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TS転生したけど、子供いた  作者: 赤途碧
SS サキちゃんとハルと一緒
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2人の子供


 仕事が終わって保育園へとサキちゃんを迎えに行き、近所のスーパーで買い物を済ませる。

 家に帰宅した後、わたしは家で夕飯の仕度、サキちゃんは魔女っ子アニメのDVD鑑賞と忙しい。

 

 夫となったハルは、まだ会社で仕事中だ。

 ついでにスミレさんもね。


「ママ〜、よりゅごはんにゃに〜?(夜ご飯なに?〜)」

「う〜ん? 今日はスン()ドゥ()()だよ〜」

「かりゃくちてね!(辛くしてね!)」

「ダメ。サキちゃんが食べるのは子供用って約束したでしょ?」

「う〜。わきゃった(わかった)」


 大分前、サキちゃんが辛い物を食べるのは短くても2週間に1回と約束したのだ。

 しかもこの子、ずっと辛味が摂取できないと暴れ始める。

 ずっと前に1ヶ月以上放っておいたら、寝転がってジタバタするわ、ぬいぐるみ投げるわ、しまいには2、3時間置きに「うー!」とか「あー!」とかと、奇声を発っしていた。


 いや、もう夜中とかでもお構いなしに騒ぐので、これでは次の日に互いの体調が悪くなってしまう。

 これはどうにかしなければいけないと、わたしはサキちゃんに「辛い物を食べさせはするけど、味付けは子供用だからね!」と、約束するハメになったのだ。


 お陰でレシピは増えたけど、なんでもかんでも上手く作れる訳ではない。

 今日のスンドゥブだって、少し前に新大久保の韓国料理屋に赴き、色々と教わってきたのだ。

 わたしがそんな苦労をしているなど、サキちゃんの知るところではないが……親の心子知らずとは、よく言ったものである。

 まあ、全然ワガママを言わない子に育つよりは、そっちの方が子供らしくていいんだけどね。


 キッチンで鶏がら出汁にしょう油、ごま油や豆板醤に粉唐辛子などの調味料を使い、味付けしていく。


「えーと、お酒にニンニク、後はネギのみじん切りもか」


 その他にもアサリを洗ったり、豆腐の水気をきったり豚肉をごま油で炒めたりと、まあまあやることは多い。


「うん、美味しそうだ」


 暫くして出来上がったのは、スンドゥブ、白米、もやしのナムル、韓国海苔という、お店で出てくるような定食だった。


 味見をした後にサキちゃんとお風呂へ入り、リビングで寛いでいると、玄関のドアが開く音がした。

 

 我が家の旦那さんが、帰ってきたみたいだ。


「ただいまー」

「おかえり〜」

「ハリュ、おかえり!」

「もう夜ご飯はできてるよ」

「お、今日はなに?」


 ハルは偏食だが、わたしの作った料理だけは何故か食べられる。

 なので、結婚してからの朝、昼(お弁当)晩の食事は凄く楽しみにしているらしい。


「スンドゥブだよ」

「かりゃいの〜」

「ああ、今日はサキの日か」

「ちょう!(そう!)」


 別に誕生日という訳ではないが、我が子の辛味中毒のことはハルに説明してある。

 最初は「タバコやアルコールが切れた大人みたいだな……」と言って引いていたけど、一緒に生活しているうちに大分慣れてきてるみたいだ。

 そして、いつの間にかウチで赤くて辛い物が出される日は『サキの日』と呼ばれるようになっていた。


「ハル、手洗ってきなよ」

「ああ」

「あ、お風呂も湧いてるから夕飯は後にして、先にお湯に浸かる?」

「うーん」

「おふりょ(お風呂)きもちいいよ?」

「サキちゃんもこう言ってるし、行ってきなよ。ご飯は温めとくからさ」

「わかった」


 暫く迷っていたハルだったけど、まずはお湯に浸かることにしたみたいだ。

 というか、キッチンの方をチラチラと見ていたけど、どれだけ夕飯を楽しみにしていたんだろう?

 

「ふー、気持ちよかった」

「ハル、髪乾いてないじゃん」

「ああ、すまん」


 ハルさん、頭にタオル乗せてますけど、髪の毛から水滴がボタボタと床に零れ落ちているんですが?

 そんなに急いでお風呂から出てこなくても、夕飯は逃げないよ。


「乾かしてあげるから、前に来なよ」


 わたしはリビングのソファーに座り、ハルは床へ。

 後ろからドライヤーで夫の髪を乾かしながら、ふと(もしかして結婚して子供が2人に増えたのでは?)なんて考えが過る。


(まあ前世? も含めて年下だしね。中身だって元ミカさんだし)


 ハルがワガママ言ったり、行動が子供っぽかったりしても、わたしの方が年上だし折れるところは折れて注意できるところは口を出せばいいかなんて考えながらクスリとしていると、今度はテーブルの方から声が聞こえてきた。


「かりゃい!(辛い)おいちい!(美味しい)」

「ああ! サキちゃん、それは大人用だよ!?」


 お風呂からハルが出てきたら、すぐに夕飯にできると思ってたから、それまでにテーブルの上へ料理を並べていたのがアダになった。

 声のした方を見てみると、料理近くから離れたすきに、わたしの目を盗んで、サキちゃんが大人用の辛さに調理したスンドゥブを口に入れていた。


「おいちぃ〜」

「サキちゃん、めっ!」

「スー、スー」

「ハル、なに寝てるの!? って、床がびしょびしょ!? もしかしてタオルでサッと身体を拭いただけ!?」

「んー、かりゃあい〜」

「サキちゃん、それ以上は口に運んじゃダメ!」

「すぴー、すぴー」

「こらハル、起きろ!」


 ああもう! わたし、結婚生活やっていけるのかな?

 このまま2人の子供を育てていける?

 ほんと、長年旦那さんを支えてるママさんとか、尊敬するよ。


 ねえ、誰か助けて!





仲のいい夫婦生活を書こうとしたのに、どんどん違う方向に進みました。

作者からしてもハルは思い通りに動いてくれません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おいちぃ~
[一言] がんば♪ サキちゃんそのうち毎日辛いの食べるようになりそう ハルは…生活面のダメ人間化が進みそう
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