約束の時間まで
古城アイビーに正午を伝える鐘が鳴る。第一運動場の周りには、他の運動場や施設から食堂に流れる人の波ができていた。
いつもより遅く起きたハルにとってはもうそんな時間なのかと思いつつも、運動場の中心で熱心に指導していたハルは、新兵たちにお昼にしようと言ってテントに引き返した。
テントに集まっていた新兵たちに、エウスが「はい、めし、めし、一時解散!」と短く告げると新兵たちは待ってましたと言わんばかりに食堂に駆けて行く。全員がいなくなったところでハル、エウス、ビナの三人も昼食を取るために城の中庭に向かった。
中庭に行くと何人かの使用人があらかじめハルたちのために場所を準備してくれていた。ハルが慌てて自分たちでやると申し出ると、使用人たちは笑顔で大丈夫ですからと、てきぱきと作業を進めてくれていた。実際に城の西館にある食堂にいけばこんな手間のかかることはやらなくていいのだが、ハルたちはすっかりこの中庭でご飯を食べることを気に入っていた。だから、毎回、自分たちでテーブルや椅子などを用意していた。使用人たちは準備を終えると、料理が来るまでお待ちくださいと言った。ハルたち三人は礼を言った。そして、「次からは自分たちでやりますから」と念を押して言うと、使用人のひとりが口を開いた。
「お気になさらず、それよりも、ライキル様からお言葉を預かっております。今日のお昼は訓練を続けるので顔を出せないと、それとシアード様に向けてのお言葉で、今日、約束した時間に第三運動場で待っています。とおっしゃっていました」
「そうか…言伝、ありがとう…」
急なことでびっくりしたハルだったが、後で聞いていたエウスは「熱心だこと」なんて呟いていた。
それから、中庭にガルナが現れて、ライキルを抜いたハル、エウス、ビナ、ガルナの四人で昼食を取ることになった。
席に着いた最初にガルナが、この場にいないライキルのことを尋ねてきたので、使用人から聞いたことをハルが伝えてあげた。
「そう言うことなんだ、だから、今日はライキル、ここには来ないんだ」
「ライキルちゃん、お昼は来ないのか…」
「朝はいたんだよね?」
「朝は居て一緒に朝食を食べてた…えっと、ハルはいなかったけど…」
「あ、うん…」
ガルナと目が合う。彼女の燃えるような真っ赤な瞳と、ハルの澄んだ青い瞳が交わり、数秒お互い固まり、よどみなく無意識でしていた息が止まった。
「………」
二人の時間だけが止まったみたいに、無言で見つめ合っていると。
「おほん、お二人さん?そろそろ、席に座りはしないかい?そんなところで突っ立ってないで」
エウスがわざとらしく咳ばらいをして、語り掛けると、ガルナは慌てた様子で「そうだな、めし、めし!」と言いつつも席には座らずビナのもとに駆け寄り、彼女と戯れ始めていた。かなりの動揺が見て取れていた。
席に着き少ししたら、美味しそうな料理が中庭に運ばれてきて、ハルたちは、楽しく賑やかにその料理を頂き、食事を済ませた。ひとり欠けている分、少し寂しい気持ちもあったが、昼食にいないことは特に珍しいわけでもなくライキルに限った話ではなかった。エウスなどはたまに商会の用事でいないこともあったし、ビナもフルミーナと食事をするために図書館に行っていない時もあった。ガルナに関しては、遅れてくることはしょっちゅうだったりした。
そんなわけで、ライキルのいない昼食の時間は終わり、いつも通り午後の訓練に移って行った。
***
今朝のデイラスとシオルドとの話し合いで、百名ほどいる新兵たちは、近々、半々に分かれて訓練をすることが決められた。
エリザ騎士団の方でも、エリザの騎士の新兵指導の経験を積ませてやりたいというのが今回の彼らの目的であったようだ。ただ、本当のところは今のところエリザ騎士団の手が空いたというのが大きいらしかった。
