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元剣聖ハル・シアード・レイの神獣討伐記  作者: 夜て
神獣白虎編
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おいしい料理

 四人が話しながら待っていると、たくさんの料理とお酒が運び込まれてきた。

 エウス達の席の料理を優先で持ってきてくれたのか、使用人たちはどんどん四階フロアに顔を出した。

 新鮮な肉、魚、野菜料理に、様々な種類のお酒はテーブルの上を彩った。


「カンパーイ!!!」


 四人は片手に持った、それぞれ好みのお酒の入ったグラスを軽くあて合った。


 パースの街は腕のいいシェフが世界中から集まって来る。

 そのため、パースの街の外食はどこに行っても一定のおいしさが保障されていた。

 様々な食材が料理人たちの経験の幅を広げ、最先端の料理が次々に生まれた。

 そんな、パースの街の中でもエリー商会が持っているのは高級レストランから庶民向けのレストラン、そして現在ハル達がいる店ブロード・ビアのような階層で分かれている中間的なお店など、多岐にわたって幅広く経営していた。

 エリー商会のお店は、商会内で、料理の大会や研究会などをする機会を設け、常に料理の研究をしていた。

 さらに商会内のお店の経営戦略を考えるチームが店の立地や金銭の管理をしているため、お店の料理人はおいしい料理を作ることだけに集中できた。

 この戦略でレイド王国の外食はエリー商会のお店が他を圧倒して、周りのお店や商会を駆逐と吸収を繰り返し、成功を収めていた。

 この並々ならぬ努力でお客様の…。


「おいひいぃ!!!」


 ビナは脂の乗った大きなお肉を頬張りながら、次の肉をナイフとフォークを使って丁寧に切っていた。

 次々と運ばれてくる料理が、ビナの口の中に吸い込まれていく。


「ビナ、急いで食べるとお腹壊しますよ」


「大丈夫、おいしいから」


 ビナの答えはめちゃくちゃだったが、ライキルも料理を食べるその手は先ほどからどんどん進んでいた。

 エウスは景色を眺めながら、ゆっくり強いお酒と肉料理を交互に食べていた。

 ハルに関してはビナと同じく、すごい速さで肉料理、魚料理、野菜、間に酒を少しづつと、その順番を崩さず回して食べていた。


 四人が食事を一息させると、デザートとお酒を楽しんだ。


 デザートはおいしく冷えた甘い氷菓子だった。

 氷魔法の登場により多くの国に大量の氷が普及し、おいしいデザートや食材の保存などの幅が出た。

 それまでは、冬の寒い季節にできた氷や他の大陸から持ち込んだ氷を洞窟などに保存するなど、苦労して手に入れていた。


「ひんやりして、おいひい、いててて」


 一気に氷菓子を口の中にいれたビナの頭にキーンと痛みが走っていた。


「フフ、一気に頬張りすぎですよ、それにしてもこの果物も甘くておいしいです」


 甘いものに目がないライキルもご満悦だった。


 四人はデザートも食べ終わるとお酒と会話を楽しみ始めた。




「そういえば、私、みなさんの昔のこと何も知りません、教えてくれませんか、ハル様」


 酔いが回っているビナがフラフラしながら言った。


「え、いいけど、そんなに面白い話じゃないぞ」


「いや、かなり面白いぞ」


 エウスがふざけて横やりを入れてきたが、ライキルだけが冷静にハルに質問した。


「いいんですか、話して?」


「いいよ、本当のことだから、それにビナだし」


 そのハルの答えにライキルの顔も緩んでしまった。


「フフ、そうですね、ビナもすっかり私たちに馴染んでしまいましたからね、キャミルにも合わせてあげたいです」


 二人が酔っているビナの方を見た。

 ビナは顔が赤くなっているが、それでも会話が成立できるほどには意識が残っていた。


「話したくないならいいですよ、私それでも二人のことが好きですし」


 ビナは正面にいるハルとライキルの顔を交互に見ながら、グラスに少し残った赤ワインを一気に飲み干した。


「あれ、俺は?」


「あ、忘れていました、いいでしょうエウスも入れてあげましょう」


「ハハハ、なんだそりゃ」


 エウスとビナがじゃれ合っているとハルが口を開いた。


「あれは、今から、だいたい、十二年前かなエウスと俺が出会ったのは…」


「ああ、そうだな、それくらいまえだな」


 二人は出会ったときのことを思い出しながらビナに語った。



 *** *** ***









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