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最初からそのつもりだった

 新兵たちの件でエリザの騎士たちと中庭でばったり会い、そこで打ち合わせした日から、数日が経ったある日の時刻は午前。ついに新兵たちの半分を彼らエリザ騎士団に任せる日がやって来ていた。

 第一運動場にはハルが率いる大半を新兵たちで構成された【新人騎士団ハイペリオン】のみんながずらりとならんでいた。名前が無かったこの騎士団にみんなで名前を決めようとなったのはついこないだのことで、ハイペリオンと名付けたのは、貴族の出のビンス・ラザイドだった。

 名前の決め方は、シンプルに勝ち抜きの決闘、みんなで名前を持ち合って、勝者が名前を決めるという者だった。だが、ハルが団長ということもあったため下手に決めれないこともあってこの名づけの決闘に参加する者は少なかった。そこに自信満々に出て行ったのがビンスであった。

 上位者はほとんど参加せず、結果はビンスの優勝。そして、エウスの精査のもと許可が出て、無事名前がハイペリオンと決まった経緯があった。


「それじゃあ、新兵たちのことこれからよろしくお願いします!」


「はい、任せてください!」


 ハルとエリザ騎士団の精鋭騎士シオルドが固く握手をした。

 ハルの後にはエウス、ライキル、ビナ、ガルナがおり、シオルドの後にはグゼン、マイラ、エリザ騎士団副団長代理のオドリックがいて、そして、複数のエリザの精鋭騎士たちが見守っていた。


 エリザに送る新兵たちは決まっており、エウスが力の関係のバランスを考えて彼の独自の采配で二つの組に分けていた。


 ハルとシオルドが話している間に、エウスが新兵たちの前に出ていった。


「よし、それじゃあ、前に言った通り、エリザの方に行くやつらはさっきハルと握手してたシオルドさんについていってくれ、はい、移動開始!テキパキ動け!」


 ハイペリオンの新兵たちの半分が第二運動場に移動するために動き出した。その中で、アストルはウィリアムとフィルと話していた。


「アストルしばしの別れだな、そっちはエウス隊長だからって気抜いて訓練さぼるなよ?」


「ウィリアムじゃないだから大丈夫だよ、ていうか、ウィリアムこそビンスと仲良くやりなよ?」


「はぁ、それは無理があるぜ、俺、あいつのことめちゃくちゃ嫌いだし」


 ウィリアムとビンスの仲がすこぶる悪いのは新兵のみんなが知っていた。


「だけど命を預ける仲間だからね、大切にしなきゃ」


「えっと確か、ハイペリオン騎士団って名前になったんだっけ?これだってどうせこの訓練の間だけだろ?すぐに会わなくなるさ」


「そんなこと言わないで少しは毛嫌いしないで二人で話してみたら?ビンスっていい奴だよ」


「うへぇ、ありえねえ」


 アストルは、ウィリアムと言葉を交わし終わるとフィルの方を向いた。


「フィル、そっちはどうなるか分からないけど、空いている時間また筋トレに付き合ってくれないか?」


「もちろん、いいぜ、だけど俺がいない間もライキル師匠が室内運動場にいつでもいるはずだから師匠に弟子入りするのもありだぜ」


「え、許してもらえるかな?」


「余裕だよ、その代わりちょっと面倒な話し相手とかにならなくちゃいけないから大変だぞ」


「ああ、言ってたね」


 二人でそんな話をしているともちろんウィリアムも話に割り込んで来た。


「おいおい、愉快な話をしてるじゃねえか!なんだよ、ライキルさんとお話しできるのか?だったら俺も弟子入りしようかな!」


 アストルとフィルは顔を見合わせたあとウィリアムはやめとけと声を合わせて言った。


「おーい、ウィリアム、フィル行こうぜ!!」


 遠くから大きな声でラウロが呼びかける声が聞こえた。


「おっと、それじゃあ、また、食堂かどっかで会おうぜ!」


「またね、アストル!」


 ウィリアムとフィルは別れを告げてラウロたちの方に走って行った。



 アストルが二人を見送り終わると、後ろから肩を軽く叩かれ声を掛けられた。


「アストル、こっちでみんなが待ってる来ないか?」


 アストルの後ろにいたのはヨアン・ハワードだった。黒髪短髪できりっとしたいつも冷静で物静かな青年それがヨアンだった。貴族のビンスとは幼馴染であり、使用人だったという変わった経歴の持ち主でそのためか彼の行動の端々には礼儀正しい所作が見られた。


「ヨアン、もちろん、行くよ!」


 アストルがヨアンと一緒に、通称【エウス組】と呼ばれる仲間たちの方に向かう。そこにはすでに大きな輪になって固まっているみんながいた。アストルとヨアンもその輪の中に入り、みんなに挨拶をしていった。