それは白虎の件が片付き、ひと段落したからだった。霧の森での白虎の残党狩りなどの調査でトラブルはほとんどなく順調に進み、エリザの精鋭騎士たちはやることが無くなっていた。
ただ、黒龍の件でまた動くとなると忙しくなる可能性はあった。
現在も四大神獣討伐作戦は水面下で多くのことが各国で同時並行で進められていたが、騎士たちの出る幕はまだまだ先だった。現段階では、避難区域や安全区域の確保、各国の緊急時の動きなど、討伐作戦開始の下準備が行われている最中だった。
しかし、準備の方は数年前から各国が総出でしているため、時間がかかるといっても数か月程度で終わる予定だった。
ハルや騎士たちは、その準備が終るのを待っているという待機期間が今の状況であるため、時間には比較的余裕があった。
そんなわけで、新兵たちの半分をエリザ騎士団に任せることになり、グループの分け方はエウスの独断でくじ引きにすると決められ、それらの連絡が午後の訓練の最初に伝えられた。今日のところはそれだけで、後は各自解散、自分の訓練に戻る様にエウスがみんなに言っていた。
***
午後の厳しい暑さを避けるように、アストル、ウィリアム、フィルの三人は、第一運動場から、室内運動場の区画に向かっていた。
「さっきのエウス隊長の話しだと、シオルドさんにもいろいろ教えてもらえそうだね」
「そうだな、今日、テントにいたよな」
「ハル団長たちと話してて、俺たちは話せなかったけど、従者してる時以来だよね」
アストルたちは、白虎討伐が始まった時、エリザの騎士たちのもとで従者として動いていた。その中にシオルドがおり、三人は彼とその時知り合っていた。
「俺は一回この敷地内ですれ違った時があって少し話したけどな」
そうだったんだとアストルが小さく頷いている中、二人の後ろから暑さに参っているフィルが声を掛けて来る。
「暑い、暑いよ、ちょっとそこらへんで涼んで行かない?」
夏の日差しが降り注ぐ、古城アイビー、三人が歩く道の脇や運動場の端では魔法によって生み出された水で水浴びをしている者たちがそこら中にいた。服の上から自分が生み出した水を被り、暑さを和らげていた。
「嫌だよ、魔法使ったら疲れるだろ、これから筋トレするんだから、無駄な体力は使いたくねえよ、ていうかフィル、今日とかライキルさんに訓練の報告する日とか言ってなかったか?」
「…あ…ああ!!そうだった!!アストル、ウィリアム、急ごう!!」
その言葉でフィルは、一瞬顔面が蒼白になるがすぐにまだ報告の時間内だったことを知り安堵していた。
「おいおい、フィル、押すな押すな」
「フィル、そんなに急がなくてもライキルさんまだあっちにいると思うよ」
アストルとウィリアムは、フィルに背中を押される。
「急げええええええ!!!」
三人は室内運動場を目指し、夏の道を駆け出した。
***
いつからだろうか自分がここまで己の肉体を鍛えようと思ったのは?ライキルは両端に重りの付いた鉄棒であるバーベルを、縦長の椅子に仰向けになって、上げ下げしていると、そんな思考が頭の中を一瞬よぎっていた。しかし、すぐに手に握っているバーベルに意識を集中させ、トレーニングを続行した。
ライキルがいる場所は、室内運動場が集まる区画の一つで、筋肉を鍛える器具が集まっている建物だった。室内運動場の区画の建物には、番号が振られており、ライキルは五番の建物にいた。この五番、周辺の建物はすべて筋力をトレーニングするための器具が置かれた建物だった。
ここでは、多くのエリザの騎士が、自分の肉体を引き締めに来る場所だった。そこでライキルもひとり黙々と己の身体を磨いていた。
この施設を利用する者はほとんどが男性であったため、ライキルはその中でもかなり目立った存在だった。
