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元剣聖ハル・シアード・レイの神獣討伐記  作者: 夜て
神獣白虎編
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食堂と訓練

 


 *** *** ***



 自由時間になったエウスは荷物を整理していたが、お腹がすいてきたので、ハルと飯を食べに行こうかと考え、部屋を出た。


 ハルの部屋をノックするが、返事がなく、留守のようだった。


 ライキルとビナの部屋のドアもノックしたが、人がいる気配がなかった。


「みんな、出かけたのか?」


 エウスは仕方がなく一人で城の表玄関に向かい外にでた。


 水が吹きあがる噴水を少し眺めたあと、エウスは何かを思い出したかのように、兵士たちのいる寮に向かった。


 寮は、城の表玄関から外に出て、右側の少し離れた場所に、多くの寮が立ち並んでいた。


 エウスは寮の前まで歩いていき、その一つに入っていく、そこはハルたちの兵士に貸し出された専用の寮の一つだった。


 エウスはそこの一階の複数ある部屋の一つのドアをノックした。


「はい!」


 元気の良い返事が返ってきてドアが開いた。


 そこにはアストル・クレイジャーの姿があった。


「エウス隊長!」


 意外な訪問者にアストルは驚いた表情をしていた。


「よう!今、暇かな?」


「はい、大丈夫です、何かごようですか?」


「いや、飯一緒に食べに行かないかと思ってさ」


「もちろんです、お供させてもらいます」


 アストルは嬉しそうに言った。


「よしきた」


「お金とってきます」


 アストルは急いで準備しに部屋に戻った。


 二人は、寮の外に出ると、寮のすぐ近くにある、城の兵士たちや使用人などが使う大きな食堂に向かった。


 食堂の中は広く、多くの人々が食堂を利用していた。


 食事を受け取るための、料理名が掛かれた紙のようなカードが売られており、それは食券と言われ、食券を購入した後、調理場の人にそれを渡し、料理を受け取る仕組みになっていた。


 入り口の前の壁に張り出されているメニューの内容は基本的に定食で、その定食の内容が絵など文字の説明で料理名の脇に詳しく書かれていた。


「俺はこの定食青ってやつをいただこうかな」


「自分も同じものにします」


 二人は食券を買って、料理を受け取り、庭園を見渡せる景色の良い場所の席についた。


「やはり、多くの商人が集う街はいいな、魚がおいしい」


「ええ、王都で食べれる魚とは一味違います」


 二人は会話したり、窓から見える敷地内の美しい花園や外の街の景色を眺めながら、食事を続けた。


「そういえば、エウス隊長の周りのかたは皆お若いのに、お強いですよね、ハル団長は当たり前ですけど、ライキルさんとか、ビナ隊長とか」


「若い?俺とハルはもう二十二歳だが、そうだな、ビナは十八歳とか言ってたな、ライキルは十七歳だから確かにあいつはまだ若いな」


「え!?ライキルさん、そんなに若いんですか!!」


 その言葉を聞いてアストルはびくっりして、椅子から落ちそうになった。


「はは、そうだよ、見えないだろ、あいつ結構、背丈あるし、大人びてるし」


「はい、正直、エウス隊長やハル団長と同じ歳だと思ってました」


「まあ、わからないでもない、あいつも必死みたいなところあるからな…」


 エウスは窓の景色を眺めながら言った。


 エウスが眺める窓の外の今日の空は、相変わらず気持ちよく晴れていた。


「エウス隊長この後、稽古をつけてはいただけませんか?」


 食事が終わり後かたずけをしている際に、アストルはエウスにお願いをした。


「いいね、少し休憩したら、城の後ろの訓練場に行こう」


「はい!よろしくお願いします!」


 古城アイビーの裏手には、兵士たちが訓練したりする大きな広場があった。


 二人はそこに向かい、倉庫からショートソードの模造剣と防具をつけて、広場の一角で剣を構えた。


「よし、始めるぞ、本気でこい」


「はい!」


 二人は、慎重に距離を縮めていくと、エウスからの仕掛けが始まった。


 エウスは大きく振りかぶり、アストルめがけ片手で剣を振り下げる。


 アストルはエウスの剣が勢いづいて振り下ろされる前に思いっきり両手で自分の剣を合わせて、エウスの剣の勢いを殺すと同時に相手の体勢を崩そうとした。


 しかし、はじかれたエウスの剣は、そのはじかれた反動を利用して、体をねじり、次はアストルの脇腹めがけて両手で剣を振ってきた。


 これを剣で受けるには間に合わないと判断したアストルは後ろに後退して、ぎりぎりでこれを避ける。


『エウス隊長は体が柔らかいのか!』


 後ろに引いたアストルにエウスは素早く追撃を加える。


 振り下ろされるエウスの剣をアストルは自分にできる最大限の剣術でさばいていく。


 そして、その時はきた。


 アストルは前と同じようにエウスに足払いを試みる。


 エウスはそれを軽くジャンプして避ける。


 当然エウスは、アストルが体勢を崩しているのを狙う、しかしエウスは細心の注意を払い、剣を振るった。


『何かの誘いか?、それとも癖ででたか?』


 エウスがアストルめがけて、剣を振るった瞬間。


「はあああ!!!」


 アストルは足払いした回転の勢いに乗って、下から上に剣をさっきよりも全力で振り上げた。


 ガチン!と大きな音を立てて、エウスとアストルの剣がぶつかる。


「これは!?」


 さっきよりも大きなアストルの力は、エウスの意表を突いた。


 エウスは剣を手放さなかったが、体の体勢が大きく上にのけぞってしまった。


 アストルはその一瞬の隙を見逃さなかった、エウスの胴体、めがけ剣を突いた。


 その時、エウスはそのまま、後ろに倒れ、片手でブリッジをして、突き出されたアストルの剣を片足で蹴り上げた。


 アストルは何が起こったか分からず、一瞬思考が停止してしまった。


 エウスは、その瞬間に起き上がり、蹴り上げられたアストルの剣をキャッチして、二つの剣をクロスさせ、アストルの首の寸前で止めた。


「ま、参りました…」


 アストルの身体は微動だにできずに、一言いった。










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