「みんな改めてよろしくね!これからも頑張って行こう!」


 周りのみんなもおうよろしくなぁ!などと声が返って来る。基本的に新兵たちの仲は良い、苦楽を共にし、助け合いが重要な環境であるため、自然と友好的な人間関係は築かれやすかった。例外として仲が悪いのはウィリアムとビンスぐらいなもので、新兵たちが集まればすぐにそこは居心地の良い場所となった。

 しかし、そんな賑やかな輪の外れで、ひとり呆然と佇んでいる新兵をアストルは見つけた。


「あれ、ユーリあんなところでなにしてるんだろう」


 アストルが輪から抜け出して彼のもとに走って行く、それに気づいたヨアンも後を追って来た。


「こんなところで何してるの?」


「おお、アストルか、いや、別にハル団長のこと見てただけだよ」


「ユーリってほんとハル団長のこと好きだよね!」


「お前たちだって憧れてるだろ?」


「確かにそうだけど…」


 レイド王国の騎士になりたいなら一度は剣聖に憧れたことがあるだろう。みんなを守る絶対の騎士にそして、その先にある英雄という二つ名に。


「ユーリはハル団長みたいに英雄になりたいの?」


「英雄?ハハッ違うな、俺は騎士として仲間を、そうだな…困ってる人を助けられればそれでいいよ」


「立派な考え方だな、ユーリ」


 後で聞いていたヨアンが静かに呟く。


「なんだ、ヨアンもこっち来たのかよ、お前たちはほらあっちで騒いで来いよ」


「ユーリ、俺たちは新しいチームだ。特にお前がいなきゃ始まらない。一緒に来い」


 真面目な真っ直ぐな目で見つめられたユーリは一つため息をつき、はいはい分かりましたよと言うと、輪の方に向かい歩き出した。


「でもよ、俺がいなくてもいいだろ別に、だって俺はリーダーでもなんでもないんだぜ?」


「そうだな、だが、時期にわかるさ」


「なんだそりゃ…」


 ヨアンの表情が崩れるのは珍しく彼は小さく笑っていた。そんなヨアンを見てユーリが不気味がっているところにアストルは二人の背中を押し進めた。


「よし、二人とも走れ、走れ!みんなのところに戻ろう!!」


「おいおい、押すな、押すな」


 三人が輪の中に戻ると賑やかさは一段と騒がしくなった。



 ***



 ハルが二組に分かれる新兵たちを見守りながら、シオルドと話している時だった。


「ハルさん、少しいいですか?」


「はい、なんでしょう?」


「実は新兵たちのことでひとつ提案があるのですが…」


「それは、なんでしょう?」


 ハルが興味深そうに彼に顔を向けると話し出した。


「せっかく二組に分かれるのです。期間を決めてお互いその間どれくらい実力がついたか試合をさせてみるのなんてどうですか?」


「なるほど、互いに競わせてチームワークや実力を伸ばそうってことですね?」


「考え方としてはそうですね。変化や目標の無い日々は新兵の士気も下がると思いますからね、彼らは今、成長の真っ最中、ライバルが必要だと思ったんです」


 この考えは事前にエウスが午前中の訓練に取り入れていたことだったが、長期的に二組に分かれるとなるとさらなる効果を発揮しそうだった。

 シオルドの考えにハルは賛成だったが、その決定権はエウスにあると考えていた。二つに分かれたグループのうち、半分を見るのはエウスだからだ。


「いい案で私も賛成です、ですが、その話はエウスにも聞いてみないと、彼が片方を受け持つ隊長ですから、そうだ、今、ちょっと聞いてきますね!」


 ハルは、一度シオルドと別れて、新兵たちの輪の中心でわちゃわちゃしているエウスのもとまで行った。


「おーい、エウス、ちょっといいか…」


「それでだな!俺たちエウス組は、そのエリザに寝返ったエリザ組を打倒するのが目的ってことよぉ!!打倒エリザ組だぁ!!」


 ウオオオオオオオオオオオオオオ!!


 エウスの周りにいる新兵たちが彼に合わせて絶叫していた。


「エ、エウスさん…?」


「おお、みんなハル特別指導のお出ましだ。彼はあっちに行ったりこっちに来たりする…そうだな、いわゆる最強の味方であり、最強の敵って思っておけばいい」


「ちょっと、え?あの、エウスさん?どういうことです?てか、何してんの?」


「ウォオオ!!絶対勝つぞぉ!!!」


 鬼気迫る本気の目がエウスの瞳の中にはあった。ハルは呆然と見つめる。


 ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!