最初はライキルに声を掛けて来る者もいた。その声を掛けて来る者たちはさまざまで、ライキルが初心者だと思い声を掛けてくれる者や、下心から声を掛けて来る者などさまざまだった。
親切から声を掛けてくれた人たちには、筋肉と持ち上げているバーベルの重さを見せると、驚きのあまり笑っていた。今では、親切から声をかけてくれた人たちとはすれ違った時など軽く挨拶をするぐらいの仲にはなっていた。下心から声を掛けてきた者たちは、今では全くライキルの通う施設には顔を出さなくなっていた。その理由は単純で噂が広がっていたからだった。ライキルが、英雄ハル・シアード・レイの傍にいたことが広がると、悪い虫は全滅していた。
剣聖の称号を手にした者。力と地位どちらも彼らが精鋭騎士だったとしても遥か上の存在。そんな人物の女性に手を出せばどうなるかまではそこら辺のごろつきではないのでしっかりと理解していた。
そんなこんなで、ライキルはこの古城アイビーの敷地の一角にある室内運動場の区画では、ちょっとした有名人だった。
ライキルがバーベルを筋トレ器具のもとあった位置に戻すと、仰向けの状態から起き上がって身体を起こした。近くに置いていたタオルで大量にかいた汗を拭きとると、しばらく、負荷をかけた筋肉の部位の疲れを感じとり、その場で息が整うまで、ボーっとしていた。
『ちょっとやりすぎちゃったかな。夕方からはハルと稽古があるから、ゆっくり時間をかけてやろうと思ったけど、張り切っちゃった…』
ライキルの周囲では男たちが己の肉体の限界を探っている最中だった。そんな中、紐でまとめていた髪をほどいて、綺麗な長い金髪を下ろす。綺麗ではあるがどこかあどけなさも感じさせる美しさを持った金髪の女の子がそこにはいて、やはり、ここでは目を引く存在だった。
ただ、普通の女の子と違うのはライキルの引き締まった体だった。ここは周りの男たちと全く引けを取らなかった。
『そう言えば、さっき…あれ、なんだっけ、何を思い出そうとしてたんだっけ?』
ライキルが何かを思い出そうとしている時だった。
***
「うおおおおおお、ライキル師匠!!!」
施設内を猛ダッシュしてくる男の子がひとりいた。彼の名はフィル・トロプトルだった。ライキルが筋トレを教えている子だった。最初は教える気は全くなかったが、彼に自分は新兵だと言われた時、何かライキル自身も、ハルが担ったこの新人騎士団の力になってあげたいと思い、教え子として認めることにした経緯があった。
「フィル、報告ですか?」
「はい!そうです!」
背筋を伸ばし、姿勢正しくし、表情を引き締めるフィルに、ライキルは楽にしていいですよと言って、使っていた筋トレの器具であるベンチプレスから立ち上がった。
「ここじゃなくて、休憩場で話しましょう、あら?」
フィルの後には、いつも彼と一緒にいる新兵のアストルとウィリアムもいた。
「こんにちは、ライキルさん」
アストルがにこやかに挨拶をするのと同時に。
「こ、こ、こんにちは!ライキルさん!!」
変に力んでいるウィリアムも挨拶をした。
「こんにちは、二人とも、今日も鍛えに来たんですね」
「はい、ここ最近、帰って来てから、本格的にフィルに教えてもらってるんです!」
「そうでしたか、でしたら今度、私に二人がトレーニングしているところ見せてください、フィルが正しく教えてあげられているか見てあげますから」
「本当ですか!ありがとうございます!」
アストルとライキルが親し気に話しているのを、フィルはヒヤヒヤしながら見届け、ウィリアムは悔しさに歯を食いしばっていた。
「それじゃあ、ちょっとだけ、彼を借りますから、二人はトレーニング頑張ってくださいね」
そう言うと、器具などが置いてあるトレーニング場から、少し離れたところにある、休憩所にライキルとフィルは行ってしまった。
