど使われた。ただハルは本当にそれくらいの浅い知識しかなかった。
「このエルフたちも、その儀式魔法の中で生成されたものだと…」
「待ってください、それが事実だとしたら…」
ハルは不安のあまり答えを先走ってしまった。だから、ベッケも意を決して告げた。
「儀式魔法の中でも禁忌とされている生贄を用いた可能性があります」
「その生贄って…」
「人です」
ハルの目の前は真っ暗になった。そうなると自分がさっきまで殺しまわっていた翼のエルフたちは、なんの関係もない人間たちだったのかもしれないと思うと、ハルは持っていた刀を落として自分の手を見つめた。血は一滴もついていなかったが、その手が酷く真っ赤に染まっているような幻覚を見た。
「大丈夫ですか?」
「はい…」
返事に覇気はなかった。それを見たレイチェルがハルの手を優しく包み込んだ。
「人を殺したことはいままでなかったのか?」
ハルはその問いかけで今まで自分が殺してきた人たちの光景が浮かんだ。それはさっきルナが殺した衛兵たちであったり、サヨナラを告げたひとりの竜人の女の子だったり、レイド襲撃で救い切れなかった小さな少女。思い返せばハルが殺してきた人間は山のようにいた。
「あります…たくさん……ですが……」
ハルの中にあった大切に繋ぎ止められていた。最後の一線が切れてしまった。人間が人間であるための大切な糸がいまここで簡単に切れてしまった。それは、後戻りのできない暗闇へのいざないだった。
ハルはさっき見た大人たちや少年少女たちの笑顔を思い出すと気分が悪くなり吐きそうになった。そして、さっきの別れ際の小さなエルフの少女の顔を思い出すと、ハルはその場に両手をついて、胃の中のものをすべて吐き出してしまった。
「おい、大丈夫かよ、しっかりしろ。ハル、お前あんなに強いのにどうしちまったんだよ?」
「二人は大丈夫なのか?」
「まあ、私たちはこれよりも酷い地獄を死ぬほど見てきたからな…」
レイチェルはそういうと悲しい瞳をしていた。
「そうか、ならよかった。俺はこいつをルナに引き渡して情報を吐かせてくる。二人は避難所に向かって守ってやってくれ、女王のいる砦はアルバーノやサムがいるから大丈夫だ…」
顔色は悪かったがハルはすぐに切り替えて立ち上がった。
「少し休んだ方がいいんじゃないか?」
レイチェルがハルの顔を覗き込み心配してくれていた。
「ありがとう、でも、俺は大丈夫だ。やることをやるよ、そっちもお願いしていいかな?」
自分のやるべきことはすでに分かっていた。それが今回のこのエルフ殺しのことで振り切ることができた、ただそれだけだった。ハルの進むべきは何一つ変わっていなかった。どれだけその身を落としても、大切な人たちを守るたとえ何を犠牲にしても。
***
ハルは翼のエルフを抱えると、ベッケとレイチェルたちと別れた。そして、街から最後にルナと別れた砦に向かって彼女を探した。
その移動をしている最中だった。
「ハル・シアード・レイ」
黙り込んでいた翼のエルフが声を掛けてきた。ハルは夜の空中で立ち止まった。当然足元には自分の天性魔法の光で生み出した。透明な力の集合体がハルの足場になっていた。
「しゃべる気になったのか?」
「お前が探しているルナというやつの居場所を知っている。なぜだかわかるか?俺たちは一心同体だからだ」
「じゃあ、教えてくれ、ルナはどこにいる?」
「あっちの砦のはずれの森で、痛い目に合ってるぞ?俺たちの残党に痛めつけられてる。嬲り殺しにあってる。助けてやると…」
翼のエルフが憎たらしくそう言って、指でルナがいるかもしれない場所の方向を指したときだった。
まるで空間が破裂したような爆音があたりに轟いた。
その翼のエルフの体は、抱きかかえられていたハルの高速の移動速度の負荷に耐えられず、一瞬で体がバラバラになって灰のように崩れ消滅してしまった。
うっすらと金色の光が灯る位置を砦から少し離れた森の中に見つけた。そこにめがけてハルが一瞬にも等しい時間で移動した。
周囲に衝撃波の影響が出ないように、上空で不気味な轟音を響かせた後、ハルはすぐにそのほのかに光る森の中に着地した。
そして、そこで目にした光景は…。
「ルナ…」
「あ、ハル!!!どうしてここに!?」
そこには翼のエルフの三人を樹木に貼り付けにして、拷問にかけているルナの姿があった。
「よかった、生きてたんだ…」
安堵と共にハルは彼女に駆け寄って抱きしめた。ルナはその突然の幸福に何が起こったのかさっぱり分からずに固まった。
「ハル…」
「怪我とかしてないよね?」
「はい、ハルも大丈夫でしたか?」