 ボケっとしているハルをよそ目に勝手に盛り上がるエウスたち。そんな中、エウス組の新兵にも関わらず冷静さを保っていたユーリが困っていたハルのもとまで来て状況を説明してくれた。


「ハル団長、僭越ながら私から説明させてもらいますと、どうやら、我々エウス組と今、別れたエリザ組で近々合戦をするとエウス隊長は仰っておりました」


「そうか、ユーリ、もう君が隊長の方がいい気がしてきたよ、ハハッ」


 そんな、もったいないお言葉を、と遠慮がちなユーリに、ハルは「説明ありがとね」と言ってバカ騒ぎしているエウスたちを後に、シオルドのところに戻り事情を説明した。


「シオルドさん、すいません、エウスは最初からそのつもりだったみたいで、あの盛り上がり様です」


「アハハハハハハ!そうでしたか、だったらこちらも負けていられません!ハルさん、わざわざありがとうございます」


 と笑っていたシオルドだった。が、最後にハッとした表情をした彼が質問してきた。


「あ、でも、ハルさんもこちらの第二運動場に顔を出してくれるんですよね?」


「はい、お邪魔じゃなければ、そちらの新兵たちも見てあげたいから、そのつもりです」


「ああ、そうですか、良かったです。ただ、それだと私たちエリザの騎士も見てもらいたいものです」


「エリザはもう十分お強いじゃないですか?」


「まさか、聞きましたよ。私たちが留守の間、帝国との親善試合があってエリザの精鋭騎士がぼろ負けたって」


「そんな、エリザの皆さんもエルガーの精鋭騎士といい試合してましたよ!」


 白虎討伐前だったため、エリザ騎士団は忙しく、シオルドたちも別の任務であの雨の日の親善試合にはいなかった。

 アスラ帝国の一番強い騎士団の精鋭騎士と、レイド王国三番目に強い騎士団の精鋭騎士それもトップクラスの面々は不在、唯一ガルナはいたが彼女を例外と考えると、実力的に離れていても仕方のないことではあった。それでもハルが見たところだと善戦している試合もあった。と言うより肉弾戦の殴り合いの試合だったため、本当の実力はなんとも言えなかった。


「まあ、ハルさん暇があるばうちのエリザの騎士たちにも声かけて見てください。あなたのファンは多いので彼らも喜ぶと思います」


「それは嬉しいですね、だったら俺も積極的に声を掛けちゃいそうです」


 ハルとシオルドはそこでお互いに笑い合った。


 それから今日の午前の時間は、エウス組は訓練、エリザ組は、引っ越しの準備と訓練に使われることになった。

 どうやらエウスはこの百名近くいる新兵を半分に分ける案を聞いたときから考えていたことがあったようで、組対抗の試合はもちろん、さらに雰囲気を作るために、エリザの騎士たちの方に行ったエリザ組の新兵たちは引っ越しをさせることまで決めていた。

 すでにエウスがデイラスと相談してエリザ組には第一騎士寮に人数分の部屋を用意していたようであった。


 こうして始まった新兵たちの二極に分かれての本格的な競い合い。


 新兵たちにはまた新し日々が訪れ今後の成長が望まれていた。


 そして、そんな彼らを見守るエウス、ライキル、ビナ、ガルナ。エリザ騎士団のシオルド、グゼン、マイラなどの騎士たちにも更なる成長が期待されていた。



 全ては今後に控えている大きな作戦のため。そのために、強くなることは必要不可欠なのだから…。



 ***



 午前中、新兵たちが引っ越しや訓練をしている最中に、ハルは、ひとり抜け出して古城アイビーにある神獣討伐作戦本部の一階の会議室の四角いテーブルの前の地図を眺めていた。


 ハルはやがて龍の山脈と書かれている場所を中心に地図を時計回りに指でなぞり始めた。


「龍の山脈周辺にある大国はイゼキア、シフィアム、レイド、アスラ…都市国家は龍の山脈の近くには少しあるな…あと山脈の近くにあるのは東にあの大穴と北に大きな湖だけか…」


 次は龍の山脈の南に位置するところで指を止めた。


「ここに帝国の基地、それで入り口はここだけかぁ…」


 ハルはがひとり真剣に地図と睨み合っていると。


 扉にノックの音がしたあとデイラスが会議室の中に入ってきた。


「ハル剣聖待たせたね、ちょっと黒龍の件で各国から連絡が入っていてね、確認してたんだ」


「それはお疲れ様でした」


「特に今回は重要な連絡はなかったよ。あれだね、黒龍も、二、三週間前に帝国に現れたきりで今は落ち着いているようだ。むしろもう作戦当日まで現れないとみているみたいだよ。もちろん、警戒は怠ってないようだけど」