「よし、じゃあ、ウィリアム、俺たちも午後の訓練を始めよう!」
アストルが元気よく歩き出すと、ウィリアムが彼の肩を思いっきり掴んで言った。
「始めようじゃねえよ!ずりぃよ!何でアストルさんはそんなに自然体でライキルさんとお話になれるのですかぁ!?」
「え、どうしたの?」
「ここ数日で、お前、ライキルさんと会うたびに仲良く話してるよなぁ!?」
怒りとも悲しみともとれるウィリアムの表情にアストルは困惑する。
「別に会話ってほどでもないでしょ今のは、というより、それだったら今度、ウィリアムも声かければどうよ?」
「無理だぁ、何を話せばいい?」
「あ、でも、まずは挨拶からかも、なんかウィリアムさっき固かったから、緊張してた?」
ウィリアムは、ガックシと肩を落としてため息を吐く。
「はあ、道のりは遠いなぁ…」
ウィリアムのそのつぶやきに、アストルは無意識に言葉を放っていた。
「その道はどこにも繋がってないと思うけど…」
「え、なんか言ったか?」
「あ、いや、なんでもない…ほら、早く行こう、時間がもったいないよ!!」
「なんか言ったよな、おい、待てよ!アストル!」
アストルはトレーニング場を駆け、ウィリアムが後を追って行った。
***
休憩所ではライキルとフィルがテーブル席に座っていた。周りの男たちからフィルは羨望の眼差しを受けていたが、当の本人だけは全く今の状況を羨ましいなどとは思っていなかった。むしろ緊張の瞬間だった。
「報告は以上です。ライキル師匠、後はさっき言ったトレーニングメニューを今週と来週で回していくつもりです!」
「………」
ライキルの鋭すぎる目つきがフィルの瞳に突き刺さる。ただ、目をそらすわけにもいかず、ジッとフィルは刺すような視線の痛みに耐える。彼女から言葉をもらうまで…。
やがて、ライキルはフィルから視線を外し、少し何かを考えたあと、口を開いた。
「分かりました。それで問題ありません。どうやら、祭りの最中も、身体を鍛えていたようですし」
「さすが師匠分かりますか?」
「分かりますよ、特にあなたの場合、祭りの最中常に何か食べていたでしょ?」
「よくお分かりで!?」
「誰でもわかります。祭りは常に美味しいものの誘惑がありましたから、それにあなたが耐えられるわけがないと思ってたんです」
その通りでフィルは解放祭で自分の財の限りで、たらふく美味しものを食べていた。だから、その分しっかり身体も動かして鍛えてたのだが、そこの努力がこうして実を結んで良かったとフィルはひと安心していた。
『ふう、救われた、昔の俺、ありがとな!助かった!』
しかし、そこでフィルは一瞬周りの空気の温度が下がったかのような錯覚をした。
「ですが、フィル、あなたが、人に教えるのはまだまだ早すぎます。私から教わったから正しいやり方を教えてはいるんでしょうが、私もまだ、あなたに全てを教え切れてはいないんです。当然ですが、まだ教わっている途中のところをあの二人に教えてはいないでしょうね?」
フィル顔から一気に血の気が引いた。そして、すぐに口を動かした。
「はいい!!もちろん、ライキル師匠からもう良しと許可を頂いたトレーニングしかあの二人には教えていません!!」
フィルは目の前にあるテーブルに頭をめり込ませて説明をする。
「…なら良いんです。私も別にあなたがいい加減なことを広めない人だってことは分かってますから」
「ありがとうございます!」
フィルは命が助かったと思いながら、心の中で安堵して顔を上げた。すると、目の前にはさっきの凄みと威圧感のある女帝のような師匠の姿はなく、純粋な少女のようなにこやかな笑顔の姿があった。それでもフィルからしたら怖いのだが…。そして、決まってその表情に変わるといつもの話しに話題が切り替わる。
