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元剣聖ハル・シアード・レイの神獣討伐記  作者: 夜て
神獣白虎編
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ベルドナ

「フォルテか、それにベルドナさんも」


「お邪魔しています、ハル様」


 相変わらず全身鎧のベルドナが元気に答えた。


「ところで、今日は何しにきたんだ?」


「こいつらの訓練を見に来たんだ」


 そう言ったフォルテの後ろには帝国のエルガー騎士団の騎士たちがいた。


「許可はデイラス団長殿から得ている」


「そうか」


「さあ、お前たち行ってこい」


 帝国の騎士たちは階段を降りて行った。

 稽古用の重りやら武器やらの道具を持った者たちがどんどん通り過ぎて行く。

 フォルテはその流れを横目に芝生の土手に腰を下ろした。


「お前は行かないのか?」


 ハルが言った。


「ちょっとお前さんと話したくてな」


 ハルは興味なさそうな表情をする。


「ハル、俺は、今回の神獣討伐で中央を守る人間として実力は足りてそうか?」


 フォルテは少し不安そうな顔した。


「合格だよ、一人でも神獣を相手にできるほど強かったよ」


「そうか、それはよかった」


 フォルテは満足そうな顔で広場を見渡した。

 そこでガルナとビナが稽古をしているのがフォルテの目に入った。


「あっちで戦っているのはガルナさんか?相手は誰だ、かなりいい動きだ」


「そうだよ、相手はビナって子だ、今は俺の部隊に入ってるけど、前は王都の【ライラ騎士団】にいたんだ」


「またずいぶんなところから引っ張って来たな」


「彼女の志願だ、指名じゃない」


「物珍しい人だ」


「失礼だな」


 ハルは目を細めさせながら言った。


「騎士団ライラはお前の国のトップだろ」


「まあ、そうだけど」


 帝国の騎士たちが下の広場で訓練を始めた。


「それにしても、お前の方こそ、帝国のトップのエルガー騎士団なんて連れてきてよかったのか?」


「帝国には、シエルとザアル団長が居るから心配ない」


「シエルってたしか帝国の第二剣聖だよな?」


「正確に言うと俺が第二剣聖で、シエルが第一剣聖だ」


「え、そうなの?」


「彼女が、先に剣聖の座についていたんだよ」


「へー、そうだったのか」


「あまり表に出たがらないからな、彼女は」


 ハルが帝国の騎士たちの稽古を眺めているとやはりベルドナが目についた。

 軍に入隊してすぐに騎士となった彼女の実力はどれくらいなのか知っておきたかった。


「ベルドナって子、ザアル団長が引き抜いたのか?」


「ああ、そうだ異例の抜擢だった」


「強いのか?」


「まだエルガーの騎士たちには敵わないが、他の帝国騎士団の騎士だったら敵はいないかもな」


「彼女何歳なんだ?」


「たしか十五歳と言っていたぞ」


「…………」


 ハルは、あまりの衝撃の事実に言葉を失ってしまった。


「十五歳にしては背が高すぎないか?」


 彼女の身長は周りの騎士と比べてもその大きさは群を抜いて目立っていた。


「彼女、エルフの血が入ってるそうなんだ」


「なるほど、だからか」


 ハルは納得した、エルフは高身長で有名な種族で、図書館であったエルフのフルミーナの背も自分よりはるかに大きかったのを思い出していた。


「それに彼女は、将来は剣聖にまで上り詰めるのではないかと言われている」


「天性魔法は?」


「まだ、扱えないみたいだ」


「あるのかよ!」


 再び驚くハルにフォルテは平然とした顔をしていた。

 ベルドナを見ると彼女は騎士たちと剣の稽古をしていた。


「物を自由に操る魔法と言っていたな、レイド王国にも同じような天性魔法を使う剣聖が過去にいなかったか?」


「よく知ってるな、いたよ名前は忘れたけど、確か大きな槍と二つの双剣持った剣聖が」


「それだ、たしか俺が読んだ、帝国の戦争の歴史書に、そんな奴が出てきた気がするんだ」


「そうか、それでね…」


 ハルが広場を見渡す、レイド王国の兵士とアスラ帝国の兵士がそれぞれ訓練をしている。


「今の世の中、平和になったものだ、こうして一つの場所で両国の軍が訓練している、昔ならありえない光景だぞ」


「昔は戦争の繰り返しの時代だったからな、今は魔獣が幅を利かせてるけど」


 ハルが言った。


「いい時代に生まれたものだ、俺たちは」


フォルテが空を仰いで言った。


「そうかもな」








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