「そうですか…」


「ふむ、それでハル剣聖、頼み事って言うのは何のことだい?私なら何でも力になってあげるよ」


 ハルはそこでもう一度地図に視線を落としてから言った。


「その…」


「なにかな?」


「避難区域を追加で拡大して欲しいんです…」


「ほうどこまでかな?」


 ハルが指でなぞって範囲を指定した。


「ふむ、なるほど、わかった。すぐにその範囲に入った国々に要請を送ろう!無理でもなんとかする、各六大国からも協力を仰ぐように求める」


「すみません、作戦実行日までそれほど時間が無いのに、こんな苦労のかかるお願いをして…」


「なぁにハル剣聖、これが私の仕事だ気にすることは無い。むしろもっとあなたには凄い願いを言って欲しいくらいだね。たとえば、六大国それぞれの最強の騎士団の指揮権や六大国の全ての剣聖を集めたドリームチームの結成なんてどうだぁ?」


「え、アハハッ…それは面白そうですね…」


「いやね、ただ、実際にそっちの方が勝算がありそうだと私は思うんだがね?」


「ううん、ほんとですか?でも、それはデイラス団長が指揮してみたいだけなのでは?」


「ばれたか、まあ、そうなんだがな、アッハッハッハッ!」


 それから、ハルはさらに広がる避難区域を、デイラスと本部の人達を呼んで詳しく話し合い、精確に範囲を決めた。


 集中して話し込んでいたため、あっという間に時間は過ぎ、時刻は昼、鐘の音が響き渡っていた。


「それじゃあ、俺はこれでデイラス団長」


「ああ、また、何かこの件で要求があったら言ってくれ、すぐに我々が対応しよう!」


「はい、ありがとうございます。それでは失礼します」



 ハルが会議室を出て行った。



 すると一人の本部の人間がデイラスに言った。


「この避難範囲少し広すぎではありませんか?これだと都市国家まるまる入るところがいくつかありますよ?」


「確かにそうだが、そんなことより、正直、私は避難区域など無駄だと思っている」


「え!?」


 その意見に広すぎるといっていた本部の兵士も驚く。


「さすがに避難区域事態は必要かと…」


「だが君、考えてみたまえ、相手は黒龍だぞ。空を飛んでどこまでも追いかけて来る化け物。そんな化け物からどうやって我々が逃げ切るのかな?」


 デイラスは自分で言ったことに少し頭を悩ませてから続けた。


「私はね、ハル剣聖に恐れて逃げだす黒龍。これを危険視しているんだ。どこまで行っても逃げれない、それだったら、無人にするのではなく逆に人を配置して迎撃した方がいいと思っている」


 デイラスがそう言うと他の本部の兵士が声を挙げた。


「確かにそうですが、むしろ、そうすると逃げられませんよね?」


「はい、正解。そこが問題なんだ。黒龍は人間や馬や翼竜よりも早い、迎撃できなかった黒龍と遭遇した防衛施設の全滅は必死。だから今のところ避難区域を拡大してそこに監視施設を建て、黒龍を早期発見して、剣聖などの強者に討伐してもらうしか方法はないと思ってる」


「龍の山脈から漏れた黒龍の処理が問題なんですね」


「そうだ、現在はある程度黒龍が外に出て来る場所と向かうルートは決まっているから対処ができてる。だが、作戦当日ハル剣聖が動き出したらきっとそういったはぐれた黒龍が増えると思うんだ」


 デイラスはそこでもう一度ハルに指定された範囲を地図で確認した。


「まあ、龍の山脈周辺の準備はずっと前から各国で進めていたから、何も問題はないんだがな、なんならあと都市国家を数国からにできるわ!アッハッハッハッハッ!」


「そうですけど、予算とかは大丈夫なんでしたっけ?」


「バカ者!資金など無限じゃ無限!この作戦に一体どれだけの支援者がいると思っておる。白虎討伐でさらにふえたわぁ!」


 デイラスは会議室の出口に向かった。


「とにかくハル剣聖の言うとおりにするんだ。避難区域を広げるぐらいどうってことは無いからな、みんな各国に飛ばす伝鳥の用意頼んだぞ」


「ハッ!」


 声をそろえた本部の兵たちの返事を聞いたデイラスは会議室を後にした。



 デイラスはひとり本部の二階にある執務室に戻る途中、さっきハルと二人だけの時に彼と交わした会話の一部を鮮明に思い出していた。


『ハル剣聖、ここまで避難区域を広げるには何か理由が?』


『ええ、もちろん、なるべく黒龍の脅威から人々を遠ざけたいんです。だって、黒龍なんて見ただけで一生その恐怖が刻まれる人だっているでしょ?俺はそう言う人たちを極力減らしたいんです…』


 彼はそう言ってどうしようもなく悲しそうに微笑んでいた。



「ハル剣聖、あなたって人はほんとに…」


 デイラスは本部の廊下の真ん中で足を止める。


「私はあなたをどこまでも信じますよ…」


 が、すぐに前を向いて歩き出した。


「さぁて、私もいろいろ書類を用意しなきゃいけませんなぁ!」


 デイラスは足早に執務室を目指すのだった。







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