「フィル、報告はもういいです。それより聞いてください、今日、私には特別なことがこの後、待っています。それは何だと思いますか?」
フィルは内心めんどくせえのが始まったと思いながらも、絶対にそんなことは口に出さずに、質問に答えた。
「夕食とかですか?」
「それはあなたのことでしょ?」
にこやかな少女から一瞬で冷たい目つきの戦士に彼女の表情が変わると『ひぃ!』とフィルは心の中で悲鳴を上げる。
『だって今日の食堂で出るメニューは、特別いい牛肉が仕入れられたって食堂のおっちゃんが言ってたんだよ』
心の中で叫ぶフィルだったが、思考を切り替え、次は間違わないように真剣に答える。
フィルは魔法の言葉を知っていたため、次の答えは絶対に間違わない自信があった。
「分かりました。ハル団長のことですね?」
「そう、正解です!今日の夕方からハルが私の稽古を見てくれるんです!」
「へえ、それは確かに特別ですね。というより、羨ましいです」
久々にこの手のライキルの話題で関心を寄せた。普段はライキルがいかにハルというひとりの男性のことを愛しているか熱弁するだけだったので、フィルからしたら今回の話しには興味が湧いた。
「でしょう?ハルは昔からちょっと力のことでいろいろあってですね。ほら、ハルってとんでもなく力が強いじゃないですか?ちょっと私たちの想像を遥かに超えてますよね?」
実際にハル・シアード・レイが本気を出したところは見たことは無いが、それでも白虎討伐の際などの噂を聞くに、常人からかけ離れた力が備わっていることは理解していた。
「そのことでハル、ちょっと昔に心の問題を抱えて、誰かと一緒に訓練をするのを避けるようになったんですよ。今はもうすっかり克服したみたいですけど、昔はもっとひどい時がありました。体に触らせてくれない時もあったんですよ?」
「へえ、ハル団長に、そんなことがあったんですね…」
最後の彼女のセリフはともかく、強者にもそれなりに抱えている悩みがあることをしり、フィルは少し同じ人間としてハルに親近感を感じていた。
「ハルはとっても優しい人なんです。力があってなんでもできるのに、それを誰かのために使うんですから」
「俺もハル団長のことは尊敬しています」
ライキルが頷いて、笑顔を向けてくれた。フィルは師匠のことを怖いと思うが、やっぱり、彼女の笑顔だけは、普通の歳の近い女の子と同じような印象を受けた。
『そいえば、ポーラは元気にしているだろうか…』
フィルはライキルの笑顔をで、幼馴染の女の子の顔を思い出していた。
「じゃあ、私もそろそろ自分のトレーニングに戻りますから、フィルも二人のところに戻ってあげてください」
「あ、はい!それじゃあ、失礼します!」
フィルは、ライキルと別れを告げ、連れてきた二人を探している途中、昔のことを思い出していた。
自分と、アストル、ポーラ、そして、アリス、という女の子のことを…。
『アストルの奴、アリスに会いたいだろうな…まあ、逆もそうだと思うけど…』
フィルは、アストルとウィリアムの二人を見つけると、駆けだして行った。
*** *** ***
今日も一日が終わる。
夕方になる少し前の時間帯に、ライキルは第三運動場に向かっていた。高鳴る胸を強く押さえ冷静になろうとするが、それと同時に足は素早く動き、自分の身体を目的地まで急行させていた。
『ハル、来てるかな?ちょっと早く出たからまだいないよね…』
しかし、予想とは反対に、第三運動場には見覚えのあるひとりの青年の姿があった。
くすんだ青い髪が、夕暮れ前の風に吹かれて揺れていた。
『ああ!もう来てくれてる!』
ライキルは急いで土手の斜面を降りて第三運動場を駆けて行く。
するとどんどん愛する彼の背中が近づいてくるのだった。