「俺の心配なんかいい、それより、こいつらに痛めつけられたりしてない?」
「どっちかっていうと、私が痛めつけてましたね。あ、でも聞いてください、こいつら全然血が出ないんですよ、人間じゃないですよ」
「うん、でも、ベッケさんが言うには人間を元にしてるって、儀式魔法なんじゃないかって」
ハルは抱きしめる力を緩めて、彼女の顔を見て話した。そこには頬を赤く染めた黒髪ロングの可愛らしい女性がいた。
「そうか、なるほど、それならつじつまが合う!儀式魔法の中でも禁忌とされている生贄を使った魔法なら確かに、何体も複製を創れる。興味深いな…でも、それをするにしても術者には膨大な負荷がかかるはずなんだけど…」
ルナがこの彼らの現象に対してまじめに考え込むと、ハルは邪魔しないようにそっと離れたそして素に戻り取り乱したことを少し恥ずかしく思ってしまった。
「あれ、ハル、まだ抱きしめてもらっていいですか?私、全然満足してないんですけど…」
ハルは彼女のお願いを無視して、三人の彼らを見渡しながら言った。
「ルナが知ってることを教えてくれ、こういう残酷な魔法に詳しいだろ?」
「そのハグしてくれませんか?抱っことか…そうしたら教えてあげますよ。フフッ」
「早く、説明して」
「はい、たぶん儀式魔法で生贄を使ったなら、彼らのこの魔法は【複製】という魔法だと思います。人間ひとりを儀式で生贄にすることで、術者の高度な分身を生み出すことができる儀式魔法です。ただこれは禁忌魔法に該当するのでリスクがあまりにも大きく、まず人間がやろうと思ってできる魔法ではないです。普通の人間がやればまず術者が膨大な魔力の消費によって即死します」
「ありがとう、っていうことはこれは分身であり、生身の人間じゃないってこと?」
「そうですね、私もさっき彼らをいじってみたんですけど、血が出なくて魔法による素体だと思います」
「そっか、ならすでに生贄になった人は儀式で葬られているってことだね?」
ハルがとっさに出た罪の意識を軽くするような発言に、ルナがしっかりと現実を突きつけた。
「いえ、たぶん、生贄になった人間は、この自分と繋げられた翼のエルフたちが死ぬまでは、生きていると思います。だから、この翼のエルフをこうやって」
ルナが、指を上に向けると、翼のエルフの一体の首が一瞬で吹き飛んで宙を舞った。そして、その首を飛ばされた翼のエルフの存在が灰のように変色し、ボロボロに崩れ、消滅してしまった。
「殺すと、たぶんこの翼のエルフと繋がっている生贄となっている人間も死ぬと思います」
ハルはこのルナの行動に対して深い憤りを感じたが、逆に彼女の頭を撫でて褒めてやった。
「分かりやすい説明。ありがとう」
「えへへ、そんなことないですけど、もっと褒めてくれてもいいんですよ…」
「要するに俺たちは人殺しをしているのと変わらないんだな?」
そこでようやくルナの表情に真剣さが戻って来た。殺すことに対して全く抵抗のないルナからすればこんなことどうでもいいことなのだろうが、彼女もハルがそういった類の人間ではないことは知っていた。というより、知りすぎていた。
「ごめんなさい、ハルのこと何も考えずに…」
「ん?あぁ、いいよ、俺のことは別に、それにさ…」
そこでハルが二人目の翼のエルフに手を翳すと、天性魔法を発動させた。真ん中に張り付けにされていたエルフが地面ごと削り取られ、跡形もなく消滅した。
「ルナみたいに俺も強くなろうと思ってさ。それにもう覚悟も決めたから、大丈夫だよ」
「ハル…」
消え入りそうな声と共に彼女はハルの横で歓喜に打ちひしがれていた。彼女はぶつぶつと、ハルがこっちに来てくれたんだぁ、などと訳の分からないことをずっと言い、ひとりで自分自身と会話し続けていた。
ハルはそんな彼女を放っておいて、最後の翼のエルフに向かって言った。
「おい、そこにいるんだろ?そこで見てるんだろ?ご本人様は?」
するとその人形のようにルナの天性魔法で木に貼り付けにされていた、翼のエルフは、にやりと不気味な笑顔を浮かべ、からっとした耳障りな声で言った。
「そうだ、よく分かったな?フフッ、お前は、すごいなぁ、賢い、賢い!いやあ、ほんと素晴らしいよ」
術者の人形となり果てた翼のエルフはハルを馬鹿にしてあざ笑っていた。だが、急にその翼のエルフは態度を変えて、不気味に睨みつけて言った。
「ハル・シアード・レイ、少しお話しようじゃないか?俺はあんたに興味が湧いた」
「いいよ、少し話そう。俺もお前に興味が湧いた」
ハルと翼のエルフの間に確かな因縁が広がっていた。